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backup2  作者: 黒い映像
第一章 竜と異邦人と底辺宿屋
3/33

3.およめさんにしてください!なんでもします!

隙を付いて逃げました。

全力で。


「まってぇええええええっ!! まってくださいぃいいいっ!!」


背後から聞こえてくる必死な声を無視して駆けていく。

おっさんと全裸少女の全力鬼ごっこが始まった。

しばらく追いかけっこを続けたのだが、途中で当たり前のように俺の体力が尽きて倒れた。

おっさんに全力疾走はキツイて。


あえなく逃走に失敗した俺は全裸少女に抱き着かれて頬ずりされた。


「ふぅ……はぁ……やっとつかまえましたっ! もうはなさないですからっ!」


ビーマイベイベーかな?

しんどすぎて頭がおかしくなりそうだぜベイビーちゃん?


「しんどいならなーちゃんがひざまくらしてあげますっ!」


全裸の少女に膝枕されるおっさんの姿があった。

何だこれ。どういう状況?


「どうですかー? なーちゃんのひざはきもちいーでしょう?」


ご満悦そうな顔で俺の頭を撫でてくるドラゴン少女。

俺はただひたすらに気まずかった。

だってそうだろ?

出会って数分しか経ってないドラゴンにプロポーズされて困惑しない奴いる?


「なーちゃんがきょうからあなたのおよめさんになってあげますからね! いっぱいおせわしてあげます!」


オウフ。お嫁さんが出来ちまったよ。

俺の意思がガン無視なのはデフォなのかい子猫ちゃん?


「なーちゃんはドラゴンですよ?」


やめてよボケ潰しみたいな反応。


……真剣に聞くがお前マジで言ってるのか?

どういう意味か分かってドラゴンが人間と結婚するなんざ言ってるのか?


「もちろんわかっています。けっこんはあいのかたちのけっしょうだとしってるのです。しってていってるんです!」


ん~そっか~意味分かって無さそ~……。

生まれたばかりって自分で言ってたくらいだから、多分情緒があんまり育ってなさそうだな……。


……というかドラゴンが人間みたいな考えを持ってること自体に驚きだわ。

その前に喋ってることを驚くべきか。もしかしてドラゴンって全員喋れたりするわけ?


「ひとのことばをはなせるのは、ドラゴンのなかでもおそらくなーちゃんだけです。ひととあいしあいたいというつよいおもいが、なーちゃんにひとのことばとひとのからだをスキルとしてあたえてくれたのです」


ほぉん。なるほどねぇ。

それがこいつのネームドとしての固有スキルなのか……?

これまた妙な名前付きが居たもんだ。


「なーちゃんはドラゴンですけど、ほとんどにんげんとおなじかたちをしてます。だからあんしんしてつれていってくださいね」


何も安心できないよぅ……。


あのね君。どう考えても君みたいなのを人間の住む場所に連れて行ったら大騒ぎになるでしょ。

どうせどっかで正体がバレて悲しい結末を迎えちゃうんだよ。おじさんそういうの詳しいからわかっちゃうの。


「それについてはだいじょうぶです。なーちゃんこうみえてとってもかしこいのでボロがでるようなまねはしませんよ。おっとをたてるていしゅくなつまのやくわりにてっします」


ええい、ああ言えばこう言うやっちゃな。

もうはっきり言うけどな、俺はお前を連れて行く気なんかないからな。

だから結婚とか無理です。絶対嫌。


「どうしてですか? なーちゃんのこときらいなのですか?」


嫌いとか以前にお前の事全く知らないからな。

出会って一日も立ってない奴を信用できるかよ。

お前が人の街に入った途端に暴れ出したりしないって保障がない。


「なーちゃんはひとをむやみにきずつけるようなことはしません!」


矮小な人間とか言ってバトル仕掛けてきた癖によく言うぜ!


「あれはおまえがさいしょにけんをだしてきたのでしょう! せいとうぼうえいです!」


最初に手出してきたのはそっちじゃない? 力で従わせようとしてきたじゃん。

俺ああいう上から目線で命令されるの嫌いなんだよね。


「うっ……に、にんげんのなかにはつよくてこわいやつもいるときいてたのです。さいしょにこうあつてきにせっしたのはあやまるです……」


おう、素直でよろしい。

まあ話は分かる奴みたいだけどな、いきなり結婚しろなんて言われて了承する奴はいないって事ぐらい分からなかったのか?


「な、なーちゃんはかわいいから、ぎゃくにあいてからいいよられるっていわれてたのです! もしかしてなーちゃんはかわいくないのですか!?」


いや、可愛いよ。ピッチピチの美少女よ。

そこら辺歩いてたら思わず振り返って二度見するようなレベルだよ。

でもそれとこれとは話が別だろ。

いきなり結婚は申し込まんだろ普通。


「じゃあにんげんはどうやってけっこんするのですか?」


そりゃああれよ。告白して付き合って……。

いや、その前にお互いが好き合ってないとダメなんじゃねえの?


「おまえのことはすきですよ?」


おおぅ……。もう赤ちゃんみたいな純粋無垢さだな……。


あのなぁ、お前は俺の何を知ってるんだよ。

どこを見て好きになったわけ。俺の名前も知らないくせに。


「そいえばなまえをきいてなかったですね。おまえのなまえをおしえてください」


……どこまでも自分本位だなぁ。

何かもうどうでもよくなってきちゃったな……。


「ねえ、なまえはなんというのですか?」


教える訳ないだろ。

俺は信頼してない奴に個人情報を漏らすつもりはない。


「……なーちゃんはなまえをおしえたのに」


勝手に教えてきたんじゃろがい。

もういいから放してくれ。

俺はお前のお願いを聞かない。これ以上は迷惑だ。


「……なーちゃんは、おまえがしりたいです」


……。


「いっしょにいたいです。そばにおいてください」


……。


「おねがい、しまずからぁっ……ぐしゅっ……おねがいだからおよめさんにしてくだざいぃっ」


……泣き落しか。

狡猾な奴め。そんなんで靡くと思うなよ。


「おねがいじまずぅっ……ひっく……なーち゛ゃん゛はわるいごどばじないがらっ……ひどりはざびしいのですぅ……!」


……。

…………。

………………。




*** *** ***




「えへへ……やっぱりおまえはやさしいのです! なーちゃんのおもったとおりなのです!」


背中に乗せた重みが、やらかした感を如実に表していた。

女の子の泣く姿って武器だよな。

男性機能を失った男にだって覿面に効くんだもの。


「おまえはくちがわるいけど、とてもやさしいこころをもってます。なーちゃんにはわかるのです」


ふんっ。褒めたって好感度は上がらないんだからねっ。

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