新手 その3
騎士の姿をした男が、剣を下に向けヨハンネに飛んでいた。
そして、ヨハンネに向かって飛び掛った男が、地面に剣を突き刺す体勢で地面にぶち当たる。
その衝撃は凄まじいものだった。
砂埃が舞い上がり、地面がへこんだのである。
砂埃から、ヨハンネの姿が現れる。
どうやら、ヨハンネは間一髪の事で、避けきれたようだ。
そして、突然の事に、驚いてしまい目が点になっていが、はっと我に返った。
「ふ、不意打ちは卑怯だよ!!」
それにルベアが小さく、ツッコミを入れる。
「お前が言うな」
砂埃がたちこめる中で、野太い男の声がした。
「あー畜生。外したか」
「何者だい君は?」
徐々に砂埃は、薄れ始め、ようやく、その男が姿を現す。
「あぁ俺か?俺の名は、ブライアン・グレイゴール。傭兵団の隊長だ」と自己紹介し終わるとブライアンは地面にめり込んている剣を片手で引き抜こうとした。
しかし………抜けない。
「ん?!抜けん!!くっ!クソ」
「………何をやってるんだい君は?」
ヨハンネはその姿を見て呆れてしまった。
「抜けないんだよ………なぁあんた、引き抜くの手伝ってくれないか?」
「あの、僕は君の敵ではないのかい?」
「あっそうか。ん~~~なら、おいクソ女。手伝え」とルベアを指差してそう言った。
どうやらブライアンは、ルベアに対して、以前、魔物の囮として嵌められた事に、根に持っている様である。
「誰が、クソ女だ!!そして、断る!誰が貴様など助けるか!」
「なんだと!!このクソ女。まぁ仕方ない。自力で引き抜くか………」と言うと、地面に突き刺さった剣の柄を両手で持ち、足に力を入れて、引き抜く。
その引き抜いた剣を肩に担ぎ、状況を認識する為に、目だけを動かし、周りを見る。
そこには、今にも力尽きそうなミネルヴァと、謎の集団に囲まれているルベア。
そして、少し距離を取って、こちらに剣を向ける少年。
膝をついている女。
ブライアンは何がどうなっているのか、理解できなかったが、敵が誰なのかは分かる。
と言っても彼は傭兵であり、敵というものがない。
そもそも、今は、誰にも雇われていないのだから。
とはいえ、数分前から、騒ぎに駆けつけていた。
つまり、ここで、行なわれていた戦闘を数分の間、物陰に隠れ、見ていたのである。
そして、殺されかけたミネルヴァを目の当たりにし、居ても立っても居られず、助太刀してしまったのである。
正直、ブライアンはやばい連中だと思っていた。
しかし、参加してしまった。
「………なぜ、貴方は私を助けたのですか?」
ミネルヴァは、疑問に思った。
傭兵は金を払わないと動かないという認識がある為、助けに来る事が彼女には不思議に思えたのである。
「さぁ。どうしてだろうな。考える前に、体が動いてしまったんだ」
「次から次へと、まったく君たちは本当にうっとうしいですね。まぁ~良いですよ。いくら集まって来ても、僕には、勝てないんですから」
「そりゃあどういう意味だ?」
「僕はね?疲れも、恐怖も、痛みも無いんだ。だから、限界がある君たちには、僕を倒す事は出来ない」
「ほぉ。なら試してみようか?」と剣をヨハンネに向けたのであった。




