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悪魔ノ片鱗-クビになった無能、幼女になって最強の力を得たらしい-  作者: 東山ルイ
第2章

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011 〝ラキナを愛してよ〟

 まさしく支離滅裂だった。父であり母である? まったくもって意味が分からない。あえてわかりづらいようにしていると疑いたくなるほどだ。


「ほら、なに固まってるのさ? ラーク」

「……昔、遺伝子を差し出せば借金を全部肩代わりするってヤツが現れたことがある。おれの遺伝子なんて、クソの役にも立たないと差し出したが……そういうことかよ」


 とどのつまり、この少女は紛れもない『妹』だ。巨大な電算機が無機とラークの遺伝子から生み出したなにか。さしずめ『ヒューマノイド』といったところだろうか。


「そういうことだよ」


 こうなってくるとラキナの行動すべてが無機質なものだと感じられる。この少女は虚無から生まれた人間もどき。人間のモノマネをしているだけで、所詮もどきはもどきなのだ。


「だからラキナの面倒を見る義務があるでしょ? ラークには」


「そりゃ……そうだな」

「これは、すべてラークが初めたことなんだから」

「おれが……初めたこと」


「ラキナを愛してよ。無視しないでよ。いつだってヒトはラキナを存在しないように扱う」


 考えてみると、ラキナはずっと無表情だった。喋り方も抑揚があまり効いておらず、話している内容を鑑みれば、どこか感情がこもっていないようだった。

 それは今も一緒だ。されど、伝わってくるものが違う。


「ラキナは、この愚かで愛しい世界の列記とした住民だよ。ラークはわかってくれるよね? 大好きなお兄ちゃん」


 病的な目をしっかり見据ぇて、ラークは答ぇる。


「……はッ。当たり前だろ。おれを誰だと思っていやがる?」


 強がりなのか、裏打ちのある宣言なのか。

 それはラークにしか分からない。


 酒に負けて、轢かれたカエルのようになりながら寝ている幼女がいた。


「ああ……。酒分解する部分も、子どもになっているのか」


 動けない。動くつもりもない。至って普通な日常だ。

 ラークはもぞもぞと髪をかきむしる。女性の髪が長くないといけない、なんて前時代的だと感じながら、同時にシャワーを浴びていないことへの免罪符になるわけでもないことを知り、いつ追い出されるか分からない自宅のシャワールームへ向かう。


「やあ。ラーク」


 当然のように12~3歳の少女が自宅の風呂へ入っているのだから、ラークもある意味優雅な人生を過ごしているものだ。

 アルビノの少女に陰毛はなかった。というか、体毛なんて皆無だった。


「照れないの?」

「わざと見せてきたのか……。オマエ、どうかしているよ」

「どうも」


 どんな光景かは想像に任すとして、ひとまずラークがシャワーを浴びられないのは確定である。

 仕方がないので、ラークは紙巻きタバコに火をつけて、再び酒をあおることにする。


「……あ?」


 ほぼ裸な格好で誰かを出迎えたくないものだ。現在、ラークは幼女だからなおさら。

 そんなわけでインターホンに合わせてラークは服を着る。よくよく考えてみると、これはラキナの服だが、気にすることもない。


「ドン。携帯の位置情報アプリでこっち来たぜ」

「ジョニーか」


 見た目10歳の幼女を『ドン』と呼ぶ背丈の高い青年ジョニーは、ある意味素敵な脳内を持っているのだろう。きっと遊園地のようにキラキラしているに違いない。


「あたしもな。作戦会議だろ?」


 愉快な仲間がもうひとり。ミクだ。アジア系の美人だが……体臭が気になる。空気清浄機がすこし騒がしくなるくらいに。


「作戦か。作戦」


 そんなものはない、と端的に伝えたくなるが、そう告げられないのが辛いところだ。

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