岩船方面の戦い 2
ついさっきまでタブレットの充電器取られてました。
白銀城 城内
ワアアァアアァアアア
敵、味方が声を張り上げて攻防を繰り広げる中、天堂寺家の当主 義重は敵本陣をジッと見ながら内心焦っていた。大筒を撃つタイミングがわからないのである。
(龍之介は「敵本陣に人が多い時に撃った方がいい」と言っていたが………戦闘中に本陣に人が集まる事なんてあるのか?今撃つべきなのではないのか?)
こうしている間にも自軍の兵はドンドン疲弊している。
そろそろ撃つべきか?
そう思った時、
「退却ーーッッ、退けーーッ」
敵の武将が何故か兵を退却させようとしている。
「何故退いたのだ………?」
黒野軍 本陣
黒野軍の本陣では黒野家の武将が勢ぞろいして話し合っていた。
「何!?白河が烏山城を攻めているとは真か!?」
「はい、殿が出陣した次の日に攻め込んできました」
「バカな!わしの行動を完全に読んでいたのか!!!」
「いえ、おそらく白河は天堂寺と同盟を結んでおり、天堂寺の要請で攻め込んできたのでしょう」
「おのれ、天堂寺め!」
「何であれ、このまま白銀城を攻めるべきか、白河の防衛のために戻るべきか………」
「白銀城を攻めるべきでしょう。この機会を逃せば天堂寺は二度と隙を見せません」
「そもそも今回の戦はそう思わせて我々を釣り上げるためd……」
ドッゴーン
他国で智将と恐れられる黒野秀則がある可能性に思い至り、それを口にした瞬間、火縄銃とは比べ物にならない爆発音がそれを遮った。
白銀城 城内
「おお!黒野軍が引き上げていくぞ!」
「助かったー」
黒野軍が引き上げて行ったことで兵たちが歓声を上げる中、義重はこの時が息子の言っていた「敵本陣に人が多い時」だと直感し、行動に移していた。
「兵たちを存分に休ませよ!体力の余っている者は大筒を打つ準備をせよ!」
言われて余裕のある兵たちは大筒の準備に取り掛かる。
………
……
…
5分経って大筒の準備が完了しても敵が再び攻めてくる気配はない。
(間違いない、今が千載一遇の好機!)
「目標、敵本陣!撃てぇええ!!!」
ドッゴーン
黒野軍 本陣
黒野義秀は目の前の光景に呆然としていた。
先ほどまで言葉を交わしていた黒野家の武将たちは、いつの間にか体を赤く染めて全員倒れ伏している。
目の前には自分を庇って赤い塊になった自分の幼き頃からの家臣。
目の前の光景を理解した義秀は怒りに震えながら声を張り上げながら駆け出す。
「お、のれーーーッッ!!!全軍、突撃!!!我に続けぇぇええ!義則たちの仇討ちじゃぁぁあああ!!!」
白銀城 城内
「殿、敵が凄まじい形相で向かってきております!」
「よし、大筒をあと一発撃ったら突撃する。撃てぇええ」
ドッゴーン
黒野軍の本陣とその周辺の人間を八十人くらい殺した砲弾が怒り狂う義秀とその周りにいる人間に向かって再び放たれる。




