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悪魔ノ片鱗-才能ないからクビになったおれ、幼女になったら実力が開花したんだが-  作者: 東山ルイ
第2章

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013 ボヘミアン・ファミリー

 ラークはその光景なんて知らぬふりをして、タバコに火をつけ、やたらと荒い呼吸音をバックミュージックにどこか遠くを見ていた。


「ドン! 放置して良いのかよ!?」

「当人たちが納得しているのなら、止める理由もないさ」

「ラキナ、納得してないけど」

「ならやめるべきだ。ミク」


 恨めしそうにこっちを見てくるが、正直悪いのは誰なのか丸わかりなので気にもとめない。


「さて、諸君。第1回ボヘミアン・ファミリー作戦会議だ。これから大金持ちになって腸内洗浄を一週間に1回楽しむ生活を過ごすため、忌憚ない意見を出してもらいたい」

「ボヘミアン・ファミリー?」ジョニーは頭をかしげた。

「放浪者の集まりってことだ。お、私たちは社会の落第者であり、傾奇者で、爪弾き者だから丁度いいだろ」


 1人称を安定させないとならない。ラークのちょっとした受難である。


「福祉制度はあるのか? たとえば、ドン自ら耳かきをしてくれるとか……」

「夢のある意見だな。そう、とても夢に溢れた意見だよ」ラークは嫌味を告げる。

「ならやる気も湧かんぜ? だいたい、あたしはバウンティ・ハンターやるなんて一言も言ってないわけだし」

「ラキナ」


 兄妹とは良いものである。ラキナは名前を呼ばれただけで察したのか、今度はミクとハグした。

 ミクは興奮しすぎて、顔を真っ赤にしながら、


「乗りますノリます超のります!!」

「結構。それで、金策を考えなければならないわけだ。我々は残念なことに脳みそを持っていない。頭に搭載されたのは模造品なわけだな。二束三文も良いところの模造品。では、それを乗り切るにはどうしたら良いか。はい、ジョニー」

「銀行強盗とか?」


 ラークの無茶振りに、ジョニーは真顔で答えた。


「強盗? 頭脳がないのに?」ラークは怪訝な顔になる。

「いやいや、ドン。おれはこう見えても郵便局を襲ったこともあるんだぜ? その要領で行けるだろ」

「馬鹿か、オメェ」ミクが突っ込む。「郵便局と銀行じゃ、一般兵と将軍くらい格が違う。仮にパクられたら、一生シャバに出てこられないぞ」

 ジョニーは不機嫌そうに口を尖らせる。「なら、オマエには良い案あるのかよ」

「あたしのアイデア? そうだな、無法者どもの武器取引を襲うとか、だな」

「なるほど。それなら警察に密告されることもないわけだ。ただミク、どこで無法者の取引が行われているんだ?」

「そりゃあ、あたしの部下使って調べさせても良いし━━」

「ねぇ、みんな」


 ラキナが口を挟んできた。3人はその白い髪の少女のほうを向く。


「銀行強盗とか、武器取引を襲うのってさ、仮にうまく行ってもそれを売りさばく手段がなくない? だからラキナに良い案があるんだけど」

 ラークはラキナに向き直す。「どういう案?」

「〝ハンターズ〟をぶっ潰して、ラークがそこのドンになれば良いんだよ」


 3人はしばし、顔芸のように表情を強張らせた。


「は、ハンターズ!?」最初に反応したのはジョニーだった。

 ミクも動転したような態度だった。「ハンターズっていえば、この国最強の賞金稼ぎ集団じゃねぇか!! 銀行強盗より断然難しいぞ!?」

「そう?」ラキナは取り付く島もないまま続けた。「要するに、ハンターズへラークやジョニーくん、ミクちゃんの実力を認めさせれば良いんだよ。そして有力な戦力になったところで、上にいる連中をぶっ潰す。良い案だと思うな~」


 無表情のラキナには似つかわしくない、うっとりとした表情だった。

 そんな中、ラークは不敵な笑みを浮かべる。


「ラキナ、良いアイデアだよ。ハンターズを呑み込んでやろうぜ」


 あんぐりと、ジョニーとミクは口を開ける。


「ドン……、頭おかしくなっちまったのか?」

「だいたい、ハンターズに入れる方法知ってるのかよ? あそこは完全スカウト制だぞ? あたしらみたいな無名が入れる場所じゃないだろ」

「大丈夫。ハンターズは年に1回、試験を行っているからな」

「試験?」ジョニーが尋ねる。

「あそこは完全スカウト制だと思われかちだけど、連中がスカウティングしきれていない有望株を獲得するために、かなり難しい試験を行うんだよ。毎年受かるのは6~7人くらいだけどな」

「なんでそんな詳しいんだよ?」ミクはラークを疑う。

「なんだって良いだろ。そして、その試験は1週間後に行われるはずなんだな」


 ジョニーとミクは知らないだろうが、ラークは昔ハンターズにいた。もっとも、クビにはなったが。


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