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1「国防組織・ユスティーツ」

新作です!お楽しみください!

「山城!もっと素早くだ!」

「はいっ!」


今日も今日とて、俺は教官にシゴかれる。


「ただ打つだけでは当たらん!敵の様子に気を配れ!」


言われるがままにやっているつもりだが、バルーンには当たらない。


「よし、今日は終了だ」


そうして教官は、隊員全員に悪かったところを言っていく。


「山城、貴様には才がない。何が悪いのか自分で考えろ」


と、このように超スパルタである。俺達中学生は5時には帰宅を許されているが、俺は訓練スペースで自主練する。そこに、


「今日も偉いね」


入ってきたのは幼馴染の紬だった。紬は俺より2年前に入団しているため、おそらくは任務から帰ってきたところだろう。


「俺は落ちこぼれだ。これくらいしか能がないからな」

「そんなことないと思うけどなー」


紬だけは俺を肯定してくれるが、それを認めるわけには行かない。現在、C級において最弱は俺だからだ。余談だが、俺にも最弱じゃない時はあった。2ヶ月と持たなかったが。ユスティーツに入る条件は13歳以上であることと、簡単な入団試験を突破することだ。ユスティーツで任務に出れば、中学生だろうが給料が入るので人が集まるのだ。ただ、大半はスパルタ教育で辞めてしまうのだが。初心からC級になった頃には、俺より弱いやつは居なかった。


「そうだ!凪さんに教えてもらえばいいんじゃない?」

「凪兄に?」

「凪さんってさ、陽翔と同じ疾風槍(ガールスピア)の使い手だったよね。きっと強くなれるよ」


俺が疾風槍を使っている理由は主に2つだ。1つは疾風槍以外使える技がなかったから。風元素以外では、エレメントのコントロールもできないし、風元素とて、疾風槍以外まともに、発現させることもできなかった。もう1つは、凪兄に憧れたからだ。ガキの頃に凪兄の使う疾風槍を、少しだけ見せてもらったことがある。だから俺は、ユスティーツに入団したとき、風元素を選んだ。まぁ、C級に上がる時にようやく使えるようになった、才能のなさっぷりだったが。


「凪兄にはこんなところ見せられないよ。自分でなんとかするさ」

「そっか。早くB級に上がっておいで。待ってるよ」


次の昇級試験まで半年もない。俺は一度落ちている。次は絶対受からねばならないのだ。




◎●◎●◎●◎●◎●◎




午後10時を過ぎ、俺は帰り道を歩いていた。


「坊主、人生は楽しいかぁ?」


不気味な声が耳元で囁いた。


「誰だ!?ダークネスか!?」

「んんー?その団章。お前、ユスティーツか。匂ったはずなんだがなぁ」


正面で向き合った瞬間、背筋に冷たいものが走る。俺は声が出せなくなった。それだけ、正面に立つ男が恐ろしかった。


「あぁ、もう声も出ないか。お前は気に入った。しばらく取っといてやる。強くなるんだな。そうそう、俺の名前は”ダヴィッツ・ヴィネ”だ。覚えときな」


男が去った瞬間、俺は膝から崩れ落ちた。確か、ヴィネと言っていた。ヴィネといえば、悪魔級9位のやつだ。俺はあんなのと戦うのか…?


「ちっ、取り逃がしたか。反応はここらだったんだが」


目の前に、急に女性が現れた。服には団章がついており、そこには”Yustite D3”の文字。


「お前、よく生きてたな。よほど運が良かったのだろうな」

「あっ、あなたは、最終級(ラストライン)3位の”常陸 凛”さんですか?」

「…お前はC級か。さっさと帰るんだな。また現れないとは限らん」


手でヒョヒョイッと払うような仕草をされたが、俺は腰が抜けてしまいうまく動けなかった。


「ここまでC級は弱くなったのか。1つ聞かせろ。お前が見た悪魔級はどいつだった」


彼女は俺をおぶって、聞いた。


「ダヴィッツ・ヴィネと言っていました。どうやら、気に入られたようです」

「そうか、家はどこだ?」

「第三地区の新宿町です」

「しっかり捕まっていろ。落ちるぞ」

そしてそのまま、家まで送り届けてもらった。




◎●◎●◎●◎●◎●◎




「先日はどうもありがとうございました」


基地のなかでたまたま会った凛さんに、俺は改めてお礼を言った。彼女は何も言わずに去っていった。その顔は少し赤くなっているように見えた。


「山城。貴様は今日、訓練をしなくていい。その代わり、司令室へ行け」


教官から言われた。事実上の退団勧告だろう。俺は1年間ユスティーツにいることさえできず、B級はに上がることも許されない…。と思っていた。


「陽翔くん。君は唯一ダヴィッツと遭遇して生き残った人間だ」


が、それは俺の勘違いだったようだ。司令室に入った俺を待っていたのはこんな言葉だった。俺は想像の斜め上の質問に思わず固まってしまう。なんとか口を開き、


「ちょっとまってください。話というのは退団勧告ではないのですか?」

「入団半年の隊員に勧告する理由はないよ。もう一度いう。君は唯一ダヴィッツと遭遇して生き残った人間だ。ぜひ、話を聞かせてほしい」

「こんな弱そうなやつが?」「入団半年何だろ?嘘なんじゃねーの?」


周りの幹部陣が言う。その中には凛さんの姿もあった。


「凛の話では、確かに悪魔級の反応が陽翔くんの居たすぐ近くにあったそうだ。それにダヴィッツの情報はウチにはない」


幹部陣はそれ以上、口を開かなかった。


「すまなかったね。ウチにはさっきもいった通り、ダヴィッツの情報がないんだ。君の話を聞かせてくれるかい?」

「そういうことであれば、お話させていただきます。ダヴィッツ。ヴィネと名乗った男は俺のことを、”気に入った”と言いました。また、”匂う"とも。用紙は20代後半の金髪で、西欧系の人物に見えました」


俺は知っていることを全て正直に話した。


「貴重な情報をありがとう。訓練頑張ってね」


俺は一礼をして。司令室を出る。


「陽翔!大丈夫だった!?」


入口の前には紬が居た。


「特に何もなかった。訓練に戻っていいってさ」

「よかった…」


こいつは本当に表情豊かだな。


「じゃあ、俺は訓練に戻るから」

「うん。頑張って!」

〜あとがきタイム〜

ここには筆者が好きなことを書きます。もちろん気まぐれです。

本当は第一話を4000文字くらいにしたかったんですが、お話が変な部分で途切れるので、キリの良いところで2500文字程度となりましたー。

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