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鬼灯

作者: 尚文産商堂

ずっと昔の記憶だ。

だから、随分と変わってしまっているかもしれない。


もう廃集落となってしまった田舎に、小学生の時分に住んでいた。

当時でも50人いないぐらいの小さな集落だったし、小学生は俺が最後、上にも2人しかいないような小さなところだった。

だから立ったのかは知らないがみんな兄弟姉妹のように仲良しだった。


ある夏の日、肝試しをしよう、と慕っていた一人に言われた。

怖いものが嫌いだったが、それでもその人に言われたからということでついていくことにして。

肝試しと言っても、2人が一緒だったからこそいけたと思う。

でもその帰り道、小学校の近くにあった川辺で不思議なものを見た。

ふんわりと浮かんでいる光の球だ。

あれは何、と聞いたら、ちょうどお盆の時期だからね、ご先祖様が帰ってきているのかもね、と教えてくれた。

親にも聞くと、鬼灯といって、ご先祖様が来る時に足元を照らすランタンなのだと教えてくれた。


ただ、今もあの一度だけしかあの光は見ていない。

大人になった今、あそこの川がどうなっているのかは知らない。

廃集落になって久しいし、あの時の2人とも、年に1回くらいしか会っていない。

それも夏のお盆も時期とは違うタイミングだ。

ともなればきっと、あれの正体を知ることはないと思う。

でも、きっとあれは怖がりだった自分を心配してご先祖様が来てくれたんだ。

そう思うようにしている。

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