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backup2  作者: 黒い映像
第一章 竜と異邦人と底辺宿屋
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9.お嬢様は激怒した

昨日はとてつもなくはしゃいでしまったので、今日はゆっくりしたい。

まだ衛兵に警戒されてるかもしれないしな。

ギルドの依頼完了報告を出し忘れていたが、まぁ明日行けばいいさ。


そんな今日の予定を立てながら味噌汁と漬物と白米を楽しみまったりしていると、シンママが話しかけてきた。


「タナカさん、またエウリィがお邪魔になっていませんでした?」


ああ、来てましたよ。

いつもの様にいつの間にか引っ付いて寝てましたね。

今日はなぜか全裸だったので冷や汗をかいてしまったが。


「もうっ、あの子ったら……ごめんなさいタナカさん、毎晩迷惑を掛けてしまって」


シンママが申し訳なさそうに頭を下げた。

いやいや、お気になさらないように。甘えたい年頃でしょうしね。

でも全裸は流石に飛ばし過ぎだと思った。


「……エウリィは、心のどこかで父性を求めてるんでしょうか。あの子は一度も父親を見たことがない子なので……」


多分……としか言えませんが、そうなんじゃないでしょうか。


「や、やっぱりそうなのでしょうか。そうだとしたら……」


俺もエウリィがよく懐いてくれて悪い気はしてませんからね。

俺なんかでよければいくらでも迷惑を掛けてもらって構いませんよ。

でも全裸は流石に飛ばし過ぎだと思った。


「タナカさん……」


熱い目線を俺に向けてくるシンママ。

おっと、これはもしかしてフラグが立ったかな?

子供が再婚のきっかけになるのって意外と多いと聞くしな。


「旦那ァ! 流石にエカーテさんまで取るのはどうかと思うぜ!」

「そうだそうだ! この宿の希望の星を奪うのは許されねぇぜ!」

「エカーテさんは……俺たちのアイドルなんですぜ」


ブラックリスト三人衆が喚き始めた。

なんだテメエら違法滞在者の分際で。舐めた口を利く前に金を払いやがれ。

この宿の女は全部俺のもんだ。がっはっは。


「亭主のものになった覚えはないっ!」


俺の横で細々と食事をしていたお嬢様が吠えた。

へへ。可愛い子ちゃんめ。

ちゃんとお嬢ちゃんも俺のもんにしてやるよ。


「ふ、ふざけるなっ! 私は亭主のものではないっ!」


顔を真っ赤にしたお嬢様がぷいっと横を向いてしまった。

そんなこと言わないでさ、お兄さんと遊ぼうよお嬢様ぁ。


「お断りするっ!!」


お嬢様がテーブルをバンッと叩いて立ち上がってそのまま食堂を出ていってしまった。

今日も気を付けてね。


「へへっフラれてやがる。ざまぁねえな旦那よォ」


うっせうっせ。

いいもん俺にはまだロリ母とロリ娘とベイビーちゃんがいるし。あと偶に来る魔女っ娘。

すげえな。全員ロリータだぜ。


「改めて……度し難い女のラインナップですぜ」


うーん。俺そんなロリコンだったっけ。


***


食堂を出ると猫が喧嘩するような騒々しい音が聞こえてきた。

俺の事務室兼寝室の方だった。


「フシャアアアアアァッ!!」

「シャーーーッッッ!!」


ドアを開けるとガールズキャットファイトが行われていた。

こらこらやめなさい君たち。裸ではしたない。


「お兄ちゃんっ!! なんでこの子と寝てたの!?」

「おまえ! どうしてこのこむすめがあいのすにはいりこんでいるのですか!?」


うーん修羅場だ。まずは服を着ようね君たち。


「こんな子お兄ちゃんにふさわしくないんだからっ!」


ヤンデレ妹CDみたいな台詞リアルで初めて聞いたわ。いやリアルじゃないんだけども。

俺死ぬほど愛されて夜も眠れなかったのかもしれん。


「なんなんですかこいつは! いきなりきてわたしのだんなをねらうなんて!!」

「うるさいっ!! 急に来たのはあんたのほうでしょこの泥棒猫!!」

「なーちゃんにけんかをうってるんですか!?」


あかん怖いわ。女のリアルバトルって男が想像してる以上に怖ぇ。

でも俺は紳士だから間に入って止めてやることだってできるのさ。


「!! おまえ、なんでそっちのこむすめのみかたをするんですか!」


やいベイビーちゃんよ。お前のパワーで暴れられたら困るんだよ。

大体この子はまだ子供なんだ。手加減してやんなさいよ。


「子供じゃないもん! もう赤ちゃんだって産めるんだからっ!」


あっそうなの。子供に思えても発育って早いんだね。

でもそういう事は軽々しく口走っちゃいけないんだ。

とりあえず今日はお赤飯でも炊こうかね。お赤飯炊く文化ってこっちでもあるんかな。


「お兄ちゃん。お兄ちゃんはわたしの味方してくれるんだよね? ねっ?」


エウリィ。君ももう少しおしとやかにならないといけないよ。

未婚の男性の部屋に裸で押し入るのは、例え子供であってもダメなんだ。


「じゃあなんでこの子は裸でお兄ちゃんにくっついてたの!? この子が良くてわたしがダメな理由を教えてよ!」


そう言われてしまうと俺も答え辛い。

うーんとね、この子は服を着る習慣すら教えられなかった可哀想な子なんだ。

だから俺が一から色々と教えてやってるのさ。


「あんたお兄ちゃんに教えてもらっておきながらどうして服を着てないのよ! そんなに頭が悪いの!?」

「ふうふだからなーちゃんははだかでかまわないのです! きのうがしんこんしょやだったのですよ!」

「お兄ちゃんどういうこと!?」


うん、確かに一緒に寝たから初夜かもしれないね。でも新婚は付かない。

エウリィ、この子も幼くてね。ごっこ遊びみたいな感覚で演じてるだけなのよさ。

だからあまり本気にしちゃいけないよ。


「ごっこではありません。きのうだってキスをしてもらいましたからね」

「なによそれ! わたしだって寝てるお兄ちゃんの口にこっそり舌を入れたことくらいあるもん!!」


おいやめてくれ知らねえぞそんなの。

せめて心の中にしまっておいてほしかった。


「なっ……! くちにしたを……!? よくわかりませんがずるいですそんなこと! おまえ! なーちゃんにもおなじことを!」


しねーよ。

ねぇちょっと君たち落ち着いてくれ。まずは落ち着いて服を着てくれ。

こんなところ他の人に見られたら誤解されちまうんだぜ。


「亭主、さっきから喧しいぞ。一体何を…………」


Oh。フラグ回収が早ぁい。

ひょこっと現れたるは銀髪のお嬢様でした。

お嬢様、これは違うんです。一旦深呼吸しよっ?


「な、な、な……何をしているのだ貴様らはあああっ!!!」


お嬢様は激怒した。

必ず、かの邪知暴虐の王を除かなければならぬと決意した。

王は俺か。改心したら許されるかな。

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