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45話 共同特訓 3

近々、作品名の一部を変更しようと思います。

 ティシアは城の使用人と一緒に騎士団長の元に向かっている。

 静かな足並み。二人の間に会話はなく、それ故に考え事をしてしまう。

 正直、悩んでいた。護衛の身でありながら、離れていいのかと。

 元暗殺者ではあるが、当時最強であった。

 護衛が一人抜ければそこを狙われないだろうか?

 

 それに、頭に引っかかていることが一つ。

 騎士団長が城の使用人に伝言を頼むだろうか? その疑惑が常に残り続けている。

 疑惑が頭の片隅をチラつきながら思考に耽ながら歩いていると、先頭にいた使用人が立ち止まった。

 着いたのか、と同じように立ち止まると使用人の進路上の先、そこにはフィラルシア様の側使えであるアンシュリーだ。

 

 認識があるのはティシアが護衛であり、フィラルシア様と同性であるためカインが教育中、着いていけない場所にまでついて行くこともあった。

 そこで知り合い、名前も覚えたのだ。

 彼女は今、カインの側にいるはずだ。なのに、どうしてここに。

 答えに至ったのはすぐの事だった。

 

 踵を返し、走る。

 礼儀が悪い? マナーが悪い? しった事か。

 これが特訓で本当の暗殺ではないからまだマシだ。

 もしこれが本当の実戦だったらなら。

 

 そう考えるだけで恐怖だ。

 走るせいか、それとも別の理由か、心がバクバクと大きく鳴る。

 気づけばフィラルシア様がいた部屋が目の前にまで近づいており、焦燥感に駆られて本能の赴くままに扉を開けた。

 

「姫様!?」


 部屋の中は悲惨だった。

 護衛であるイリスイス様が足元から伸びる影に手足を拘束され、口には影の猿轡で喋ることすらできずにいる。

 んー、んーと必死に身体を揺すって呻き声を漏らしていた。

 

 その後ろ、主人であるフィラルシア様の背後を騎士姿のカインが取って両肩に手を置いている。

 触れた、ということはこちらの負けということだ。

 

「まあ、反省会でもしようか」


 フィラルシア様が夕食までの間のするべき事が決まった。

 

 

 

 部屋の真ん中で、ティシア、イリスイス様、フィラルシア様の順で椅子に座っている。

 その後ろにはゲイルバッハさんが立っていた。

 四人の視線を一点に集めながら、何から話そう悩む。

 

「まずは最初からとしてティシアが離れた理由ですけど、あれは嘘です」


 その事に納得したように頷くティシアと唖然とするイリスイス様、フィラルシア様はほぅとそういうこともあるのかと目を開けている。

 

「護衛が二人いるんですから、有用な手としてまずは護衛を離すこと」


 今回は一先ず、ティシアを遠くに離すことをことをした。

 ティシアとイリスイス様、強いのがどちらかと考えての事だ。

 王族の方が魔力が多いが、それよりも戦闘経験値が高いティシアのほうが厄介だろう。

 

「その時に、私や今回でいえばアンシュリーがしようとすれば怪しまれます。だから、第三者を利用しました」


 利点としては第三者は知らない事。おかげで怪しまれるということがない。何故なら、知らないのだから。

 

「一番の敗因はやはり、護衛のティシアが離れたが原因ではないかと。ぶっちゃけて言えば、離れなかったらどうなるかは分からなかったです」


 密室で二人の騎士と戦う。一人で挑むのは自殺志願としか思えない。

 だから、一人にした。その方が可能性として勝てる確率がぐんと跳ね上がる。

 

「そもそも、今回は護衛側が勝てて当たり前なんです。なので、どうして負けたかを自分で考えたり、後は二人で反省会をしてください」


 護衛側が全て悪い。そもそも、勝てて当たり前なのに負ける敗因を作っているのが悪い。

 どうしてそうなったか、理由は知らないので二人で反省会をしてもらわないと。

 

「次にフィラルシア様」


「は、はい!」


 名を呼ぶと、彼女はビクッと身体を跳ね上がらせると緊張した顔をしていた。

 まさか自分も護衛二人と同じように説教がくる、と思っていなかったのだろう。

 最初は教育する都合上、護衛を鍛えないといけないと思っていた。

 が、守る側の人間と守られる人間を見てこれは駄目だと思ってしまったのだ。

 

「フィラルシア様は護衛がいますが、だからといって、何もしなくていいという訳ではないのです」


 話は少しばかり戻り、共同特訓の途中でティシアがいなくなった後にこの部屋に侵入してまずはイリスイス様を影魔法ですぐに拘束した。

 こういう時は先手必勝。やられる前にやったほうがいい。

 拘束した後、今回の勝利条件はフィラルシア様に触れる事。

 

 なのでフィラルシア様に触れようと接近するが彼女は何もしなかった。

 守りもせず、ただ受け入れたのだ。

 今回は練習だ、だからいい。しかし実戦で今のままだと思うと恐怖すら感じてしまう。

 至急、自分の身を守る手立てを持っていて欲しい。


「自分の身を守る手段を持ってほしいです。ゲイルバッハさん、何か自衛手段はありませんか?」


「ありますとも」


 それを聞いてホッとした。

 もし、ないと言われたらどうしようかと思ったほどだ。


「なら、その自衛手段の作成をフィラルシア様にお願いします」


「え、私がですか?」


 自分で作る、という事に驚いている。

 それが何故なのか分からない。

 王族だから、といって作らないは通じないのだ。


「はい。自分の身を守る手段なのですから自分でお作りになってください。ゲイルバッハさん、お願いしてもよろしいですか?」


「ええ、構いませんよ」


「では、これはお三方の宿題ということで。私は時間なので帰ります。では」


 後の事は知らん。自力でなんとかする気がないのなら、どうとでもなれ。

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