第1話 始まり
就活生の身であるのですぐには更新できませんが気分転換に書いてみましたので初めてですので感想をもらいたいです。
こんな世界ならいない方がマシだ。
俺は目を閉じた。
ふと見渡すとそこに広がるのは今まで見たことのない世界だった。窓から広がるのは魔物のような生き物が飛び、大きな城下町のようなものが見える。夢でも見ているのだろうか。
俺はふとそう思った。
「なにを見ているの?」
聞き馴染みのない声が聞こえてきた。振り返るとそこには女性が立っていた。
髪は長く金色に輝いていてとても美しい女性だ。
俺はついきょとんと見惚れてしまった。
「お母さんがそんなに綺麗?」
母親と名乗る女性に対し
「えっ、いや、あの、、」
は咄嗟の事で何も言い返すことが出来なかった
母親は俺が幼い時に亡くなっているし俺は父親に育てられている。
「レ・イ・ド・?」
不思議そうな顔で俺を見つめてくる
「ああ、なにお母さん?」
とりあえず今は合わせて置く。
「もうすぐ夜ご飯の準備が終わるわよ」
そういうと俺のいる部屋から出て行った。
とりあえず部屋を見渡そうとした瞬間、鏡が自分の姿を写す。
…?俺ではない誰かだった。
そして、自分はどこの誰なのかとふと考える。
確か、母親と名乗る女性はブレイド呼んで…
違う確か彼女はレ・イ・ド・と呼んだ。何か思い出そうとした瞬間、極度の頭痛に襲われ気を失う。
目が覚めるとそこには男が立っていた。
空の上のようなこの空間で男は言った。
「君には能力を与えよう。これを活かすのはお前自身でありお前以外ありえない。ただ、タダでは渡せない。今いる世界、あるいは…」
目が覚める。そこには母親がいた。
「レイド、大丈夫?」
心配そうに見つめる母をみてそっと頷く。
今のはきっと夢なのだろう、俺には才能がなかった。だからあの時あのような…そう思い悩んでいると母親が
「大丈夫そうね、ほらご飯の時間よ。いきましょう!」そう言い俺の腕を掴み部屋を出た。
2階から1階へ降り食堂へと向かう。中へ入るとメイドや執事のような人達がいる。
驚いた。俺は父親と2人で暮らし不自由のない生活をしてきた。それが今目の前には大勢の人からの視線がある。
「御用意が出来ました。リーシャ様、ロイド様」
メイド達が一斉に声を出す。
母はただ頷く。俺はどうすればいいかわからずとりあえずお辞儀をした。
「あら、どうしたのロイドあなたいつもなにを言われても反応なんてしてこなかったのに」
リーシャは言う。
これはミスをしたか?ふと心の中で思う
「あなたも成長しているのね」
と言いながらリーシャが先に席に着く。
ふと食卓を見ると父親らしき男と自分と同じくらいの男が2人と女が1人いる。
「レイドお前もやっと周りに興味を持ち出したか?」渋い声で男は言う。
「そうね、アレスあの子もやっと…」リーリャは目に涙を堪えている。
俺は一体どんな問題児だったのだろうと考えながら席に着く。
「お前もやっと自覚が出てきたか。兄さんは嬉しいよ」隣の男がそういうと男は俺の頭をそっと撫でた。
なぜか懐かしい気持ちになった。この体が覚えているのだろうか。わからない。
だが自然と彼はきっと良い人なのだと自然と思えた。
「レイド兄様だけずるい!ロロも撫でて下さい!ラルス兄様!!」ぷくっと頬を膨らませ怒る男の子。きっと僕の弟なのだろうと察する。そしてロロの隣いる女の子もきっと俺の家族なのだろう。
騒がしくなってきたところで父であるアレスが咳払いをし、一言。
「静かにしなさい。夕食の時間だ。」
静かになったところで
「いただきます」とリーシャがいい各々食事を摂る。
食事は高貴なものだと一目でわかった。食べた事のない物ばかりだったがとても美味かった。
一通り食事が終わるとアレスが俺の方を向く。
「お前は1週間後10歳になる。10歳になれば神より祝福を受ける事になる。そうなればお前ももう自分の進む道を選んでいかなくてはいけない。」
それに続いてリーシャも
「あなたは自分には何もないと言っていたけれど私はそうは思わない。あなたがどれだけ努力してきたかは知っているし、あのような事を知って残念かもしれないけれどシュタイン家の次男として頑張りなさい」と言う。
情報量の多さに戸惑う。年は前世とさほど変わらない。祝福?一体なんだその魔法のようなものは。俺の世界では剣での力が全てでありだからこそそんな強い男になれとブレイドという名を父から貰った。
だが、この世界は何かが違うらしい…
そして、リーシャは言った。あのような事を知って残念かもしれないと。きっと俺はこの世界で必要な物が欠如しているらしい。とは言っても今の俺に出来る事もないだろう。とりあえずここは
「お父様、お母様ありがとうございます」
席を立ち、頭を下げてそう言うと父と母は驚いた表情をした。
「レイドあなた変わったわね。自分で切り替えられたのかしら。」父も頷いている。
それほどまでにレ・イ・ド・は不躾な男だったのだろうか。
すると迎えに座る女が
「気持ち悪い。」
そう言うと食堂を出て行く。
母は待ちなさいと一言言うが彼女は構わずドアを閉めた。
「ごめんね、レイド…あの子あなたの事、大事にしていたから急にあなたが変わって驚いているのかしらね。」そういうと頭を下げてきた。
大丈夫だと声をかけ、俺も食堂を出る事にした。
今までの出来事を早く整理したかった。
食堂を出て階段を上がり自分の部屋に入りベットへと飛び込み、そして考える。
まず俺の名前はただのブレイドではなく、レイド・シュタインと言うらしい。
そして父と母、兄と姉が1人ずつそして弟が1人であっているだろう。そしてメイドや執事がいると言うことは貴族かそこらの上級国民なのだと察する。そして近々、10歳になり祝福を受ける事になるが、母の言っていた話では俺はあまり出来る男ではないのだと考える。色々と考えているうちに眠ってしまった。
気づけばまた謎の空間にいた。目の前には謎の男。そして彼は言う
「少しは状況を理解出来たかな?ブレイド君の魂はレイド君の体に宿った。まぁ僕がそうさせたんだけどね?あぁ、さっきの続きだが君は近々祝福を受けるだろう?その時素晴らしい力を君に与えよう。きっと君はその力を有効に使ってくれるはずだ。そしてその力を使ってま・ず・はこの世界を救ってみてよ。話はそこからだ」
訳がわからない。こいつが俺の魂を移動させた?そしてこいつが祝福を与える者なのか?様々な疑問を抱きつつ、一つ質問した。
「お前は何者だ?」
「君たちの世界では神と呼ばれてるね。一応ヴァルヴェルドと名乗っておこうか。」
「なぜ俺を甦らせた?」
「たまたまだよ。本当にたまたまだった。だがそれが運命だったのかもしれない。同じタイミングであのような形になっていなければ…喋りすぎたね。せいぜい僕の暇つぶしに付き合ってよ。ただのブレイド君。」
彼がそういうと空のような空間が消えていく…
目が覚めると天井が見えた。外からはちゅんちゅんと鳥の鳴き声が聞こえてくる。良い朝だ。
いつものようにランニングをと思ったが今はレイド・シュタインなのだ。そう思い何をすれば良いか考える。とりあえず夢の中での出来事を思い出す。ヴァルヴェルド、奴がいいやつなのかどうかはわからない。だが奴の力でこのような状況になったのだ。1日経って考えてみると疑問があった。なぜこの世界では前の世界の言葉が通用するのか俺は前の世界の言葉を使って話していた。そして相手はこの世界の言葉を使っている。もしかすると前の世界とこの世界同じ世界なのではないのか?と考える。とは言ってもこの世界の情報があまりにも少なすぎる。まずは屋敷を探索しよう。そして怪しまれない程度にリーシャに聞いてみようと思った。自分の部屋を出て1階に降りる。
階段を降りてすぐそこに本がたくさんある部屋を見つけた。まずは本でも読むか。
字を読む事は出来たし数字もわかる。同じ世界に魂だけが移っただけなのではと考え、父親に会えるのではないか、自分の家があるのではと淡い期待を抱いていた。が、その期待は泡と化す。
この世界の地図を見つけた。
確かに元いた世界と似たような地形だったが、大陸の名前や国の名前、海や山の名前が違ったのだ。これを見て本当に自分は魂を移動させてきたのだと痛感した。それから色々な本を読み進めていくうちにつれて前の世界とは大きく違うことが分かった。大きく違う点が2つある。
1つは祝福である。祝福とは10歳なると誰でも得ることが出来るというスキル?のような物である。
その祝福によって人生が大きく変わり祝福の力が強ければ強いほど人生は良いものになるだろう
そしてもう1つが魔法だ。 俺の世界では剣術こそが全てでありそれによって自分の人生を決まる。
小さい時から親父には剣術を教わったきたが、俺は弱かった。強くなりたくて努力した。だけど…死んだ。いや、自ら命を経った。剣術学校に通い強くなろうとした。だが周りからの視線は辛かった。あの子フェルツ様の子供なのになんであんなに弱いの?そんな声が周りから聞こえる。親父は偉大だった。俺が生まれる前に悪魔大戦という大きな戦争があったらしい。その中で親父は悪魔を狩り英雄となった。が、そのすぐルシア母さんと結婚し俺が生まれた。ルシア母さんとの記憶はほとんどない。父から聞いた話ではハーフエルフでありながら豊満な身体に惚れたなんて言っていた。お前も赤子の時はルシアの乳を羨望の眼差しで見ていたぞ?と言われたりもしたが赤子なら当然だろう。そして2人は俺を育てる間に1人になった。
話を戻そう。
俺は弱かった。それを父だけは許していたが周りは許さなかった。周りは俺の存在を蔑み虐めた。
俺は剣術学校に通い出してから劣等感を強く感じるようになった。周りへの劣等感。親父への劣等感。そして何より自分が何をしてもうまくいかない絶望感。俺はふと考えた。なぜ俺はこんなにも弱いのか。母さんだ。ルシア母さんの所為だと。
今、冷静に考えると馬鹿げた答えだったが当時の俺は切羽詰まっていた。そしてそれを親父に言ってしまった。
親父は激怒した。気づけば俺は殴られていた。
「お前本気で言ってんのか!?ルシアがどんな思いでお前を産んだのか知ってんのか?!」激昂する。しかし俺も黙ってはいない。
「別に俺は産んでと頼んでもないしこんな体なら産んでほしくなかった。」俺がそう言うと彼は殴るのをやめて自分の部屋へと戻って行った。戻っていく顔は完全に糸が切れていた。
俺は唯一味方でいてくれた家族を壊したのだと理解出来た。俺はもうこの家にはいれない。
そう考えて、、命を経った。
だが、今この世界は剣術より魔法らしい。
魔法は前の世界ではお伽話のように聞かされていたが実在していたとは。
だが不安があった。昨日リーシャに言われた一言だ。
あのような事を知って残念。その真相を知る為にリーシャに会いに行く。
リーシャの部屋へ向かいノックをする。
「お母様、お聞きしたいことがあるのですがよろしいでしょうか?」
部屋の中から返事が聞こえた。
中へ入ると書簡がありリーシャはその整理をしていた。
「お母様、大変お聞きしにくいのですが俺はどのような状況なのでしょうか?少し自分で整理したくて周りから的確な状況を知りたくて。」
リーシャは首を傾げたが昨日の俺の代わりようを思い出し少し考え話した。
「そうね、レイドも1人で考えてくれてたんだもんね。私と一緒に整理していきましょうか。数日前に神官様に会いに行ったのは覚えているよね?その時にあなたが昔から魔法が使えない事を神官様に聞いたの。そうしたらあなたからは魔力を感じないと言われたわ。普通誰もが持っている魔力を。そうして数日の間あなたは自分の部屋に引きこもったの。そして昨日窓を開ける音が聞こえたから急いでわたしが駆けつけたのよ」
とリーシャは聞かせてくれた。
絶望した。また俺は才能のない人生を送るのか。また周りから蔑まれ虐められるのかと過去の記憶がよぎる。だがふと思い出す。ヴァルヴェルドは言った。力を俺に与えると。
となると状況が変わる。もしくはとてつもない祝福を受けるのではないかと期待する。
色々と考えている中リーシャが俺の顔を見つめているのに気付く、
「申し訳ありませんお母様。しっかりと自分の中で整理出来ました。とりあえず祝福を受けてからまた色々と考えたいと思います」
それに対してリーシャは
「そうね、魔力を持っていないと祝福を受けられるかわからないけどその日になるまで待ってみましょう。また何か相談があったら言ってね?」
といい俺の頭を撫でた。俺はそれが終わるまで待ち頭を下げてお礼を良い部屋を出る。
玄関から音が聞こえてきた。ふと覗いてみるとアルスが部下のような兵士を連れて家を出て行った。彼も親父のような強い男なのかと考えつつ自分の部屋に戻った。
部屋に戻り椅子に座り全てを整理する。
整理を終えて出た結論はまずは祝福を受ける。そこからだろう。その日まであと6日ある。それまでにこの世界の情報、歴史をもっと深く理解し覚える必要があるだろう。
そう考え、本のある部屋と自分の部屋を行き来し調べている間に運命の日は訪れた。
1話書いてみました。
感想お待ちしております。