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1話

文章を書くのはだいぶご無沙汰なのでリハビリついでにやっていこうかと

私ことアイビー·クラークは平凡な一般市民である。


多少は容貌が優れているのか本当にたまにではあるが街中で見知らぬ男性に声をかけられるようなこともある。

…まぁ、大抵は奥さんどころか孫までいそうなお爺さんに声をかけられるだけのものだ。


…おそらく可愛いのではなく幼いだけということは薄々理解しているが将来に期待ということで。


父と母は幼い頃に流行り病で亡くしたため孤児院に預けられ、16歳までに職につけるようにと教育を受けてきた。


私はあと1年で孤児院を出なくてはいけない16歳であるため、明日は孤児院の院長であるピーター神父と目指している職について相談できる面会の日であった。


私の将来の夢は冒険者ギルドの職員である。


冒険者ギルドの職員は冒険者という不安定要素が多い仕事のサポートに当たることもあるため、まず育成所に入る際に学業での優秀さを証明する必要がある。


試験には毎回100人もの子供が応募して10人に満たない数にしか入学は許されない。


しかし、それだけ質の高さを求めることもあり養成所での学費、生活費は全額ギルド負担でありそれどころか職員見習いとして少しではあるが給金の支給まであるのだ。


この福利厚生の手厚さに惹かれ、いよいよ半年後に控えた入所試験のために私は必死に猛勉強していた。





なのに…なのになんでッッッ!!!!!



「え?将来の夢は聖女でーすっ♡」




頭の中身がスカスカなんじゃないだろうかと疑うほどの軽い受け答えをしたのは私なんだけど私じゃない。


あーもう!!!


ピーター神父もにこやかに「そうか、常日頃から信心深い君のことだ。良い目標だと思うよ。」じゃなくていつもと様子が違いすぎることに気づきなさいよ!!


閉じた瞼に朝の光が差し込み思わず顔をしかめる。



孤児院の窓には申し訳程度にカーテンを名乗る薄い布がゆらゆらと揺れていて遮光性はゼロに近い。


だから、1番窓際のベッドの私が朝の光が差し込んで目が覚めるのはいつもの朝と同じではあるのだ。


問題点はただ1つ、この目を開けた動作もベッドから降りて慌てて鏡を見に行く動作も


全部私の意志じゃないというただ一点にある。


目を覚ましたと思ったら私は宙から私の体を見下ろしていた。


え?なに?私死んだの??


これが噂の幽体離脱か…


なんてことを考えていた。


ところが私の体は私の意識を抜きにぱっちりと目を覚ますと


「知らない天井だ…」


と呟き、ついで伸びをして


「え?!嘘!?持病の腰痛がなくなってる!!!」


と叫んだ。


どうやら、私ではない意識が中にあるようだ、と非現実的な現実に半ば混乱しながら考える。


その、私の体を動かす()()()は慌てたようにベッドから降りると飛び上がったり左右に飛んだりとなにやら奇行を繰り返している。


「軽い!身体が!まるで30年前に戻ったようだ!!」


そう叫んだあと、ハッとしたようにまじまじと手を見つめ、肩にかかる髪を掬い、何を思ったか突然バッと胸に手をやり揉みしだく。


人の身体でなんてことを!!!

まるで私が朝から奇行に及ぶ変態のようじゃないか!


…まぁ実際そうなってるんだけど。


「んぅ…おねぇちゃん…?うるさぁい…」


ほら、騒がしくするからうちのちびっ子たちが起き出してしまった。


「え?あ、あぁ、悪い悪い。」


チビたちを起こしてしまって多少は反省したのか泥棒のような怪しい歩き方でそっと窓に近づき映る()()の姿に目を丸くする。


「これ…え、えっ、アイビーちゃんじゃん…」










は?なんで私の名前知ってるの?


「マジかよキタコレ!!これが最近流行りの異世界転生かよ!!それに俺の()()()()()()()だなんてもうこれは完勝じゃねぇか!!!」


ヒャッハー!!と先ほどの反省はどこへやら奇声をあげている。


ゲームの主人公?ってなに?


『だからもう奇行に走るのはやめてってば…』


つい独り言が漏れた。


すると私の体はバッと私の方を振り向くとまじまじと見つめてくる。


「嘘だろ?!アイビーちゃんなんで浮いてんの!?」


『見えてるの?!ってかアンタ誰よ!私の体返しなさいよ!!』


「戻り方わかんねーし、いやだ!俺はもうクソハゲ爺共に怒鳴られて馬車馬のようにじゃなくイケメン共にチヤホヤされて生きるんだ!!」


『は?!アンタのことなんて知らないわよ!私の人生はどうなるの!!』


「そんなん俺に聞かれてもわかんねーって!!」


『この…【自主規制】!!!』


「わー!!俺の可愛いアイビーちゃんの顔でそんなこと言わないの!!!めっ!!」


「おねーちゃん…壁に向かって何喋ってるの…?」


やばい、チビたちが得体のしれないものを見る目でこちらを見ている…


「あっ、ご、ごめんね〜!えっと、」


『今度の劇のセリフって言っといて!』


「そ、そう!今度の劇の練習なの〜!」


「わぁ!そうなんだ!バザー楽しみだね!!」


「そうね、!おほほほ!」


「でももうそろそろ下に降りないとシスターマリネッラに怒られちゃうよ?」


『ちょっとしたら向かうからって先に行かせて!』


「わ、私は少しやることがあるから先に行ってて頂戴?」


「うん!わかったー!」






✾✾✾✾✾✾✾✾✾✾







『で、貴方は誰?なんで私の中にいるの?』


「あー…まぁなんつーかなぁ、異世界転生ってわかるか?」


異世界、転生?輪廻転生の考え方ならどこかの部族の考えにあると学んだ気がする。


『異世界っていうのは?』


「端的に言えばここじゃない世界のことだ。海も陸もどこも繋がっていないところに全く別の文化や歴史を持った世界がある、って言われて理解できるか?」


平行世界(パラレルワールド)…ってやつね。お伽噺の類だと思ってたわ。』


「いや、わかるんかい!…まぁわかるなら、いいや…」


『それで?あなたは誰で何故私になっているのか聞いてないわよ?』


「なんでこうなっているのかに関しては俺にもわからん。神様の気まぐれってやつとしか思えん。」


『人の一生をなんだと思ってるのかしら、腹立つわね。』


「えぇ…アイビーちゃん信仰値どうなってんの…あぁ、そうだ。俺は蔦屋浩二、42歳だった、といえばいいのか?」


『ツタヤ…珍しい名前ね。』


「あー、まぁそっちも間違ってはいないんだがレンタルはしてねぇから名前の浩二で呼んでくれ。」


『あら、北の国みたいな仕来りがあるのね。』


「こーゆーのの鉄板は極東なんだけどなぁ…言っても仕方ないか。」


『じゃあ次ね。私の名前を知っているのはなぜ?』


「乙ゲーって言ってもわかんねぇもんなー…」


『おつげー?』


聞き慣れない響きの言葉である。

神託のようなものだろうか。


「まぁ、あれだ。お伽噺、そう。お前は俺の世界ではそれの主人公だったんだよ。」


『え?私が?何故?何か偉業を成し遂げたりしていないしするつもりもないわよ?』


「いや、【蔦の乙女と七人の聖騎士(パラディン)】ってタイトルだったんだけどな?結構ヒットしたのよこれが。ツタパラっていってT○itterのトレンドのったくらい。」


『ツタパラ…?ツイッ…なにそれ?』


「あーまぁこっちの話。まぁ端的に言えば聖女となったお前が7人の超絶美男子の中から1人を選んで愛の力で魔王を倒すって話だな。あ、もちろん逆ハールート、ソロルート、ノーマルエンドも存在するぞ!」


逆はー…?

愛の力で魔王をってそんなことできたら誰も苦労しないわね。

協会に野菜を届けてくれる八百屋の彼は典型的な幸せ新婚さんだ。

是非魔王だか聖女だかを倒してもらおう。


それにしてもこの男、早口でまくし立てて


『私の理解力が足りないのか、貴方に説明する意志がないのかどっちなのかしら?』


「ご、ごめんて…」



ギャグがどうしても古臭くなりがち

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