20.霞の買い物練習
霞は少し緊張していた。
「霞、よろしく!」
「は、はい」
団子屋のレジで巾着からお金を取り出して支払いをする。
「これで、大丈夫ですか?」
ナギに小さな声で呟いた。
「うん。ばっちりだよ」
ナギが霞にいたずらっぽくウインクをした。
「はぁ、緊張しました」
「待って、お釣りをちゃんと受け取って!」
「あっ、そうでした」
霞は慌てて前を向き直し、お釣りを受け取った。
「よし、これで完了だよ!しっかりできたね!」
「はい……。なんとかできました……」
霞は緊張から解放され、胸を撫で下ろした。
「これで一人でお買い物にいけるね」
「はい……ありがとうございます」
霞が笑顔で答えた。せっかくお小遣いを持っているのだから、ナギはお昼にお出かけできるように買い物のやり方を教えていたのだった。霞はどうもお金を自分であまり使ったことがないらしく、こうやって一緒に練習することにした。
「しっかりとお金の種類について勉強していてよかったです」
慌てないように、事前にお金の種類についてはしっかりと勉強していた霞は得意気だった。霞は現代社会にまだ慣れていないものの、少しずつ馴染みつつあった。
「この間の失敗からしっかりと成長しました」
「あはは。そうだね」
霞は以前練習でスーパーに行った際、料金を自分で支払うセミセルフレジを上手く使えなかったことがあった。
♢♢♢♢♢
「ナギ、これはどこにお金を入れるのですか?」
「えっと、ここに硬貨でこっちにお札を入れるんだよ。」
「は、はい。あれ?入りません」
「落ち着いて、霞」
お札が上手く入らずガチャガチャしている。
「あの〜お客様大丈夫ですか?」
「あっ、はい。大丈夫です」
結局ナギが支払いを行った。
♢♢♢♢♢
霞は基本的に不器用なので、家電もナギがいる時以外は使わないようにしてもらっている。
「次は、あの機械にもう一度挑戦がしたいです。今度は負けません」
「勝ち負けじゃない気もするけど……まぁ、また次は頑張ってみよう!」
「はい」
霞は満足げに鼻歌を歌いながら帰って行った。