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ロンテ・フォーニュ砦の戦い その3

ミネルヴァはある程度歩くと、走り始めた。


盛り上がった土壁を飛び越え、腰につけている鞘を左手で押さえながら、焼け落ちた橋へ向かう。


その突出したミネルヴァにドラゴマ兵が気がついた。


「敵が来ます!」と若い兵士が下で門の補強作業をしていた小隊長に言った。


「何人だ?!」


「一人です!真っ直ぐこっちに向かっています」


「何ぃ?」と不思議におもったこの小隊長は、作業を部下に任せ、城壁の階段を駆け上がる。


「あれです」


指差す方には、ミネルヴァは向かってくるのが見えた。


しかも、たった一人だ。


誰も、彼女について来ないのである。


「なんだ?まぁいい。矢を放て」と指示を出す。


隣にいたドラゴマ兵がボウガンの矢をミネルヴァに放った。


だが、ミネルヴァは、それを意図も簡単に避ける。


しかも、その走っている足を止めないのである。


「続けて、放て」


しかし、当たらないのである。


「何故、当たらん?!」


そして、ミネルヴァは焼け落ちた橋のところまで来ると橋の基礎となっていた丸太へ飛び移り始めた。


軽いステップとその素早さは、まるでウサギのようだ。


「……うそだろ。おい。なんだ。あいつは?」


「飛び移ってるぞ」


「た、隊長?どうしますか」


「なんなんだ?弓隊!奴を落とせ」





そこ頃、ルベアもミネルヴァの動きを双眼鏡で見ていた。


「すごいなぁ……ミネルは。私にはできないわ。一歩目で川に落ちるよー」とミネルヴァに感心した。


すると、ミネルヴァが左手を上に向けて合図のようなものを出した。


ルベアはそれに直ぐに反応し、アドルに言う。


「石弓を一番、二番、三番の順番に放て」


「はっ!一番車、放て!続けて、二番、三番、放て!!」


石弓の矢は、城門に真っ直ぐと風を切る音と共に飛んでいった。


ミネルヴァの頭上を通りすぎ、門に突き刺さる。


ドラゴマ兵は、堪らず頭を下げる。


真っ直ぐと向かってくる石弓に恐怖を感じていたからだ。


石弓は適当に攻撃しているように見えるが、そうではない。


撃ち終わった後に、少しずつ、石弓を上へ向けて、次の石弓を放っているのである。


そして、石弓の矢を放ち続けた。


少しすると、ミネルヴァが左手をゆっくりと下ろし、もういい。という合図をだした。


それを確認したルベアはアドルに射撃を止めるように指示をだす。





先ほど、連続攻撃に怯んでいた城門付近のドラゴマ兵がようやく頭をあげ始めた。


一人のドラゴマ兵が、城門に不自然に突き刺さった石弓の矢に気がつく。


「城門に鉄の矢が突き刺さっています!!しかも、数十本も」


「なにぃー?」とそれに小隊長が、下を覗き込む。


小隊長の眼球に広がる石弓の矢は城門の一点だけに集中していた。


これは戦いではおかしなこと。


制圧射撃をするのなら、広範囲に、攻撃をするものなのに、明らかにおかしかった。


そして、もう一度驚く。


なぜなら、その小隊長が見下ろす先に、ミネルヴァがそれを見上げているのだから。


小隊長と、ミネルヴァとの目が合った。


「やばい。目があった……」


ミネルヴァは、石弓の矢の位置を確認するような仕草を見せると、いきなり、上へ飛び上がる。


軽々と、手を使わずに、スタスタを石弓の矢を足場にして、飛び上がって来る。


ドラゴマ兵らは、ミネルヴァの行動に唖然していた。


どうすれば、いいのかわからなくなったのである。


そして……ミネルヴァは、脚力を使い、飛び上がった。


ドラゴマ兵らの頭上を、空中で三角座りしながら回転をし、軽々と飛び越えた。


ミネルヴァは城壁の下に華麗に着地し、立ち上がる。


「え?」


門の守りを固めていた兵士らが、ミネルヴァに一斉に振り向き、口をあけ、目を見開いたまま、驚きとどまっていたのである。


「邪魔な者は排除します……全ては、ご主人様の為に……再び、人を殺します……お許しを……」

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