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50.これからの戦いについて

放課後、ナギはサツキと一緒に下校していた。

「あー、今日やばかった。」

「ほんと、サツキ何回も眠りそうだったね。」

授業中、サツキは夢の世界へ行ってしまいそうなのを何度も堪えていた。

「ただでさえ成績心配なのに、寝ちゃったら終わりだよ。」

「ふふっ。私が近い時は起こしてあげるね。」

ナギはくすりと笑ってしまった。

「ナギも何回も寝そうだったのはこういうことだったのか……。」

「そうだよ!私も最初の頃は本当に寝そうだった。」

うんうんと噛み締めるようにナギは頷いていた。

「うぅ、これから自信ないよ。」

「大丈夫だよ!この間は、私が動けなかったせいでサツキ1人で戦わせちゃったけど、次からは2人で戦えるから!そうしたらもう少しは楽に動けると思う。」

「そうだといいな〜。」

サツキは腕を自分の頭の後ろに回して空を見ていた。

「今日はどうする?どこか寄ってく?」

「うーん、せっかくだしクレープでも食べて帰ろっか。」

「うん!!!いこいこ!」

ナギは声を弾ませて、自然と足取りも軽くなった。


「あっ、そうだ。」

少し歩いて、サツキは急に立ち止まった。

「どうしたの?」

ナギはサツキの顔をじっと見た。

「……あのさ、ナギ今週の土曜なんだけど……その。」

サツキは申し訳なさと、照れ臭さを含んだ口調だった。

「……ケーキバイキング、一緒に行かない?期間ももうギリギリだし。」

小さな声でポツリと呟いた。

「えっ?いいの?」

ナギは驚いていた。少し前に約束していたケーキバイキング。もう、サツキは別の友達と一緒に行っているものとばかり思っていた。

「……うん。誰かと行こうとかも思ったけど、やっぱりナギと行きたいなって……。その、仲直りのお詫びっていうか。」

サツキはすごく珍しくもじもじしている。サツキは先週までのナギへの態度を心のどこかでずっと後悔していた。

「うん!行こう!私もサツキと久しぶりに遊びに行きたい!!」

ナギはサツキの手を取り満面の笑顔を見せた。

「ほんと?よかった〜。よし!!じゃあ土曜日はケーキバイキングだ!」

サツキは右手を大きく上へ突き上げた。

「おーー!!」

ナギも一緒に上へ拳を突き上げた。そして2人は笑いあった。いつも通り、それが何よりも嬉しかった。


ーーーーー

その日の夜、ナギたちは道場に来ていた。

「やっほーナギ。」

「ふふっ。なんだかサツキが道場にいるの変な感じ。」

ナギもサツキもゆるっとした部屋着に身を包んで道場のピカピカの床に座っていた。

「さて、それでは今後についての話をしていきたいと思います。」

霞が前に立ち、話を始める。ナギは真剣な眼差しで見る。サツキもあぐらをかきながらも顔は真剣だった。

「ふぁ〜あ。」

十六夜だけが緊張感なく、あくびをして立っていた。

「十六夜!真面目にしてください!」

「別に真面目にやってるよ。」

霞は少し不機嫌そうな顔をしている。その顔を見てナギは微笑ましかった。霞は咳払いをして話を続けた。

「これからは、2人でもののけと戦うことになります。2人でお互いを助けながら戦っていただきます。」

ナギとサツキは顔を見合わせて頷きあっていた。

「なので、ここでの鍛錬も2人の連携の部分も増やして行きたいと思います。今後現れるもののけたちにも対処しやすくなるはずです。」

ナギはグッと拳を握りしめていた。

「わざわざ集めていうようなことでもないだろ。」

十六夜が伸びをしながら呟いていた。

「だ、大事なことですよ!2人の連携を強めていかなければ、邪鬼の生み出す強いもののけには苦戦が必須です。」

「だから、この2人が連携に関して心配はないだろってことさ。」

十六夜に促されて霞は2人を見つめる。

「うん。サツキとならこれからも頑張れるよ!」

「私も、ナギだったらなんとなく動きとかも合わせやすそうかな?」

2人は顔を合わせて笑っていた。

「……それもそうですね。」

霞も十六夜の言葉の意味を理解して頷いた。

「だから、明日からの基本的な戦い方を押さえたほうが有意義だろ?」

「た、たしかに。」

十六夜の意見はもっともだった。

「では、ここからは私が話を説明致しましょう。私たちは基本的に戦闘においての相性は特にいいんです。」

ナギとサツキは講義を聞いているように深く頷いた。

「霞の技は基本的に溜めに時間がかかるものが多いということはわかりますね?」

ナギはこれまでの戦いを思い出していた。確かに舞を出す隙を作るのにかなり苦労をしていた。

「そういう際に私のように素早く、撹乱に特化したものがいれば上手く立ち回れるでしょう。」

「た、確かに!」

ナギは納得した。

「そうです!そもそも、十六夜は器用ですから色んな場面に対処できます!」

霞は嬉しそうに後ろから口を挟んできた。

「まあ、それは主人が速さについてこられればですが…。」

十六夜が少し試すような目でサツキを見つめる。サツキは目を丸くしていた。

「大丈夫!走るのは超得意だよ!」

サツキが自身ありげに笑うと十六夜も安心したように笑う。

「そうですか……。では、明日からは立ち回りや技の連携、基本的な動きを確認していきましょう。それでいいですね。」

「う、うん。霞もサツキも明日から頑張ろうね!」

「うん。十六夜もナギもよろしくね!」

2人は笑顔だった。霞にはその姿が頼もしく思えた。

「前の主人よりはまだ弱そうだけど、なんとかなりそうじゃないか。」

十六夜は静かに、だが霞に聞こえる声でつぶやいた。

「はい。そうですね。」

霞は苦い主人の記憶を思い出して少し暗い顔をしていた。

「余計なことを言ったね。…悪かった。」

十六夜は申し訳なさそうな顔で呟いた。


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