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48話 狙われる理由

「カインが狙われる理由。それについては少し昔に遡ることになる」


 私の父が王になる前、父は権力というものに興味はなかった。

 しかし、今の地位になったのには理由がある。

 祖父にあたる前王が死んだ。それにより玉座が空席となり、それを狙って父の兄弟姉妹が争いを始めた。

 

 その結果、残った王族は権力に興味のなかった私の父、今の王だ。

 王になった当時は本当に大変だったらしい。

 兄弟姉妹に協力した貴族を一族郎党を処刑しようとしたが、その数が尋常じゃないほど多く、もし処刑してしまえば国力の大幅低下になってしまう。

 

 そうなれば他の国から狙われてしまう。そのため処刑することができなかった。

 今でも悪性腫瘍である問題の一つでもある。

 父が王になった当初、王の仕事に慣れていないこともあって、かなりの混乱があった。

 

 それを収めてくれたのが王の右腕ある今の大臣だ。

 彼のお蔭で傾いていた国もなんとか落ち着き、安定していった。

 このまま続けば良かったのだ。誰も野心を持たなければ。

 父はあのまま大臣に頼り切っていたのだが、問題が起きたのは私が学生だった頃。

 そうだな、七年八年前ぐらいか。

 

 大臣が父に協力していた理由、それはただ王という訳ではない。

 本当の目的は王を操り人形にすること。

 王にはならず後ろから操って実権を握る事が目的で、それを知った時には全てが遅かった。

 

 大臣は文官を自分の派閥で固め、騎士に至っては大臣の息子を騎士団長にしてさらに周りの騎士も同じ自分の派閥で固めたことで、完璧な態勢を作る。

 私の命も大臣にとっては王族は不要ということで狙われ、妹達も狙われていた。

 

 あのままどうにも出来ず終わるのか、そう思った時に一つの出来事が起きる。

 騎士団長であるフォードルが死んだことだ。

 お蔭で騎士団は崩壊した。

 

 元々、騎士団長の派閥で無理矢理固めていた騎士団。今の態勢を盤石にするには数年が必要だった。

 それを崩されたことで、反騎士団長派だった騎士達が名乗りを上げて騎士団は中から瓦解。

 おかげで私は学園を卒業でき、文官になって今の地位にいる。

 

「それがこの国の歴史だ」


 静かにラディアント第一王子の言葉を聞いていた。

 あの時、裏での国がそのような事が起きていたことは知らない。

 ただ性犯罪者を殺しただけにすぎない、と自分の中では思っている。

 だが、まさかそんな事が起きていたなんて予想もしていなかった。

 

 まさか一つの暗殺でそんなことが、と思いもしたが狙うのは政治に関わる人間だっている。

 変わる事もあるのだろう、と自分の中で納得する。

 

「それでどうしてカインが狙われるのですか?」


 フィラルシア様の問いにラディアント第一王子が再び口を開く。

 

「カインが前騎士団長のフォードルを殺したのが原因だ。さっきも話したが、フォードルが死んだ事で騎士団が瓦解した。そこを纏めたのが今の騎士団長なんだが、その騎士団長を押したのも私だ」


「やはりお兄様も関与しているんですね」


「当たり前だ。私や家族を狙っていたんだ、全員纏めて地獄に送ってやる」


 その目には殺気すらも混じっていた。

 絶対に許さない、という言葉が読み取れる。

 

「今の騎士団長のおかげで今の騎士団の形になった。前の騎士団で風を吹かしていた奴らは居場所がなくなり、別の町に飛ばされた者だっている。そこら辺は護衛のティシアも分かるんではないか?」


 話を振られ、皆の視線がティシアに集まる。


「確かに、騎士の中ににも周りからあまり良く思われていない人達がいましたが、それが理由だったんですね」


 ティシアもラディアント第一王子からの説明がなければ知らなかったらしうい。

 それだけ周りには広がっている内容ではない、ということのようだ。

 

「その騎士達は不満に思うはずだ。原因を作った男を。長年虐げられた騎士達の恨み、不満は殺意に変わるのは目に見えて分かる。そんな時だ、目の前に獲物が来た」


「それは……死に物狂いで襲って来ますね」


 今までの憎しみを晴らすかのように殺しに来るのが、目に見えて分かる。逆に言えば、今まで何もして来なかったのが驚きだ。

 何か嫌がらせ一つでもしてきそうなものだが。

 

「しかし、今まで何もして来なかったのは何ででしょうね」


「それはあれだ。私がブロックしてきたからだ。有難く思え、守ってやったんだぞ」


 は? それって……。

 

「ということはですよ、兄様。それは今まで防いでいたからこそ、我慢の限界を超えて襲ってきた、ということですよね」


「ああ、そうとも言うな」


 ガスの発散が必要だった。なのに、それすらも発散させず、その結果が今。

 充満してボンッ!! ということだ。

 ラディアント第一王子の言葉を聞いて、フィラルシア様はため息を吐く。

 

「やはりラディアント兄様が関与していたのですね。それで、他には何かないんですか?」


「他にか?」


 そう言われてラディアント第一王子は考えこむ。

 どれが話せるか、何が話せないかを探っているに違いない。

 

「そうだな。あほの騎士を持つ大臣は大変だ、ということぐらいか? 騎士が短慮に暴走したせいで、それを拭う羽目になったんだがな」


 悪い笑みを浮かべるラディアント第一王子に、寒気すら感じた。

 今までのことすら策略として暗躍していたように思える。

 

「この機会を逃すつもりはない。奴らを根絶してやる」


 なるほど、俺はそのために利用されたというわけか。

 ラディアント第一王子は自分を殺そうとした大臣やその貴族を殺そうとしたが、大義名分がなくて何もできなかったのだろう。

 そんな時に恨まれている俺が来た。利用して、大義名分を手に入れたかったに違いない。

 

「これっきりだけですよ」


 フィラルシア様は笑顔を浮かべる。

 それはただの笑顔ではない。最終通告、次はないという言葉の重みがあった。

 

「あ、ああ、分かった」


 その重みに思わずラディアント第一王子は言葉が詰まった。


「今回の件、護衛だけではなく私にも被害があったんです。事前に私へ伝えてください」


「分かった。ふぅ、誰に似たんだか」


 先程の言葉の重み、それは少女が簡単にだせるものではない。

 それ故に解放感からか愚痴をこぼした。


「私はお兄様やお姉様を見て育ちましたから、当然です」


 エッヘン、と誇るようにフィラルシア様は胸を張った。

 

「そうか、なら心強いな」


 彼女の反応にラディアント第一王子は納得するしかなかった。

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