蒲原方面の戦い
中篠城 城内
「まったく、南條十郎左衛門は千の兵で五百の兵が守るこの中篠城を落とせると思っているのか。城攻めでは三倍の兵で攻めるのは常識だろうに………。たしかに高篠城を落とした手法は見事だったが、勢いだけだけではないか!」
外で攻撃を仕掛ける南條十郎左衛門を見て、蒲原群の太守 上條政直の弟である中篠城城主 上條政重は一人愚痴った。
(十郎左衛門率いる天堂寺軍一千はたしかに厄介だが、あと少しで白杉城城代 松永政秀から援軍が来るだろう。援軍が来てしまえば高篠城を落とした勢いだけで攻めてきた天堂寺軍は退却せざるを得ない上に高篠城まで失うことになる。なんだ?このまま行けば上手くいくのに、何かが引っかかる)
政重が何かに気づこうとした時、一人の兵が政重の元に来る。
「政重様、松永殿自らが援軍として三百の兵を率いて到着しました!」
「そうか」
(何故松永自らが援軍になったんだ?………まさか松永は!!!)
「待て!松永を城内に入れるな!」
「は?もう入っておりますが………」
「なんだと!?」
中篠城 城外
「松永殿が中篠城に入り、暴れまわっているとのことです」
「そうか」
南條十郎左衛門は龍之介から借りている軒猿の報告を受け、槍を掲げる。
「皆の者、今が好機だ!全軍突撃ィィイイイイ」
オオォォオオオォオオオオ
南條勢一千は松永勢によって門を開かれた中篠城に攻め込む。
中篠城付近の林
「おのれ、松永め!まさかこのタイミング(似たような言葉が使われている)で裏切るとは………一体いつから内通していたのだ!!!」
松永勢により中篠城を追われた上條政重は、三十人ほどの兵と共に付近の林に逃げ込んでいた。
「兄上に報告せね「パンパンパン」ば………」
政重は突如響いた銃声を聴いた直後、腹と頭に弾丸が当たり、死亡した。
中篠城 城内
「南條様、林に潜ませていた鉄砲隊が上條政重らしき者を打ち取ったそうです」
「そうか」
十郎左衛門は報告を聞き、今後松永政秀をどう扱うか、思案を巡らせる。
戦果
指揮官 討ち死に、高篠城、中篠城、白杉城
被害
天堂寺軍
五十名死亡、七十名負傷
松永勢
三十名死亡、五十名負傷