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悪魔ノ片鱗-クビになった無能、幼女になって最強の力を得たらしい-  作者: 東山ルイ
第2章

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012 うるせぇ、ワキガ

 現状、ラークたちには頭脳がない。

 手足があって武器まで持っているが、それをどこへ運ぶかを決める脳みそが足りないのだ。ジョニーやミクに妙案があるとも思えないし、ラークも同様である。


「ドンの部屋なんもねぇ。テレビすらねぇのかよ」

「テレビなんて高いもの買えないさ。こっちは金がないんだ」

「テレビくらいあたしが買ってやるよ。でも、そういうことじゃないんだろ?」

「なんだよ、ミク。気前良いな」

「オマエのことは嫌いだけど、オマエの顔立ちは大好きだ。胸に顔うずめて良いんなら、たいていのモンは買ってやるぞ?」

「ロリコンかよ……。しかも同性愛だし」ラークは若干距離を置く。

「幼い命はすべてを救うんだぞ? エロイ思いなんてねぇ。ただすべてをゆるしてもらいたいだけだ」


 そんな性癖を聞いたあと、隣に座ろうなんて思う人間がいるのならば見てみたいものだ。ラークはミクから1番離れた場所に座り、スカートを抑える。


「さて……脳みそが腐り果てて食べごろのお二方。仲良くなれたのかい?」

「水と油は同居できんぜ、ドン」

「油はオマエのほうだけどな」

「うるせぇよ、ワキガ」

「あ?」


 ファーストコンタクトからこんな感じなので、端から建設的な会話など期待してはいけないのかもしれない。

 されど、ラークが勝ち上がっていくのにこのふたりは外せない。プライドがないような男と、鼻に〝つんと〟くるスパイシーな体臭を持つ女。……こう考えると、ラークの成り上がりは始まる前から終わっているようにも感じる。


「落ち着けよ。ジョニーはいきなり突っかかりすぎだし、ミクは体質もあるだろうが……うん、まあ、否めない。だから、あまり喧嘩するな」


 ジョニーは「あいよ。ドン」と追撃を止める。ここで困るのはミクのほうだ。


「……あたしってワキガなん? ラーク」

「あー、まあ、うん、まぁ……」決して目をあわせない。


 露骨にうつむく。

 無理もない。女性に対して体臭を指摘できる者などそうはいない。同性である女性も、異性である男性も、繊細な問題がゆえになかなか切り出すことができない。少なくとも、ラークはそう思っている。

 ましてやミクのプライドは高いだろうし、実際あれだけの部下をまとめる求心力と管理力はある。だからなおさら、ミクのメンタルは傷ついていくのだろう。


「ふふ……良いんだよ。そうさ、男なんてさらってやっちまえば良いんだ。なんなら腋の匂いだけ嗅がせながら犯してやる。あたしは強ぇんだから、それくらいできるさ……」


 とても悲しいことを口走る。これにはさしものジョニーも、涙目になったミクへハンカチを差し出すほかなかった。


「すっごく虚しい会話聞こぇるけど、なんの話~?」


 混沌を極める彼らへラキナが乱入してきた。この少女、わかっているのかわかっていないのかも分からない。


「……誰だ? ドン」

「妹だ」

「妹? それにしちゃ身長高くね?」

「最近の子は食べ盛りなのさ」はぐらかす。

「ヒトのことデブみたいに言わないでよ。ただラークの身長が低いだけなのに。あ、ラキナです。ラークとは前世『死がふたりを分かつまで』という関係でした」


 ジョニーは怪訝な顔でラークを見据ぇる。こんなクレイジーな妹がいたのか、と言いたげな顔である。


「大嘘つくな、真実に聞こぇるだろうが」

「嘘じゃないもんね」

「嘘は何億回繰り返しても嘘のままだし、同時に空虚さがましていく。自分を傷つける真似したくなきゃ、くだらないことは口にするな」

「ノリわるいな~ラークは」


 この間ラキナは表情筋を一切使っていないので、なんとも不気味な光景に見えるのだろう。


「……よ、幼女の声が聞こぇる」

「お、ロリコンが生気を取り戻したぞ?」ジョニーが嫌味を言う。


 だが響かない。ミクはラキナへ夢遊病のように近づいていく。


「君かわいいな……。なあ、胸に顔当てて良いか? 呼吸が荒くなると思うけど、気にしなくて大丈夫だからさ……」


 ミクの声質は割ときれいなので、そこまで変質者感はないが、台詞は変態のそれだ。


「良いよ~」

「ひぃーひゃおー!!」


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