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43話 共同特訓 1

 イリスイス様との共同特訓を終えて幾日の日が経ち、再びイリスイス様の特訓をする日になった。

 前回はイリスイス様のやりたい特訓をやった。ただ、今回はこちらで特訓をすることになる。

 いつもなら何をしようかと悩む所だが、今日だけはさらに頭を抱え込む案件が増えた。

 

 最初のイリスイス様の特訓を終わった後、それを主人であるフィラルシア様に説明した時に一緒にやってみたいと言う言葉を貰い、今日に至るという訳だ。

 その事を教えてもらったのが出勤してすぐである。

 挨拶をしてすぐ、そのような事をおっしゃられた。

 うーん、もうどうしろと?

 

 即席だが二人で特訓をする、となるとそれらしいものをしないといけない。

 どうしようかと悩んでいるとイリスイス様が来られた。

 

「今日はよろしくお願いします」


 フィラルシアの護衛であるティシアが挨拶をしている。

 教育する当の本人を置いて三人、椅子話に座っている主人のフィラルシア様やその後ろに控える護衛のティシア、そしてフィラルシアの姉であり、正面に立つイリスイス様が楽しく談笑していた。

 情報が足りない。

 いきなりの事すぎて頭が混乱してるため時間が欲しいし、何をすればいいかも全く考えていなかった。

 

 時間を稼ぐためにも情報が欲しい。

 まず思い出すのはどうしてこんな事になった事だ。

 あの時はイリスイス様と実戦をしたことを羨ましがれた。

 それに、フィラルシア様も興味があると言った。なら、見せた方が良い。

 

 何をすべきか、決まった。

 

「えー、今日の特訓内容を説明します」


 喋り出すと、ティシアとイリスイス様がスッと姿勢が正しくなり、表情が真剣にしてこちらを向く。

 騎士の教育の賜物、ということだろう。

 それに対してフィラルシア様は今まで楽しく談笑していた二人の変わり様に目を白黒させつつもこちらに身体を向ける。

 

「三人で一緒にできるものを考えた結果、イリスイス様とティシアにはフィラルシア様の護衛をして貰いたいと思います」


 この言葉にティシアは守って見せるという空気を漂わせ、イリスイス様は少しばかり驚いた表情をしつつも僅かに楽しそうな顔をしている。

 フィラルシア様に至っては平常心を保っているつもりだろうが、楽しそうワクワクという空気が窓全開で漏れ出していた。

 三人の反応が良さそうな事にホッと胸を撫で下ろす。

 

「期日は今日一日。護衛二人の勝利条件はフィラルシア様を守り切る事。敗北条件は私がフィラルシア様を触る事」


 スッとティシアが右手を小さく上げる。

 

「触るだけ、というのは少し簡単すぎないか?」


 最強の暗殺者を相手にする、という警戒故の反応だろう。

 それは分かる。

 だが、こちらとしてもそこを譲ることはできない。

 

「確かに簡単かもしれない。しかし、暗殺者は短剣とかも持っている。刃に毒を塗られていれば最悪死ぬ。だから触っただけ、というのは優しくはない」


 そう反論されればティシアも返す言葉がなく、頷くしかない。


「はい!」


 元気よくティシアが手を挙げた。

 

「どうしました? 姫様」


「期限が今日一日ということは眠るまで守られる、ということになるのかしら? それに食事時もあるわ。夜は家族一緒に食事を取る滅多にない時間。だから、邪魔をされたくないのだけど」


 困ったわ、という表情を作る。

 その辺り、流石は貴族の女性というべきだろうか。

 側使えのゲイルバッハを見ると、頷いた。

 この頷きは出来れば主人の意思を守ってほしい、ということだ。

 どういう理由か詳しくは聞いていないが、家族と離れて生活しているのだから一緒になる時間はこちらとしても大事にしてあげたい。

 

「分かりました。ゲイルバッハさん、夕食はいつ頃に?」


「夕刻、十八時を過ぎた辺りにここから出発されます」


 それはちと厳しい。時間があまりにも短くて、難しすぎる。

 家族一緒に、ということはイリスイス様もいることだから時間を多く見積もったほうがいい

 しかしやるしかない。主人が願っている。なら、こちらとしてもやるしかないのだ。

 

「分かりました。なら、期限は夕刻十六時になったら、ということでどうでしょうか?」


 ゲイルバッハを見ると、静かに頷いた。

 よし、通った! 側使えの許可も取れた以上、反論されることはないはずだ。

 フィラルシア様からも反論はなく、すんなり通った。

 

「姫様、一つだけ私のお願いを叶えてほしいのですが」


「何ですか? 私の出来る限りのことなら叶えますよ」


「今回、私が暗殺者役をすることになりましたが流石にこの部屋に一緒、という訳にもいきません。ずっと部屋の外、というのは周りからの目も厳しいでしょう。そこで、空き部屋を一つ借りたいのです。あと、側使えの一人も」


「側使えには乱暴を働きませんか?」


 その目は鋭い。

 男性と女性が同じ部屋。監視もなく、邪魔もされない。そう思えば何かする、と考えるのは当然だ。

 それに、側使えというはほぼ貴族である。

 もし何かをすれば、その責任を取るのはフィラルシア様だ。


「勿論です。フィラルシア様だと思って対応させてもらいます」


「よろしい。ゲイルバッハ、誰がよろしいかしら?」


 フィラルシア様はゲイルバッハを見上げる。

 主人と言っても、側使えについて全て知っているわけではない。裏事情なども知っているゲイルバッハが適任ということだろうか。

 ゲイルバッハはフィラルシア様に対して一番の付き合いであり、関わる相手を決めているのを見たことがある。

 それは側使えも同じ。どんな人を雇うか、と決めるのはゲイルバッハも確認していた。

 

「アンシュリーが適任かと。今は別の仕事を任せていますので、あとでお呼びします。先にカイン様をお部屋に連れて行ってよろしいですか?」


「ええ、空き部屋は私がお父様に伝えておくからあとで教えて頂戴」


「かしこまりました」


 かくして、共同特訓は始まる。

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