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34話 第一王子の計らい

 ラディアント第一王子。

 成績優秀で魔法学院の主席卒業生。

 この国で一番怖い事、それは魔法学院に入学していたかどうかだ。

 普通の魔法とは系統が違うこの国の魔法は、より注意が必要になる。

 おかげで、俺の魔法も工夫できるようになった。

 

 この国での依頼、前騎士団長のフォードルを殺す時、まだ在学中ではあったが暗殺対象の影にそのラディアント第一王子がチラチラと見えて、動き辛かったのを覚えている。

 暗殺者が真正面から戦えば、負ける可能性は高い。

 戦わないことが最善だ。それまでどれだけ耐え忍んだことか。

 中には別の依頼で他の者を殺そうとした暗殺者がラディアント第一王子に返り討ちにあうのを見たこともある。

 今は何をしているか分からない。しかし、敵対したくない一人だ。

 

 

 

「なんだ、これは!! 何故王の御前で戦いが起きている!?」


 玉座の間に入って来たラディアント第一王子。

 彼を見た時、脳裏が凍り付いた。

 あ、やばい。死んだ。

 死を悟った。

 騎士に囲まれ、逃げればフォーリンと戦うことになる。それに加えて、ラディアント第一王子も相手にするとなると、流石に分が悪い。

 手足の一つか二つ、失うことを勘定にして動かないといけなくなる。

 

 この場はどうなるか、状況を見守るしか選択肢がなかった。

 周りの騎士達が硬直する。ラディアント第一王子と王の隣に立つ男を交互に見ている。

 これは、そういうことか?

 頭の中に一つの解が導き出される。

 ラディアント第一王子がこちらを一瞥した。

 

 貴族がよくする見下すような視線ではなく、観察するような値踏みするような視線だ。

 すぐに王の隣にいる男に視線がに向けられた。

 

「大臣はこれはなんだ!? 理由を述べろ」


「影の王の処刑が行われるのです。その事に対し、逃走を図ったため捕まえる所です」


 王の隣に立つ男は大臣らしい。王の右腕、という事で隣にいるようだ。


「おかしいな? 影の王の処分は私に任されているはずだ。違うか?」


「いえ、間違いではございません。ただ、ラディアント王子がおらっしゃらなかったもので」


「城の者からの連絡では、まだ後のはずだったが?」


「こちらの連絡ミスだったようです。すみません」


 二人の間で、バチバチと火花を散らしている。

 ああ、怖い。二人の思惑があって、遠巻きで口撃していた。

 ここから早く逃げ出したい、という気持ちはあるが逃げ出すことはできない。

 大臣は俺を殺したい。ラディアント第一王子は俺を守るのか、それに近い行動を取っている。

 見守ることしかできない。

 

「王よ、影の王を殺すのはどうしてですか?」


「周りとの関係良好のためだ。前騎士団長のフォードルが死に、そのせいで貴族との関係が悪化した。これ以上、悪化させるわけにはいかない。違うか?」


「普通ならそうですが、関係が悪化して良いのでは?」


 それは貴族が言う言葉としてはありえないことだ。

 派閥を大事にする貴族。敵対する派閥はあるにしても、取り込むのではなく、全て消し去るのは稀な事。

 

「昔ならまだしも派閥も小さくなり、弱体化しました。それに、あれを取り込んでも寝首を掻く構えを取るだけ。取り込まなくてもよいでしょう」


 ラディアント第一王子の目は力強く、しっかりと大臣を見つめていた。

 それに反応するように、大臣は苦虫を噛み潰したような顔をする。

 二人の関係がどのような物か、これで大体ハッキリした。

 俺を救ってくれる人、敵対する人間が。

 

 王は目を瞑り、思考し、答えを出す。

 

「私は貴族達との関係を良好にはしたい」


 死ぬのか、と自分の死を悟る。

 それと同時に、死ぬわけにはいかない。逃げ道を探す。

 先程までと違って今は皆の視線が王に向いている。

 今なら逃げれる、と確信した。

 

 隠密魔法を発動する。

 ゆっくりと足音を立てないように動く。

 相手にはフォーリンとかいう、動物のような人間がいる。

 あれにまた勘で見破られたら、絶望しかない。

 バレない様に動く必要がある。

 

「しかし、お前は何かしらの信念を以て、そう決断したのだな?」


 まだ会話は続いていたようだ。ちょっとびっくり。それでも、動き出した身体は止まらない。

 カインは逃げているが、この場は厳粛で非常に静かな場だ。

 場違いな動きするのはカインぐらいだ。

 

「はい」


 ラディアント第一王子は静かに頷く。


「分かった。ならば、お前に全てを任せるとしよう。影の王の沙汰は我が息子、ラディアントが決めるとする」


 生き残る事が決まったようだ。だが、ちょっと待ってほしい。もう既に移動してしまった。している所だ。

 先程とは違う場所にいれば、怪しまれてしまう。

 戻らなくては。

 慎重に、且つ迅速に動いて元の場所に戻る。

 

「影の王よ。お主はラディアントについて参れ。よいな?」


「は、ハッ!」


 かしずき、頭を垂れた。

 走ったせいで息を切らし、少しばかり肩を上下に動かしている。

 ただ、バレている様子はないようだ。

 戻ろうと動いて、今まで十秒も経っていない。非常に危ない橋だった。

 だが、これで俺の安否は確定する。おかげで、生き延びることができた。

 

 

 

 

 王の面会が終わり、俺はラディアント第一王子と共に行動することになった。

 冒険者ギルドのギルドマスターは分かれ、リンジャオとフォーリンと一緒にラディアント第一王子と一緒に行動する。

 俺はラディアント第一王子に沙汰を渡されることになった。

 もしそこで死ね、と言われれば死ぬことになる。しかし、彼は俺を殺すようなことはしない。

 

 ラディアント第一王子の側使えを先頭に向かった先は、綺麗な多種多様な花が溢れる庭園だ。

 昼下がりの温かい中、庭園でお茶会が始まる。

 場所はガゼボ。

 庭園の真ん中にある円形の建物。壁はなく、あるのは屋根のみ。

 建物の端に等間隔で並ぶ支柱があり、入口の部分には支柱がない。

 

 中には丸いテーブルと人数分に用意された椅子がある。

 ラディアント第一王子、リンジャオ、フォーリン、俺という順に座り、側使えがお茶とお菓子を用意してくれた。

 そこまで甘くないお茶は大人が好むような味で、甘いのが好きな人ように砂糖を入れるようなポッドに蜂蜜がたっぷり入っている。

 

 一口で食べれるような小さいお菓子で、食べてみるとサクサクで仄かに甘い。

 お菓子だから甘すぎる、という訳じゃないから食べれる。

 一つ食べ終え、二つ目を食べようと手を伸ばす。

 

 気づけば、お菓子がなくなっている。

 あれ? どうし……。

 バクバク、と隣で両手が残像になるほど早く動かし、口に入れている少女がいる。

 向けば、リスのようにたらふく口の中にお菓子を溜め込む少女と目が合う。

 

 この子、なんでこんなにお菓子食べてるの?

 フォーリンも何を思ったのか、バリバリとお菓子を食べ始めている。

 絶対に寄越さない、とかそういう意味で食べてるよね。この子。

 

 二人が見つめ合いながら、俺はただ切望の混じった目で。お菓子を食べるフォーリンはただただ無表情で食べている。

 

「さて、こちらも本題を話すとしよう」


 フォーリンがもの凄い勢いでお菓子を食べているのを見て驚いて少し忘れていたが、ここで俺の未来が決まる予定なのだ。

 どの未来が来るか、少しばかり怖くて胸が締め付けられる。

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昨日投稿できず、本当にすみません

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