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魔王と呼ばれた女剣闘士を買った少年の物語Ⅱ  作者: 飯塚ヒロアキ
序章 侵略の始まりと、亡霊と呼ばれた少女
4/202

魔王再臨

――――――遂に続編が登場!


今回は前作とは、いろいろと違う要素を組み入れて行く予定。尚、前作の「剣闘士を買った少年の物語」より、超える作品にしたいと思います。出現キャラクターを増やしました。より物語らしく、より楽しく書いて行きたいです。


―――――――――では、飯塚ワールドへようこそ。ご堪能下さい。

 とある少女は守るべき者を大切な存在を失った。それは家族でなければ兄弟でもない。もっと大切な人を失ったのだ。その者の名はヨハンネ・キンブレイト。彼女にとって一番、優しく接し、人として扱った人物であり、彼女の主だった。


 そんな、大切な主人を彼女は死ぬまで守ると固く誓った。だが、その誓いも虚しく、果たす事が出来なかった。最後の瞬間を看取る事すら出来なかったのだ。


 守れなかった事に対して彼女は自分に憤りを感じていた。自分の弱さを憎んだ。

そして、主人を奪った帝国に対する憎しみが沸き起こる。物語はこれで終わりではない。彼女はこのまま終わらせる事は出来ないのだから。


 彼女は大切な主人の故郷に再び舞い戻り、死を痛む墓石を立る事を誓う。務めを果たさねばならない。そして必ず、復讐を成し遂げる。


(――――――私には出来る。例え一人でも…)


 彼女の名はミネルヴァ。数年前、剣闘士として、プルクテスの闘技場で勇ましく、勇敢に戦った一人。


 最初は自分が生き残る為に必死になっていた。だがミネルヴァは主人と運命的な出会いをし共に時を過ごした。しかし、その暮らしは儚くも、帝国の手によりあっさりと奪い去られた。


(――――――私は許さない…絶対に帝国を滅ぼす)


 鎖で繋がれていた狼はある時を境に解き放たれる。


 自我を忘れ、獲物へと牙をむき出し数多くの者がその手にかかり、惨殺されていった。目の前に現れる者、歩む道を邪魔する者はすべて、慈悲もなく、力によってねじ伏せられた。


 ミネルヴァの心は復讐の二文字が支配し、黒き血が体中に張り巡らせ、己を邪魔する者を狩る獣となっているのである。彼女を止められるつわものは存在しない。そんな獣を神は許すか?戦場で多くの敵をねじ伏せた者は英雄となる。そんな考えが人々の中にある。ではこの者は英雄になりたいのか?


 そうではない。この者が私利私欲に狩られるのはだだ一つ。皇帝の首を自分の手で胴体から引き剥がす事だ。


 それ以外、何も欲する事はない。金も、権力も、愛も、ましてや自分の命すら惜しいとは思っていない。


 ミネルヴァが戦場を駆け抜けると屍の山が出来る。それと同時に彼女の心中で誰かが叫ぶ。


『―――――死にたくない!!!助けて!助けて!!死ぬのは嫌だ。せめて君の手で僕を殺して。お願い――――――どうしてだよ!僕を殺して!殺して、殺して』


 主の声が頭の中から鐘の様に鳴り響き、彼女の感情を爆発させる。時々、ミネルヴァは自分の意識がなくなる時がある。無意識の状態で血に飢えた狼の如く、獲物を狩る。


 それはまるで、何かにとりつかれたかのようだった。


(―――――私は私でなくなり、別の者になるような気がする。このままでは…)


 ミネルヴァが一番怖いことが一つある。それは主の存在を戦いの中で忘れるのではないかと恐れていた。戦いに救いを求めているのかもしれない。戦っている時が一番、彼女でいられる。なんとか意識を保っていたがもう限界だった。


 ミネルヴァの憎悪は抑えきれない――――――彼に再び会わない限り――――――

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