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64話 王女開放戦 4

 影魔法、影縛り。

 人によって特徴は変わるが、大体は影から伸びて拘束する。

 しかし、ただ拘束するだけではない。拘束の力を強くすれば引き千切ることもできるのだ。

 ただ、カインが今まで魔法で攻撃してこなかったのは、いつもよりも魔力の消費が多いからである。

 

 騎士のように、魔法学院に通って魔法の事について勉強しているわけではない。

 魔力の量というのが戦いでは何よりも左右される。それ故に、魔力の量を増やす方法というのは基本的に秘密であり、簡単に話せるものではないのだ。

 

 だからカインは、魔力の消費を抑えるために魔法で攻撃することはしない。

 ただ、方法がないわけではない。欠点が魔力の消費が多いからということで、そこを解決できる何かがあれば魔法で攻撃することができる。

 

 

 

 氷の騎士を群れをなして襲って来る。隊列はなく、ただがむしゃらに襲って来る。それは戦術というものはなく、あるとすれば物量で押すという原始的なものだ。

 

 カインはそれをひたすら受ける。

 影から伸びる触手が人の腕ほどの太さになり、氷の騎士を押し潰したり薙ぎ払ったりしていた。

 ただその動作だけで、カインの魔力がガリガリと減っていく。

 それを自覚しながらも、カインは休むことなく魔法を行使し続け、懐から取り出したポーションを飲み込む。

 

 口に入れた瞬間、カインの顔色は蒼くなった。それは気分が悪い、というのではなくただ不味いのだ。

 ドロッとした粘り気のある液体が喉を通る。それだけで気持ち悪いし、後味がまた酷い。

 

 苦いのであれば、まだ飲める。ただ一言、不味いのだ。

 幾つもの効果のある薬草や茸であったり、それらを凝縮してあるため余計に味がおかしくなっている。

 それでも、魔力を回復するマナポーションがなければ戦いにすらならなかった。

 

 最強の暗殺者だとは言われてても、欠点がないわけではない。

 相手が多ければまず勝てないし、自分より強いだったら尚の事。

 カインは暗殺者だ、戦士ではない。一対一の戦いはしてきたが、一対複数の戦いはしてこなかった。


 氷の騎士を何度も何度もなぎ倒していると、レストも黙って見ている訳にはいかなくなる。

 物量をぶつけても、相手はひるまず防ぎ続ける。それはいいのだが、このまま続けられるのならという枕詞が付く。

 カインもそうだが、レストも魔法を行使している。

 魔力がなくなれば、氷の騎士を生み出すことはできなくなり、勝利の女神はカインに微笑む。

 

 レストは現状を変えるべく、遠距離から氷の矢で狙撃を試みる。

 床にバリスタを作り、腕ほどの大きさをした矢を装填した。

 これは魔法である。狙いを定め、撃つ。それだけでバリスタを発射される。問題はタイミングだ。

 

 ただ適当に撃てば、弾き返されるのは目に見えている。

 そのためにレストは隙を伺う。

 いつもの、大臣に頼まれた仕事のように気配を消し、呼吸の音を消し、闇と同化する。

 

 カインが新しいマナポーションを取り、飲み込もうとする。

 その時ばかりは飲み物を飲もうと、マナポーションを上げて一緒に顔も上げる。その隙を見逃さず、レストはバリスタを放った。

 狙いは頭。串刺しにするようなイメージをするように放たれた巨大な矢は真っすぐに顔へ。

 顔を貫かれるのに期待を込めてカインを見ていると、マナポーションを飲むのを辞めて上げた顔を戻して目と目が合う。

 

 顔に氷のバリスタの矢が迫るというのに恐怖する様子も見せず、ただこちらに不敵な笑みを浮かべて口を動かす。

 それが何を言っているのか分からない。だが、何故か理解できた。

 

『読・ん・で・い・た』

 

 虚を突いたはずの氷のバリスタの矢は、影の触手がカインを守るように前に立ちはだかって掴んで握り潰される。

 糞ッ!! とレストは内心毒づく。

 完全に隙を突いた一撃。それを読まれ防がれることなど考えていなかったからだ。

 こうなったらもう……。

 

 彼に残された選択肢は一つしか残っていなかった。

 ベッドの縁に座って不安そうな顔でカインを見つめるフィラルシアに向かって、レストは足音を立てずに近づく。

 あと一歩、という所で気づかれフィラルシアは逃げ出す。

 

「嫌!!」


 彼女は精一杯の拒絶をするが、少女と成人男性。歩幅の差は大きく、すぐに接敵した。

 

「どっちみち死んでもらうんだ。それが早いか遅いか、その違いしかないんだ」


 レストは氷の魔法で生み出した剣で、フィラルシアに襲い掛かる。

 彼女が前に作ったお守りも一回だけしか使えない代物で、もう彼女を守ってくれるものは何もなかった。


「助けて、カイン」


 自分に迫る凶刃に恐怖で目から涙が浮かび、目を瞑ってしまう。

 痛みを堪えるように、身構えていたが襲い掛かる凶刃は待てども来ず、目を開けるとそこにはレストと鍔迫り合いをするカインがいた。

 

「カイン?」


「遅れました、姫様。護衛代表のカイン。あなたをお守りします」


 彼女の不安を払拭しようと、カインは敢えて笑った。

 

「下がっていてください」


「はい!」


 彼女は頷き、下がっていく。

 

「何故だ、何故あそこから逃れられた!!」


 目の前にいるカインが、まさか現れるとは思わずレストは絶叫する。

 今もまだ氷の騎士がカインを襲っているはずだ、足止めをしているはずだ。だからいないはずなのだ。どうして? とレストの脳裏で自問自答を繰り広げていた。

 

「簡単さ、アンタの視界から俺が消えた。それでここにいる」


 魔法も便利ではない。追尾式の魔法であれば追うかもしれないが、レストの魔法は氷の騎士を生み出す物。そして、カインに向かわせた。

 レストがもし、カインを見ていたならその都度追うように指示をする。が、カインを見なくなり、カインがそこからいなくなれば、氷の騎士はカインがさっきまでいた場所に向かって攻め続ける。

 

 要は指示待ち状態で前の指示をずっとしている、ということだ。

 

「だが、まだ戦っている音がするぞ!」


 もし、カインがいなくなればそれは影魔法も消えるという事。それは音も消え、誰でも戦闘音が聞こえなくなれば不信に思うはず。

 しかし、まだ音はしているのだ。戦っている証拠だ。

 

「そりゃそうさ、あっちは影分身で俺の影がいる。ついでに言うなら、影拘束も使っている。あっちもまだ戦っているさ」


 お蔭で俺の魔力がゴリゴリ減っているからもうやめたいけど、と内心愚痴を呟く。

 それだけ魔力を消費していれば、当然カインの魔力も心もとない。そのためのマナポーションではあるのだが。

 

「さあ、第二ラウンドだ。おっぱじめようぜ!」

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