表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界農家  作者: 宇宙農家ロキ
三章 異世界で出稼ぎに出る俺
PR
78/100

78.よし、じゃあ我々も行こうか

(そう言えば、あの子豚……!?)


俺には微かに頭の片隅に引っ掛かる何かがあった。

確かにあの時、オークたちは迷い込んできた豚を探しており、俺たちとバッタリ遭遇したはずだ。


世界の全ての事象には、必ず理由がある。それが確か福山雅治が言っていたこの世の理だったはずだ。だから……俺は確かめなければならなかった。その理由を。


「なあ、ちょっと注意して見てもらいたいもんがあるんだけど……?」

「何かね?ロキ君」

「実はな……」




***




数日後。俺たちは再びオークたちの集落へと向かう準備を整えていた。


「よし、それでは準備はいいかね?」

「ああ。問題無い」


マルミラの言葉に、ベルナルドが頷く。ベルナルドはいつもの長剣と小盾に加え、やや軽装の格好に、マルミラは色々小物をぶら下げていたり、大きめのバックパックを背負っており動きにくそうだ。


「今回はあまり美味しいものがないからやる気が出ないにゃあ……」

「これルルガ。これからが一番重要な仕事なのだぞ!?しっかりせい」

「ボクもオークたちとこれほど関わるのは初めてですから、緊張しますね」


ルルガとミミナ、そしてシバはいつも通りの格好だ。

そんな仲間たちを見回しながら、俺は愛用の鍬を担いで満足気だった。


「さあみんな!マジで頼むぜ!?」


この中でおそらく、最もやる気に満ち満ちている俺は、みんなに聞こえる以上の声で語りかける。自分で言うのも何だが、全くキャラじゃないな。だが、これまでの作業と違い、今回の作業には明確な自分にとっての目的と意義が存在していた。


「ロキ君。最早我らには君の言葉を信じるしか道はない。……頼んだぞ?」

「ああ。任せとけ!……と言いたい所だが、自然という複雑系は、不確定要素だらけだ。ましてやここは異世界だし。だから、俺たちの『観測と洞察』が最も重要になる。そしてその先には、君の知識と知恵も頼りだ。だから……こちらからも頼む、マルミラ。大賢者様」

「……よしてくれ。我はまだその道を歩む半ばだ。君の協力が無ければ、今も一体どうなっていたかは分からない。だから、我は君の画期的な閃きに賭けようと思う。そのためにできることがあれば、なんでも言ってくれ」


殊勝なことを言うマルミラに、俺は自信気に頷いた。

まだ確証はないが、何とかするしかない。大丈夫……俺は、そういうことは得意なはずだ。農家なんてのは、観察力が無ければやってられない商売なんだから。 

そう言い聞かせて、俺は改めて全員に出発を告げる。


「行くぞみんな!」




***




そうして俺たちは再び、前回訪れた時のキャンプした場所までやってきた。

そこには、まだ前回の食事の名残が一部に残っていた。……そう言えば、今回は全然まともな食事を食べていないな。

折角ルルガたちの村で、食料を増産する計画を実行できたというのに、それを食べる余裕がないとは……!

何としてもこの依頼を達成して、あのご飯にありつかなければならなかった。


だが実は、今回のミッションがうまくいけば、遠くないうちにまた村に戻る必要が出てくるかもしれない。……そう思うと、再びモチベーションがむくむくと湧いてくる俺だった。


「じゃあ、打ち合わせた通りに頼む。連絡はマルミラの使い魔を通してな」

「今回のは、正規の手法ではなく簡易な方法で作ったものだ。だから単純な命令しか聞いてくれないが、小さな物を運んだり、短い言葉を伝えるだけなら十分だろう。ただ、数には限りがあるから大事にな」

「分かったのだ!食べないように気を付けるんだぞ、ミミナ!」

「そんなのはお前だけだよ……。よし、ロキ殿。我々は早速向かうとしよう。吉報を待っていてくれ」

「ああ、気を付けて頼む」

「ロキ殿の方こそな」


そう言うと、ミミナとルルガは森の中へ消えていった。

二人にお願いしたのは、主に偵察だ。オークたちの行動範囲や生息区域がどこまでなのかを調べてもらう。要するにレンジャーのような役割だ。あの二人にはピッタリな役目だった。


「よし、じゃあ我々も行こうか」


マルミラが促す。今回は、ここで野営をするわけではなく、ここを基点としてみんなで手分けして活動することが目的だった。


……そろそろ、種明かしをしようか。

これは別に、ここぞと言う時に一発逆転をするためでも、奴らの致命的な弱点を見つけたわけでもない。

大掛かりな罠を仕掛けるためでもなければ、同じく大規模な魔法を仕掛けるためでも無かった。……いや、後半は多少関係あるかもしれない。


俺が気付いたあること。

それは……『生態系的なバランスの崩れ』だった。


最初に俺たちが出会った豚を覚えているだろうか?

あの時の豚は……奇形だった。そしてそれを、奴らは捕まえに来ていた。

通常の畜産であれば、奇形の動物は育てても意味ないので、処分してしまうのが普通だ。ましてやここは文明がまだ発達していない世界。ああいう生き物は、縁起が悪いものとして忌避するのが普通だった。


しかし、奴らはそんな奇形の豚をわざわざ捕らえに来ていたのだ。ここに、俺は何らかの違和感を覚えたのである。

そしてその違和感を確かめるべく、マルミラに見てもらった所……ある可能性に思い至った。


それが、『急激に生態系のバランスが崩れたため、オークたちに異常が起きているのではないか?』ということだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ