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27.一心同体

身を包んだ魔法装束は薄紫色に光り、装束の蕾は少しだけ開いている。

「なるべく早く決めるよ!」

「はい。ナギ、いきましょう」

花衣は自分の身体能力、技の威力を魔力で強化する。

ーーただし、効果の持続時間が切れれば体に反動がくる。

「まずは、"いばら"!」

弓を持つ鬼のもののけの動きをイバラで拘束する。イバラの耐久度も上がっているので、さっきまでより僅かながら拘束時間を伸ばすことができる。

「はぁーーっ!」

棍棒を持つもののけを素早く斬りつけ、体勢を崩すことができた。

「ナギ!もう1匹がきます」

「うん」

ナギは方向を変えてもう1匹のもののけへと素早く接近して同じように斬りつける。

「2匹の動きが止まりました。今のうちに奥のもののけを!」

刀を鞘に納めて椿の舞の準備に入る。徐々に光が集まってきた。

「行くよ!"椿の舞"」

一気に間合いを詰め、斬りかかる。弓のもののけはイバラを断ち切り弓を構えるが、わずかにナギの方が速い。

「ぐゎーーーーー」

弓を持つ鬼のもののけは断末魔をあげて消えていった。

「やった。とりあえず1匹!」

「はい。弓がなくなれば動きやすさが格段に違います。ここからは私の得意分野です!」

2匹いるとはいえ、真っ向勝負は霞が最も得意な戦闘の方法だ。2人は勢いに乗って1匹へ再び斬りかかる。

「ぶゎぁーーー」

鬼のもののけは、仲間がやられて怒っているのか興奮してけたたましい咆哮をあげた。

「くらって!」

ナギは何度も斬りつけるが、思ったより頑丈であまり刃が通らない。

「……ナギ、後ろです」

「……!」

ナギは霞の声に反応し、宙返りで棍棒を躱す。

「"いばら"!」

イバラで1匹を拘束する。だが、力が強く直ぐに引きちぎられた。興奮している分向こうもさっきより力のタガが外れているようだ。

「嘘でしょ、きゃっ!」

早すぎる拘束の解除に動揺したナギは鬼に体を捕まれて持ち上げられる。

「離して!……うぅ」

「ナギ!くっ……」

霞もなんとか助けたいが、鬼の手の中にいるため身動きが取れない。キリキリと少しずつナギの体を締め付けていく。

「……い、"いばら"!」

自分を締め付けている鬼にイバラを絡みつかせる。イバラの拘束がよほど嫌だったのか、イバラを引きちぎりながらナギを投げ飛ばした。空中で回転し、何とかダメージがなく着地はできた。

「はぁ、はぁ、はぁ、なんとか抜け出せた」

「ナギ、大丈夫ですか?」

着地のダメージはなかったものの、鬼からのダメージは割と深刻なものだったようでナギはかなり息も上がり立ち上がるのも辛そうだ。自分に回復魔法をかけているが、追いついていない。

「はぁ、はぁ、うぅ……」

「ナギ、蕾が!」

さらにピンチは続く。ナギの魔法装束の蕾が脈打つように点滅を始めていた。

「何これ?」

「まずいです。花衣の効果が切れそうです」

「嘘……でしょ……。ちょっと早くない?」

「おそらく魔力が足りなかったのかもしれません。」

この状況で、花衣の効果が切れれば反動とここまでのダメージでとても戦える状態ではない。

「い、一度引きましょう」

「そんな隙、無いかも!」

鬼は再び突進をしてくる。ナギはギリギリのところで躱す。

「花衣が切れる前に、決めるしかないよ」

「ダメです。危険すぎます」

「それ以外ない、行くよ。霞!」

「……はい!!」

覚悟を決めて2匹の鬼へと対峙する。残された時間はほとんどない。ナギは素早く動き回り翻弄する。

「ぐぉっ?」

2匹の鬼がぶつかり怯む。

「そこ!!"いばら"!!」

2匹の足にイバラが絡まり動きを緩慢にする。その隙にナギは力を溜める。

「ナギ、蕾が閉じかけています。これが最後の好機です!」

装束の蕾がだんだんと閉じている。閉じきってしまえば花衣の効果は切れてしまう。

「大丈夫!これで決めよう霞、行くよ!」

「はい!」

力を溜めきった刀は光を帯びる。その光はいつもよりも強かった。

「「はぁーーーーー!"椿の舞"」」

二人はピタリと声を重ねて、一気に2匹へ渾身の椿の舞を叩き込んだ。

「「がぎゃあーわーあーあー」」

2匹は断末魔をあげ、消えていった

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― 新着の感想 ―
Xの方から伺わせていただきました! 地の文での演出的な要素を抑え、キャラクターのセリフを中心に物語を回すことを意識した作品かと思います。 雰囲気や緊迫感の形成はあくまで最低限に留めつつ、ネット小説と…
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