飛来した物
声劇 台本
タイトル「侵略者X」SF短編第1話
♂:2人
♀:2人
不問:3人
登場人物:長兄、次兄、妹、母親、クラスメイトA、B、C
長兄:白石 賢治
次兄:白石 秀介
妹:白石 歩美
母親:白石 晴美
トントントントン…。
階段から二階に上がってくる妹の足音が聞こえる。
歩美「朝だよ!起きて!秀ちゃん!賢治も起きて!」
秀介「フム、時計を観ると朝8時をまわっている。あと1時間もすれば授業が始まる事に気がついた。どうやら、朝のようだ…そろそろ起きるかぁ…ファ〜ア…まだ、眠い…。」
秀介は眠い目を擦りながら起きることにした。理由は単純で長兄と違って遅刻はしたくないという考えだからだ。
賢治「オレは眠いからまだ寝る。大学は単位ある程度取ってるし、遅刻しても問題ないだろうから。」
賢治はこんな風に言っているが、遅刻どころか何度か休んでいるし、ボク達家族が言っても聞いてくれないので、若干諦めている
秀介「兄貴、起きろよ。どーせまた、遅刻とか言って休むんだろ?」
賢治「休みはしねぇよ。ただ、今は眠いから遅れて行くだけだ。」
秀介「あっそ。じゃあいいや。」
歩美「結局、賢治は起きなかったの?」
秀介「ボクも、いちおう声かけたけど起きそうになかった…。」
晴美「朝ごはんよ〜、早く食べて学校行きなさい〜!…って、あれ?賢治は?」
秀介「まだ、眠いから後から遅れて行くってさ」
晴美「んもうっ、賢治は父さんが居なくなってから、まるでダメね!何回遅刻するつもりなのよ!留年したら許さないんだから!」
秀介「賢治は仕方ないよ。割と頑固だし。母さんもその辺にしといて、早く朝食食べないと仕事に遅刻するよ?」
晴美「分かってるわよ。ほら…歩美も、何止まってるの?」
歩美「ニンジン嫌〜い…食べたくないから、食べない事にする!」
晴美「ま〜た、好き嫌いして!ちゃんと食べないと大きくなれないわよ!」
歩美「大きくなる必要ないもん!だから要らない!」
秀介「じゃあ、ボク貰〜い。んっ、美味い!やっぱりニンジンは甘くてサイコーだね!」
歩美「甘くないよ?なんで食べられるの?」
秀介「ボクは、なんでも食べるようにしてるからね!昔は苦手なものが沢山あったけど、今はもう、ほとんど食べられるようになったよ!」
時計を見ると8:30を少し過ぎたところだ。
学校まで50分くらいかかる。9:30から授業が始まるので、そろそろ家をでなければならない。
秀介「じゃあ、ご飯も食べ終わったし、行ってくるね!」
秀介・歩美「行ってきま〜す!」
晴美「いってらしゃい!気をつけて行ってくるのよ!」
こうしてボクらは学校に向かった。
賢治は大学2年、秀介は高校1年、歩美は中学3年
そして秀介と歩美は中高一貫の学校に通っているため学校までは一緒なのでいつも一緒に家を出ている。賢治は大学生なので車で通学している。
賢治と歩美はしばらく歩き学校に着いた。
クラスメイトA・B・C「おはよう!」
秀介「おはよう!」
クラスメイトB「秀介〜、昨日の未確認生命体の番組見た?」
秀介「いや、昨日は忙しくて見てないよ」
クラスメイトB「すげえ面白かったぜ!あの芸人の斎藤さんが未確認生命体として捕獲されてる茶番があって!」
秀介「あの斎藤さんがか!へ〜そりゃ面白いだろうね!見たかったなぁ〜」
クラスメイトA「オレ 録画してるから DVDに焼いて 渡そうか?」
秀介「そうして貰えると嬉しいけど、いいのか?」
クラスメイトA「気にすんなって 友達だろ?」
秀介「そうだな!じゃあお言葉に甘えて」
数時間後 授業がおわり歩美と秀介が下校途中…
ズドーン…突然 爆音が響き渡る…。
秀介はとっさに歩美を庇ったが左手を少し負傷してしまう。
秀介「な、なんだ? なにが起こったんだ?」
歩美「秀ちゃん…ケガしてるよ?大丈夫?」
秀介「少し痛むけど、このくらいなら問題ないよ」
歩美「でも、私を庇ってケガしちゃったから私の責任でしょ…」
秀介「そんな事ないよ 気にすんなって」
歩美「わかった…ありがとう」
秀介「それより…なんだ?なにが起きた。さっきの大きい音 なんだ?」
歩美「分からないけど…あっ、あれ見て!秀ちゃん! あの大きいヤツなに?」
歩美が指を刺した方を秀介が観ると霞の中に大きな人影のようなものが見えた。
秀介「さっきまで霞なんて出てなかったし、なんだアレは!?」
歩美「アイツなにやってるの?」
ズドーン グシャグシャ バキバキ
秀介「建物を食ってる…の…か?何のために?…。」
歩美は得体の知れない恐怖に怯える
歩美「こ、怖い…。」
秀介「大丈夫だよ…ボクが付いてる…何かあったらボクが守るよ!アレはまだこっちに気がついて無いから今のうちに家に急ごう!」
歩美「う、うん…わかった…」
秀介「歩美!どうした?走れないのか?」
歩美「足がすくんで動けない…」
秀介「・・・。よし! ボクが運んで行くよ!ほら乗って!」
歩美「・・・。」
秀介「どうしたの?何で乗らないの?」
歩美「私 重かったらどうしよう…。あと、この年でおんぶなんて恥ずかしい…。」
秀介「そんな事、今気にしてる場合じゃないだろ?」
歩美「・・・わかった。」
秀介は歩美をおんぶして走り始めた。
走り続け…。やっと家が見え始めた。
秀介「ゼェゼェハァハァ…やっと着いた」
歩美「大丈夫?」
秀介「ちょっと待って…。・・・。落ち着いた…。うん!大丈夫だよ!」
歩美「ありがとう!」
秀介は家を見渡して無事を確認した
秀介「良かったとりあえず家はまだ無事みたいだ」
秀介は玄関の中にある椅子に座って少し休憩する事にした
秀介「ボクは少し休憩する…初めておんぶして走ったからちょっと休憩しないと…。大丈夫。少しすれば回復するから。」
歩美「わかった。休んでていいよ。さっきはありがとね!私は賢治を呼んでくる!」
歩美は玄関から入り声を上げて賢治を呼ぶ
歩美「賢治!いる?賢治〜!賢治〜!」
バンッという音ともに二階のドアが開き賢治が出てきた
賢治「なんだよ!うるせぇな!何度も何度も名前呼ぶんじゃねえよ!何の用だ?」
歩美「良かった!無事だったんだね!」
賢治「なんだ?何があった?」
歩美「外 大変なことになってるよ!」
賢治「はぁ?もっと詳しく説明してくれよ。何のことか分からんし何が大変なのかも分からん。」
歩美「実は学校が終わって秀介と一緒に帰ってる途中…突然大きな音がして変な生き物が家とかを壊して食べてたの!」
少し笑いながら賢治は答える
賢治「は?それ本当か?夢でも見てたんじゃねえか?白昼夢ってヤツじゃねえのか」
歩美「本当だって!秀ちゃんにおぶって貰ってやっと逃げられたんだから!」
秀介は椅子から立ち上がり
秀介「よし、回復した!賢治!歩美の言ってることは本当だ!ボクも見た!外にいたヤツ、アイツはヤバイ!賢治はあの大きい音聞こえなかったの?」
賢治「俺は寝てたから聞こえなかった。にわかには信じられないが、信じよう!話はわかった!で?これからどうするつもりだ?」
秀介「この場から逃げるしかない」
賢治「どうやって?」
秀介「とりあえず賢治の車で」
歩美「お母さんはどうするの?」
秀介「賢治の車で事情を説明して迎えに行こう!」
賢治「わかった。とりあえず必要なものと持てるだけの食料 車に積み込め! 秀介!お前は母さんに電話しとけ!」
秀介「わかった!」
秀介はスマホを取り出すと晴美に電話をかける。
秀介「…もしもし…お母さん?あぁ、ボクだけど…うん…でね…外で大きな音がして…帰り道に…うん…今すぐ逃げないといけないんだけど…うん…わかってる…とりあえず今から賢治の車で迎えに行くから!うん…わかった…じゃあ後でね。」
秀介は晴美にことの詳細を話電話を切った。
賢治「必要なものは持ったか?」
秀介「これで良し…っと。とりあえずは大丈夫そうだ。歩美も持ったか?」
歩美「うん!大丈夫だよ!」
賢治「よし!最初は母さんの職場まで行くぞ!そのあとガソリンを満タンに入れに行き ポリタンクにガソリンを入れてそれも車に積んでおく!」
賢治はエンジンをかけ、車を走らせる
秀介「ほら!アレだよ 見えるだろ?賢治!」
秀介が指を刺すとそこにはさっきのヤツがいた。
賢治「なんだありゃ?アイツか!たしかにアイツはヤバイな 手当たり次第に家を食ってやがる!こりゃマズそうだな!飛ばすぞ!」
賢治は車を走らせ晴美の職場に向かう
賢治「おっと…渋滞か?マズいな…。」
秀介「そこの道を左に曲がると抜け道に出られるよ!」
賢治「じゃあ、そっち行くか!そっちの方が早いだろ」
秀介「早いはず…だよ」
賢治「よし!じゃあ急ぐぜ!」
歩美「赤信号だよ」
賢治「急がないと命が危ねえって時に信号なんて守れるかよ!法律より命だろ?」
秀介「気が進まないけど仕方ないか…。」
歩美「でも…気をつけてね。」
賢治「気をつけるに決まってるだろ!」
賢治はしばらく車を飛ばしてやっと晴美の職場に着いた。
賢治「よし!着いた!・・・っと、ここはまだ被害が出てないな。よかった。まだ大丈夫そうだな」
秀介「早くお母さんを連れてこよう!」
歩美「私は賢治と車にいようか?」
秀介「いや、歩美も来い!一緒にお母さんを探そう!」
賢治「俺は車に残ってるぜ!何かあったらすぐ動けるようにするためにな!」
秀介「わかった!お母さん…無事でいてくれ!賢治も無事でいろよ」
賢治「わかってるよ!安心しろ!俺は大丈夫だ!」
秀介は歩美と一緒に晴美の職場に走って行った…。
第1話 完
第2話に続く…。