プロローグ
~プロローグ~
消えかける意識の中私は携帯を取り出した。
「結局、これしか方法が、、、」
つぶやいてみた。
だが、そうつぶやいたとしても何も変わらない。
「このメールで気がついてくれるといいな」
私はメールの送信ボタンをおした。
一体これで何が変わるのかはわからない。
けれど、届いて、そして気がついて。
~朝~
「佳祐、朝よ」
母親の声が聞こえる。
「もう少しだけ」
そう言いながら布団の中に潜り込んだ。
クーラーで冷えている空気を感じた。どうやら布団から体が少し出ていたみたいだ。布団を引き寄せる。このまどろんでいる夢と現実の境目の時が一番好きだ。
まるで布団に溶け込める気がする。もっと深く、もっとその先に。
携帯が鳴る。
「誰だよ、こんな朝から」
まどろみの至福の時を邪魔したものは誰なのか。枕元にある時計をまず見た。朝の7時だ。確かに起きないといけない時間。それはわかっている。けれどもう少しだけあの至福の時間の中にいたかった。
手を伸ばして枕元に置いてある携帯を手にとった。
メールが来ている。
差出人は自分、送信時間は「7:00」だった。
寝ぼけているのかな。そう思ったけれどメールを開いた。
そのメールは一気に私を起こした。
メールにはこう書かれていた。
「今日、君は19時に死ぬ。未来を変えたいなら
「木田崇」に気をつけ、時計に近づくな」
一体何を言っているのかわからない。
何かの嫌がらせなのか、それとも、だれかのいたずらなのか。
だが、「死」という単語がどうしても目にとまった。
それともう一つ「木田 崇」という名前。
クラスにいたような気がするが今まで接点なんかないやつだ。
わけがわからない。
私は気分を落ち着かせるために布団から出てクーラーを止めた。
9月もはじまったがまだまだ残暑が厳しい。カーテンを開けるとこれでもかというくらい太陽が猛威を振るっている。
不思議なものだ。
少し前までは、この太陽の元にいることなんてなんともなかったのに、今は太陽の下にいるだけで体力がどんどん奪われるのがわかる。
私は自分の部屋を出てリビングに向かった。
朝食が用意されている。トーストとインスタントのポタージュスープそしてコーヒーがそこに置いてあった。
少しだけぬるくなっているが、熱すぎると一気に口にすることもできない。
私はトースターを一気に口に入れてポタージュスープを飲み干した。
リビングには母親はいなかった。多分部屋にいるのだろう。
私はテレビを付けた。
徐々に寝ぼけている頭が起きてくるのがわかる。
まとまらない頭でテレビを見ながらコーヒーを飲んでいた。
テレビでは天気予報がやっていた。
9月に入ったが気温は下がることはないみたいだ。ただ、大気が不安定で午後から天気は下り坂。午後の気温は幾分ましらしい。
だが雨か。
私は余計に気分が億劫になった。
雨は苦手だ。私は部屋に戻って制服に着替えた。
紺のブレザーに赤いネクタイ。灰色のズボン。
夏でもブレザーを着ないといけない理由がわからない。
中に白いシャツをきているのだから、このシャツ1枚だけでもいいのではと思ってしまう。だが、規則だから仕方がない。
気が付いたらテレビは交通事故が多いけやき通りの交差点の話しに変わっていた。信号が見えにくいだの、道路がまっすぐでなく緩やかに斜めになっているだのコメンテーターが説明をしていた。だが、家からする物音はテレビからの音しかない。テレビを消してみる。母親がいるはずなのに物音ひとつしない。静寂。そう、我が家はそういうものだ。
茶色のカバンを背負って私は玄関に向かった。玄関にメモとお金が置いてある。
今日家に帰る時に買ってきて欲しいリストが書いてあった。
私はメモをとって「行ってきます」と母親に声をかけた。
だが、返事は返ってこない。
母親の声で起きるが母親が私と顔を合わせることはしない。そんな家庭もあってもいいだろう。家庭には家庭の事情があるものだ。私は玄関に鍵をかけて学校に向かった。




