永遠のシンデレラ~劇が終わってもお姫様扱いをされるんですけど、どういうことですか~
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初投稿です…!
「そして少女は幸せになりました」
大歓声に迎えられながら私はゆっくりと手を振る。
それに応えるように観客から声援が上がる。
私達のクラスの劇は灰かぶりの少女が素敵な王子さまと出会い幸せになる『シンデレラ』の話。
大成功をおさめたこの劇の主役、シンデレラは私、姫廻 れら。
これでお姫様の時間は終わり。
……そう思ってた。
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劇が終わって3週間後。ほぼ1ヶ月。
「さあ姫、お手をどうぞ」
「……あ、ありがとう」
まだお姫様は終わらなかった。
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劇が終わったところから私の姫生活が始まった。
劇の最終日、いつの間にか私の靴がガラスの靴に変わっていた。王子役の男子にエスコートされながら帰宅。階段上ってると靴が脱げて困る。校門から私の席まで赤いカーペットが敷かれた。私の席は劇で使ったふかふかで豪華な可愛らしいデザインの椅子。びっくりしてクラスの子に聞いたら折角作ったからと言いくるめられてしまった。それ以外にも姫扱いは終らない。
「んーなんで?」
もう劇は終わったはずなんだけどな。
「みんなに愛されているからだよ」
そう言ってくれるのは王子役の男子。
でも絶対おかしい。
こんなことあり得ないよ。
だって私……
ーーうわ目合った最悪ぅ
ーー居るだけでうざい
ーー教室入ってくんなよ
「っあ……」
駄目、また嫌な記憶……
少し呼吸が荒くなる。気持ち悪くなってきた。周りを見る余裕もなくその場にうずくまる。焦れば焦るほど恐怖が増してくる。
きっと、きっと冷たい目で見られてる。どうせ仮病だって先生にも見放されて。そのまま皆に軽蔑される。もう、無理。
「大丈夫だよ姫廻さん。君はもう灰かぶりなんかじゃない。」
「最強のお姫様、でしょ?」
「……あ」
そう私は姫廻れら。灰かぶりの時期はもう乗り越えた。ダイエットやメイクという魔法を自分でかけて周りの愛を掴んだシンデレラよりも強いお姫様。
もう私を悪くいう人はいない。
もし何かあっても庇ってくれる友達も王子様もいる。
「そう、私は最強のお姫様なの。」
私はいじめられてとある学校から逃げてこの高校にやってきた。これまでの自分を変えようと思った私はまずダイエットをはじめメイクを学び髪のケアをして、とにかく美を追求した。自分に自信がもてるようになって醜い気持ちの代わりに自己肯定感を持つことができた。転校先ではノリの良く、優しいクラスに恵まれて話を聞いてもらって励ましてもらって……。
話を聞いてくれたクラスメイトの1人が「魔法をかけられたシンデレラみたいだね」って言ったのがきっかけでシンデレラに興味をもった。シンデレラは強く美しく、私もこうなりたいと思った。私には魔法をかけてくれる魔女なんて居なかった。だから自分で魔法をかけた。12時の鐘がなっても永遠に解けない魔法を。
クラスの皆が私=シンデレラという認識をもった頃演劇をすることになったのでシンデレラをするしかないということで満場一致。
とんとん拍子で役職が決まり当たり前のように私がお姫様に。
嬉しかった。皆が転入してきた私を受け入れてくれたこと。話を聞いてくれたこと。慰めてくれたこと。私を劇の主人公にしてくれたこと。味方になってくれたこと。元の学校に警察と乗り込んで落とし前をつけてくれたこと。私を見捨てた教師を社会的に追い詰めてくれたこと。私の苦しみを代弁してくれたこと。ずっとそばにいてくれたこと。お姫様にしてくれたこと。
ずっとずっと大好きなクラスだ。
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今日も王子役を務めた男の子と一緒にかえる。
華麗なエスコートと屈託のない笑顔。本当に王子さまみたいだ。
「ありがとう。お姫様扱いしてくれてすっごく嬉しかった。でも、毎日一緒に帰るの、大変でしょ?」
もういいんだよ、という意味を込めて相手を見つめる。もう1ヶ月以上も王子さまにエスコートしてもらってる。流石に負担だろう。
「大変なわけないよ。なんでわざわざ僕が王子役なんて引き受けたと思ってるの?」
「え?」
確かになんでだろう。今こそ様になっている王子役も始めは苦労してた。元よりめんどくさいことを嫌う彼は主人公というだけで嫌がりそうだ。
んーと私が唸っていると少し諦めたように彼は笑った。
そしてこそっと私に言った。
「ーーーーー」
その言葉を聞いて真っ赤になったのは言うまでもない。そんな台詞を言えちゃうなんてやっぱり王子さまだからなのかもしれない。
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ゴーンゴーンゴーン……
鐘が鳴った。それはまるでシンデレラの魔法がとける合図のようだった。
けど私にとってその鐘は幸せの始まりの音。
劇でしか着ることがないと思っていた豪華なドレス。その色はシンデレラの鮮やかな青色と違って真っ白。
隣には王子さま。いつの間にか迎えに着てくれてた私だけの王子さま。もうすっかり大人になった元クラスメイトが祝福の声をあげてくれる。
シンデレラが幸せになるまではもう演じた。
これからはシンデレラの続きの幸せに溢れた物語を辿る。
隣の彼と誓いのキス。指には愛に照らされて輝くダイヤの指輪。
「君に初めて想いを伝えた日を覚えてる?」
愛している彼からの質問に私は大きく頷く。彼はこんな風に言ってくれた。
『たとえ物語の中だけでも君だけの王子になりたかったんだよ』
あの時恥ずかしさのあまり相手の顔をよく見れなかったが実はすごく照れてたらしい。そんなところもとても愛おしく思えてしまう。
「ずっと君だけの王子でいたかった。」
「これからはずっと私だけの王子さまだね。」
ガラスの靴を落とさなくても、かぼちゃの馬車に乗らなくても、迎えにきてくれた、私だけの王子さま。
それて私は貴方だけのお姫様。
これからもずっと。
お疲れ様でした!ここまで読んでくださりありがとうございます。反応をもらえるととても喜びます。王子の名前を出す機会を逃しに逃しまくり名無しとなってしまいました(笑)




