先読みチートの代わりに内政チート
うん?ここはどこだ?
俺は、たしか家に帰る途中でネコが車に轢かれそうになってて………あ、うん、死んだんだな。
天道仁、享年15歳。短い人生だった。
で、ここは………………天堂時城、だな。
俺は橘氏の越後岩船五万石の小大名 天堂時義重の嫡男 龍之介、八歳。
色々思い出したが、つまり………戦国転生、だな。
まあ、未来知識があるから謙信、信長、秀吉、家康の順で媚を売ればいいか。
そう思っていた、歴史を学ぶまでは。
「なんで源氏も平氏もいねえんだよおおぉおおぉぉおおおお」
「若がご乱心じゃーーーーッッ!!!」
(ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい
意味わかんねぇぇえええぇええええ
なんで関白の癖に幕府開いてんだよおおぉおおぉぉおおおお
転生チートはどこ行ったんだよおおぉおおぉぉおおおお)
「若、落ち着いてください!どうなさったんですか!」
その後、俺は「転生チートが……転生チート……」と言いながら部屋に連れて行かれた。
うん、落ち着いた。
ここは清和天皇と桓武天皇が即位しなかった世界。
藤原氏と天皇の一族 橘氏が全国に散らばっていて、守護大名になっている。
現在、天皇の権威が落ちていて、全国の藤原・橘氏の大名が自らが天下人になるべく潰し合いをしている。
俺がいる越後には上杉も長尾もいない。四国に長尾為義という奴がいるらしいが、七万石の小大名。
我が天堂寺家は天堂時城を本拠とする岩船郡五万石の小大名。
岩船郡は海に面していて、南蛮とも貿易を行っている。
父 天堂時義重は南蛮との貿易で火縄銃に目を付け、戦をできるだけしないで火縄銃を買い込んでいる。すでに我が天堂寺家には百五十挺の火縄銃がある(同じ小大名の中では二番目くらいに多い)。
………俺がやるべきなのは内政か。
田んぼを列で揃えて合鴨農法。
四公六民。
生ゴミからたい肥を作って撒く。
米と麦の二毛作。
千歯こき、備中ぐわの作成。
南蛮貿易によるサツマイモ、ジャガイモの輸入。
火薬の作成。これは忍者軍団 軒猿を部下にして、藤原でも橘でもないのに大名?をやっている本願寺の書物をパクる。
楽市楽座。
よし、まずは合鴨農法を父上に相談しよう。