表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

「この桜の木の下で〜約束に込められた願いと秘密 」

4月…桜の木がある小学校。

入学式で、ピカピカのランドセルを背負って、

ドキドキ…ドキドキ…

お父さん、お母さんと一緒に初登校した女の子。

今日から1年生!

大きな桜の木を見上げて、にこにこ笑顔。


たくさんのおともだちと、一緒に入学式を無事に終えて、

ワクワク…明日が楽しみ!


次の日から、6年生のお兄さん、お姉さんと一緒に学校へ。


1年2組の教室…

新しい先生と、たくさんのおともだち。

まずは、先生から…

「先生の名前は、おがわ えりです。

みんなで楽しくお勉強をしたり、仲良く遊びましょう」


次はみんな順番に、仲良くごあいさつ。.. 


少しドキドキ…でも、勇気を出して。

「こんにちは!わたしのなまえは、

はるかぜ みおです」


「こんにちは!わたしのなまえは、

はづき かおりです」


すると次々と

 

「わたしのなまえは、きさらぎ さほ」

「わたしのなまえは、みづき あゆみ」

「わたしのなまえは、まみや ふみか」


さらに、男の子も…


「こんにちは!

ぼくのなまえは、そらかぜ はると」


「ぼくのなまえは、みなせ れん」

「ぼくのなまえは、おうき いつき」

「ぼくのなまえは、ゆずりは ゆうま」

「ぼくのなまえは、さきさか かける」


最初は緊張したけれど、

他のおともだちともごあいさつをして、

みんなすぐ仲良しになって、毎日登下校。

一緒に勉強をして、遊んで…


6年間毎年、進級する度に

みんな別々のクラスになったり、

また同じクラスになったりを繰り返して、

迎えた最高学年の3月…卒業式目前のある日、

記念にタイムカプセルを作る事に…


【大人になった自分へ】


それぞれ、未来の自分への気持ちを手紙に書いて…

桜の木の下に埋めた。4月からは、全員中学生。

同じ学校だったり、違う学校だったり、進学先が違う…。

「成人式の前日に集まって開けよう!」と

再会の約束をして、小学校を卒業した…。


4月になり、中学校に入学した美緒に

また、新たな出会い…

小学校の時のクラスメイトとは、

みんな別々のクラスになってしまったけれど、

登下校が一緒になる事もあるので、寂しくはない。

テストやクラブ活動もあり、

忙しくも楽しい日々を過ごしていた。


ある日、ポストに淡いピンクの封筒が、1通入っていた。

切手はなく、住所も名前も書かれていない…


「何だろう?」


封筒は閉じられていなかった。

何か手掛かりがあるかも?と思い中を見てみると…

桜の押し花のしおりが…1番大好きな花に


「綺麗…」


思わず口から自然と出た言葉…


「でも、誰から?」


翌日、クラスメイトの友達に聞いてみたけれど、みんな


「知らないよ」


小学校の時からの1番仲良しな香ちゃんにも、

紗穂ちゃんにも、歩実ちゃん、史華ちゃんには、

電話で聞いてみたけれど…同じ答えが帰って来た。



香ちゃんが「ピンクの封筒だから…

男子にも一応聞いてもらったけど、

みんな「分からないな」だって…」


結局、何も分からないまま…

でも、綺麗なしおりに一目惚れした美緒は、

大切に使う事にした。


「1年中好きな花と一緒…」


1年後、2年生の春に再び、あの封筒が…

中身は、やっぱり桜のしおり…再び、


「誰だろう?」


と思ったけれど、今年は喜びの方が大きかった。

その後も3年生、高校3年間、

大学に入学後も…封筒に入ったしおりは、

毎年届き美緒の宝物のしおりは、7枚になった。

大学2年生の春…

ポストの中に、楽しみにしていた封筒は…

入っていなかった。 

心にぽっかりと穴が空いた…

だけど、今まで毎年届いていた事が奇跡…

未だに誰からなのかは、不明のまま。

今、手元にあるしおりをさらに、大切に使おうと

心に決めた。


カレンダーを見ると…1週間後は、成人式。

そして、その前日は「タイムカプセルの『開封式』」

みんなの夢は、叶っているのかな?8年振りの再会…


成人式前日…


大人になったみんなと、8年振り母校での再会。

校長先生、担任の小川先生、

各クラスそして、同級生が集まった。懐かしい光景…

美緒は、香ちゃんと紗穂ちゃんと3人で…

途中で歩実ちゃん、史華ちゃんとも合流して登校。

男子も遥斗くん、蓮くん、樹くん、優真くん、駆くん

仲良しな仲間が、集まった。


みんなで少しずつ協力して掘り、

タイムカプセルを取り出した。

「優しい看護師さんになりたい」香ちゃん。

「幼稚園の先生になりたい」紗穂ちゃん。

「お花屋さんになりたい」史華ちゃん。

「お母さんと同じパティシエになりたい」歩美ちゃん。


男子も…


「空を飛ぶパイロットになりたい」遥斗くん。 

「お父さんのお寿司屋さんを手伝う」蓮くん。

「パン屋さんになりたい」優真くん。

「お医者さんになりたい」駆くん。


みんな思っていた自分に近づいている…

私は「小学校の先生になりたい 美緒」

今、教育学部の2年生…うん、近づいてる。

そこに樹くんがやって来た。


「あっ、樹くんの夢は?」すると…

「役に立って大勢の人を笑顔に出来る仕事がしたい」

だと教えてくれた。

「今は、大学生なんだ」

「一緒だね」

「帰国中なんだ。アメリカに住んでいて…」

「えっ、アメリカ!!」

「父の仕事の都合で…小学校を卒業してから。

急だったから…」

「そうだったんだね」

「外交官になりたいと思ってるんだ。あと…これを…」

手渡されたのは、小さなメッセージカードとピンクの封筒。


「この封筒!」


メッセージカードには、

「僕のもう1つの夢を叶えてもらえませんか?」

と書かれている。封筒の中には、桜のしおりと手紙…

「役に立って大勢の人を笑顔に出来る仕事がしたい」

「これは、樹くんの…」

「続きを…読んで」

もう一度手紙を良く見ると…

「たくさんの人を笑顔にする仕事をしたい。

桜の木の下で出会った好きな人と一緒に…樹」


「!!」

「小学校の入学式の朝…僕も、桜の木を見てたんだ」

「知らなかった…

でも、このしおり…樹くんは、アメリカに」

「こっちに祖父母がいて、

毎年春に少しだけ会いに帰ってたんだ…

数日の帰国で…その時に作ったしおりを、

君の家のポストに…本を、良く読んでいたから…」

「樹くんが毎年、届けてくれていたなんて!」

「2年後には、卒業して帰国出来るんだ」

「帰って来るの?」


「美緒、入学式の時からずっと…好きだったんだ!

卒業したら、僕と…一緒になってくれませんか?」

「実は…私も、樹くんがずっと好きでした…

よろしくお願いします!」

すると、祝福の拍手が…

校庭のこの桜の木の下で私は、8年後、

樹くんと一緒になる約束を…

そして、2年後…2人とも無事に卒業して試験を受け、

樹くんは、外交官に。私は、母校の小学校の教師になり、

春風美緒から樹くんの名字…桜嬉美緒になりました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 可愛らしい文章で書かれた初々しいお話にほっこりしました。 素敵な初恋が実ってよかったです!
[良い点] 面白かったです。 最初にみんなの名前が平仮名なのが、ある意味で伏線になってますね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ