再会3
俺がノエルに暴言を吐かれ、落ち込んでいるところにあのアホな首相が近づいてきた。
「なぁ、紹介しろよ。俺だってこんな綺麗な人と知り合いになりたいんだから。」
「はいはい。分かったよ。今俺をアホ主人って呼んだのがノエルな。ほんで、この世界一可愛い子が凪乃だ。凪乃、この人にパパとママはいろいろと助けて貰ったんだ。凪乃もこれから会うかもしれないから挨拶しておきなさい。」
俺は抱っこしている愛娘にそう言った。しかし、二年も経つとこんなに大きくなるのか。成長を見られなかった事を思うとかなりショックだ。
「たてかわなぎのです。ごさいです。よろしくおねがいします!」
「はい、よろしくお願いします。」
凪乃がキチンと自己紹介が出来てる!ウチの子天才なんじゃない?
俺が一人感動していると、ノエルが自己紹介を始めていた。
「改めまして、蓼川 ノエルと申します。今後とも宜しくお願いします。主人ちなみに、世界一ではありません。宇宙一です。」
ノエルが怒った様に言う。
「そうだった!俺はバカだな。凪乃は宇宙一可愛い子だ。」
「お前らって親バカなの?いや、ぜったいそうだ。」
おっさんが失礼な事を言う。
「いや、俺は親バカじゃあないぞ?だって本当の事だもん。」
「手遅れかよ!」
おっさんが何かオカシイ物を見た様に言う。
「総理、そろそろ。」
黒い人達の中の一人がおっさんに近ずいて来てそう言った。
「ん、もうそんな時間か。分かった。んじゃ、また来るわ涼太君。後、明日から三人共ちゃんと学校に行くように。まあ、一人は保育園だけど。」
「分かってる。なんか、色々大変だったんだなと思う。ありがとうございます。」
「気にすんな。そんじゃな。」
そう言っておっさんは帰っていった。
「じゃあ、俺たちも家に入ろうか。」
「分かりました。これからもまた、よろしくお願いしますね。主人。」
「ああ。こっちこそ。」
ちなみに、凪乃はもう玄関の前にいる。
鍵を開けて家の中に入り、荷物の整理や明日の用意をした後、まだ四時だったので俺は買い物に行くことにした。幸いにもノエルは夕ご飯の準備中なので家に残る。
「ちょっと出かけて来るわ。夕ご飯までには帰るから。」
「分かりました。ただし、余計なものを買ってきたら怒りますよ?」
ノエルが目が笑ってない表情だけの笑顔でそう言う。
「あ、はい。もちろんです。余計なものは買ってきません。」
ビクビクしながら家を出た。
この世界、というより日本では俺たちはもう夫婦なのだからケジメはつけなければならない。その為に必要な物を買いに行くのだ。
家から最寄りのテ○ファニーに向かう。いかし、いざ店の前まで来ると物凄いプレッシャーが。ヤバイもう家に帰りたい。だが、今逃げてしまうともう二度とここには来れず、今の曖昧な関係を続けることになってしまう。それは嫌だ。
俺は意を決して店の中へはいった。
「いらっしゃいませ。」
若い女性の店員さんが笑顔で言ってきた。店の中は二十代後半の男性と、三十代中盤のカップルがいた。
店員さんからのテメェにはまだ十年早ぇよ。という無言の視線の圧力をひしひしと感じながら店員さんのところへむかった。
いや、俺がそう感じるだけなのかもしれない。テ○ファニーも若者が買えるような価格帯の商品を出しているそうだし。
俺がこのお店に来ることだっておかしくはないはずだ。買うものの価格さえ相応のものであれば。
「あの。」
「はい。本日はご来店ありがとうございます。どういったご用件でしょうか?」
うーん、ここで婚約指輪ほしいですっていうの、すごく恥ずかしいのだが。
「あの、婚約指輪を買いたいんですけど。」
「かしこまりました。婚約指輪ですね。お客様はどの様なタイプのものをご希望でしょうか?」
あ、普通にはいーって感じで対応してくれた。よかった。
えーっと、ちょいと待ってね。
「これが欲しいんですけど。」
スマホの画面を開いて店員さんに見せる。いや、だってめちゃくちゃ商品名が長いんだもん。
なに?テ○ファニーセッティングエンゲージメントリングチャネルセットダイヤモンドバンドプラチナって。
覚えきれませんって。
「かしこまりました。テ○ファニーセッティングエンゲージメントリングチャネルセットダイヤモンドバンドプラチナですね。では、指輪のサイズはおいくつでしょうか?」
「六号でお願いします。」
指のサイズも事前に確認済みだ。もちろん、本人には内緒だ。以前、ノエルが薬指にはめていた指輪を拝借してサイズを確認した。
その指輪は、二年前に凪乃と俺と三人でお揃いのものを買ったときに、ノエルが左手の薬指に付けていたものだ。
この頃は何故か付けていない。
「かしこまりました。ではあちらでこちらの指輪について詳細をご説明させて頂きたく思うのですが、お時間の方は大丈夫でしょうか?」
おっと、そんなにかかるのか。まあ、時間は大丈夫であろう。多分。
「分かりました。じゃあお願いします。」
「かしこまりました。では、ご案内いたします。」
********
結局二時間ほど話し込んだ。決めることが指輪以外にもあるし、今日その場で現物がもらえないってことも驚きだった。
お会計?びっくりな額ですよ。金額を提示された時の衝撃といったらもう、ね?ノエルに殺されるわって、俺、死ぬかもって。
でも、財布の中にある一枚のあるカードのおかげで何も問題はないんだけれどね。
そのカードは二人でノエル達を家の前で待っていたときにおっさんから、貰っていた別のカードだった。
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