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41.サツキの長い一日

早朝、サツキは日課のランニングに。休みの朝ならではの新鮮な空気を感じながらまだ眠っている街を走る。

「風が、気持ちいいなぁ」

サツキは走ることが好きで、一年生の夏までは陸上部に所属していた。部活を辞めた今でも、こうして休みの日はランニングを欠かしていない。

「ふぅ。そろそろかーえろっと」

40分ほど走り、街も少しずつ目を覚し始めるころサツキは家へと帰った。


ーーーーー

「んー。やっぱ走った後のご飯は美味しいな」

サツキは少し焼きすぎて焦げ気味のトーストを食べながらつぶやいた。

「……今日で課題終わらせないとな…。はぁ、憂鬱」

サツキは英語の課題が残っていることを思い出した。わからない問題があってその度にやる気が削がれ、なかなか進まなくなる。

サツキは助っ人へと連絡をしようとスマホを取り出してアプリを開く。

「ん〜」

ナギとのチャット画面を開き、メッセージを送るかどうかで迷う。サツキは勉強に行き詰まると、ナギに勉強を教わっていた。だが、最近はナギとギクシャクしていて聞けなかった。一昨日仲直りしてはいるものの、まだお疲れモードのナギに気を使わせたくはない。

「……よし、教科書見ながらがんばろっと!」

スマホを閉じて、一人で頑張る決心をサツキは固めた。


ーーーーー

「はぁ、終わった……」

サツキは夕方近くまで英語の課題と格闘していた。ナギに教われば午前中で終わったかもしれないほどの量だったが、なんとか一人の力で乗り切ることができた。

「大体なんなんだよ、過去文詞って。人は過去と現在と未来だけで十分だってのに。よしよし。よく頑張ったぞ、私!」

言語そのものに愚痴をいいつつ、自分を自分で褒めて気持ちをあげる。基本的にサツキは前向きな性格だった。

「って、もうこんな時間じゃん!買い物行かなきゃ」

サツキはスマホの画面を見て思っていたよりも時間が経っていることに驚き、椅子から慌てて立ち上がる。買い物にいくくらいにはちょうどいい、外用の服装に着替えて玄関を慌ただしく飛び出した。


ーーーーー

「やばいやばい、セール終わっちゃうよ」

今日は4時までスーパーで野菜が安く売っている日。一人暮らしの強い味方のセール。サツキはそこそこの速さで走って向かっていた。

「っとと、ごめんなさい!」

サツキは通行人にぶつかりそうになり、速度を緩めた。

「ん?………なにあれ」

サツキは目の前にぼんやりと淡い黄色い光が浮かんでいることに気がついた。周りを見渡しても誰も気づいていない様子。

「あれ、私勉強しすぎて目がおかしくなった?」

サツキは自分自身の目を疑い、何度も目を擦りその光を見直す。やっぱり何度見てもそこに光は確かに存在していた。そして、その光はサツキを誘うように路地の中へと消えていく。

「あ、待って!」

サツキはなぜだかわからないが、光に誘われている気がして夢中で追いかけ、路地へと消えていった。


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