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エウロパの脅威

作者: はやまなつお


西暦2122年。

人類は火星に植民、木星探査を行っていた。


木星自体はガス天体であり、地殻は持たない。

木星の4つの衛星、内側からイオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト。


これらは地殻を持つ。

3つは調査できたがエウロパだけは未調査状態。


酸素を含む大気を確認できたので真っ先にエウロパ調査が開始されたが。


最初はアメリカの調査隊が通信途絶、行方不明に。

2度目、3度目も同じ。


ロボットだけの第4次調査隊もエウロパに降下したとたん通信遮断で行方不明。

ここでアメリカはエウロパの調査を中断。


他の国のチャレンジが許可された。

ただしデータの引継ぎは、伝えられない。


最初に調査して大地に旗を立てた者が権利を獲得できるので

その後も挑戦者が続いた。


イギリスの第5次調査隊、フランスの第6次、イタリヤの第7次も同様に行方不明に。


(ロシア、中国は他国に無理な戦争を仕掛けて、経済制裁をくらい、国内が分裂して破綻。

 インドはカースト制度の身分差別から非人の反乱が多発。

 この3国の経済発展・宇宙開発はストップした)


第8次は女性同盟のアマゾネスたちが挑戦して玉砕。

第9次は軍需企業体メトロームのサイボーグ部隊がやはり失敗。




そして私たちは第13次調査隊。


13番目は欧米人には縁起が悪いとして12番からの間が空いた。

老キャプテンが、ロートルだがクセの強いベテランメンバーを集めた。


元宇宙軍くずれの火星のならず者の、人種ごちゃまぜの混成メンバー。

太陽系第4惑星、火星の宇宙空港から出発して第5惑星、木星の衛星エウロパに向かう。


大型宇宙船をレンタルしている。

大きさに余裕のある輸送船なので、今回は密室トラブルは無いと思ったが。


私にからんできたので容赦なく熱線銃で3人を射殺した。

私は宇宙警察と契約していて仕事中は常にカメラをONにして正当防衛が認められている。


火星では保安官をしていた。上流階級のS地区とスラムのD地区がある。

S地区はマナーが良くて安全地帯だが、D地区では犯罪者が多く、銃所持が許可されていて騒ぎが絶えない。


後の2人もやはり私を航行中に威嚇してきたので、

手首にセットしてあるチェーンナイフを作動、敵の首を切って殺した。


他人を脅さずにはおれないらしい。

わかりやすく熱線銃をガンベルトで見せているのに突っかかってくるのは理解不能。


他のメンバーは全員、実弾銃を所持。レイガンは宇宙軍の独占。民間人は使えない。

私は家庭用コンセントで充電できる熱線銃を持っている。


エウロパを視認する位置まで来た時の人数は10人。全員男のメンバー。

そして100%危険が有る場所、エウロパに大型宇宙船は降下していく。




エウロパの大気圏を越えて地表の岩石地帯へ。


座礁している宇宙船を発見。


その300メートル近くに着陸。

大気は呼吸不可能。


私が志願して一人で簡易タイプの宇宙服を着てエアロックを出た。

ビームライフル、そしていつもの熱線銃装備。


重力が軽い。最初は四つん這いで慎重に、要領をつかむと普通に歩ける。

呆れたことに宇宙船のエアロックが空いている。


乗り込む。内部には6人が死んでいた。

お互いに銃で撃ちあったらしい。


物音。私は銃を向けた。出てきたのは。


Aだった。私が中学生だった時にさんざん嫌がらせをしてきたチンピラ男。

「よう、***の***、***!」ひどい悪口をニタニタ笑いながら喚く。


そしてナイフで突っかかってくる。

私は遠慮なく使い慣れた熱線銃を撃った。


Aの腹に当たって奴は倒れた。

私がじっと見ているとAの姿はスウッと煙のように消えた。


こんなところにAがいるはずが無い。幻術。

だとすると危険。




元の宇宙船に戻ると。

全員が撃ち合って死んでいた。


自分にとって天敵と思えるほど許せない相手が挑発してきたら

怒らない人間はいない。このテレパシー攻撃は防ぎようがない。

ロボットには通用しないと思うが。


「おい、いるんだろう!幻術を仕掛けてきた奴!出てこい!」

声が通じるかどうかわからないが、外に出て宇宙服のマイクで怒鳴った。


「なかなか強靭な精神を持っているな。我々はエウロパ人だ。

君の考え通りテレパシー攻撃だ。君たちが我々の存在を知れば

核ミサイルを撃ち込んでくるからな。行方不明にするしかなかった」


「どこにいる?姿を見せてくれないか?」


「我々から見ると見ると君たち地球人は凶暴で醜悪な怪物だ。外見も精神も。

君たちにとっても同じだろう。かならず争いになる。

だから我々が支配する。表には出ずに君たちの支配者層をコントロールして」


「そんなことができると?」


「君たちの探検隊は13番目だと思っているだろう?非公式の略奪船が50隻以上来ている。

最初は殺すだけだったが、生け捕りにしてコントロールして我々が乗る準備をしている」


岩陰から高さ40センチほどの昆虫・・・白いゴキブリが立って歩いてきた。

10体ほど。銀色の服を着ている。

腕は4本。確かに本能的に嫌悪感を持ってしまう。


体が動かなくなる。

ゴキブリ、いやエウロパ人たちの触角がうごめく。


「さあ、もう動けまい?我々はみじめな状態だったがこれで太陽系に増殖できる。

来てもらおう」


ゴキブリたちにコントロールされた私は歩き出した。

途中でゴキブリたちは羽で飛行を始めた。私を6匹ほどで支えて。


何キロか飛ぶと宇宙船が30隻ほど並んでいた。

人間が100人ぐらい、やはりコントロールされた状態らしく立っていた。


そしてゴキブリたちが。何万匹か数える気にもならないが見渡す限り集合していた。

なぜかカラフルで多くの種族がいるらしい。

指導者らしき大きくて緑色のゴキブリ王が触覚を震わせて演説か作戦説明かを行っている。


私を捕まえた連中は王の前に降り立つ。

白ゴキブリ隊長が報告。王が何か答える。


白ゴキブリ隊長

「おまえの船も使える。俺たちがおまえを捕まえたから戦いに行ける。

 名誉をつかめる。おまえたちの宇宙兵器で、あの敵に逆襲することもできるだろう」



「キュキュキュ!」変な声が上空で響くと同時に金縛りが解けた。


上から巨大な雹が突然降ってきた。

何万匹のゴキブリたちは悲鳴を発してパニックに。


いや、雹か雪玉と見えたのは半透明な体、翼付きの袋、

クリオネのような3メートルほどの怪物の大群。


クラゲ怪獣たちは無数の触手で白ゴキブリたちを刺して体液を吸い取った。

「うわー!ザータンが!」テレパシーがまだつながっているらしく、白ゴキブリ隊長が叫んだ。


記憶が伝わってくる。どうやら木星の怪物。

地殻のある衛星にいるゴキブリ族、ブラジュを

ザータンは食べに来るらしい。いわば天敵。


ブラジュ族のテレパシー能力はもちろんザータンには通じない。

大きいゴキブリ王が何体かのザータンを引き裂くが、大勢にまとわりつかれ、刺されて倒れる。


私と人間たちはコントロールが途切れたとたん、それぞれの船に向かった。

私も走って自分の船に向かった。


緊急発進で30隻の船が飛び立っていく。


死体だらけの船に戻ると。体が金縛りに。

上に羽で飛ぶ白ゴキブリ隊長。

攻撃を受けたらしく腕の1本が無い。


「さあ、おまえの基地へ案内してもらおう。

おまえたちはテレパシーに無力だ。簡単に支配できる。

私が王になれる。長年我々を食料にしてきたザータンども、

おまえたちの兵器で皆殺しにしてやる」


心がつながっているなら。

私はザータンが背後から襲いかかるイメージを見せた。


「ひッ!」悲鳴を上げて背後を見る白ゴキブリ。

バンッ!

私は熱線銃の早撃ちでゴキブリを撃ち抜いた。

大穴を開けて地面に落ちて燃え、絶命する。


そして緊急発進、上空へ。

エウロパの大気圏を脱出した。



手本はアイザック・アシモフ「カリストの脅威」。

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