せんきょとせいじのしくみ
日本は代議制です。間接民主主義ともいいます。
これは、多数決で代表を選んで、さらにその選ばれた代表による多数決で総理大臣を決めて政府を任せるという仕組みです。二段階の選別があるわけです。
一段階目を選挙といい、これに我々国民が関わるわけです。
選挙に投票する権利を選挙権と呼び、日本では18歳以上の日本国籍保持者に選挙権が与えられます。
日本に住んでいても日本国籍を持っていなければ選挙権はありません。
これは例えばどっかの国から二億人がやってきて組織票を投入して日本を乗っ取るとかそういうことを防ぐためです。
日本は国民による国民のための政治が行われる国です。国民とは日本国籍保持者のことです。何十年も住んでいても、何代も住んでいても、日本国籍がなければ日本国民ではありません。その気になればスポーツ選手などの例があるように帰化することで外国の方も日本国籍を得ることができます。ほかにもいくつか日本国籍を得る方法はあります。それをしないで日本の政治に口出しすることは原則的に認められません。
選挙は政治に口を出す手段です。
選挙権を持つ国民の意思が反映されることになっています。
例えば高齢者は高齢者への手当てを厚くしてほしいと考える。
子どもを作りたい若者は子ども手当など子育て支援をしてほしいと考える。
限りある国家予算をどのように振り分けるように働きかけるか、という点で考えが近い候補者に投票するというのが基本です。
他に、会社にとって都合のいい候補者に入れてね、と会社から働き掛けがあったり、ほかにも何かしらの所属団体から以下同文だったりします。
そうやって様々な立場の人が、自分の考えや都合を反映してくれる候補者に投票することで、当選者は間接的に国民みんなの意見を反映された人たちになり、彼らが議会で活動することで政治に国民の意見が反映される……というのが選挙の建前です。
ところで、投票権を持つ国民ですが、全員が選挙で投票をしているでしょうか?
答えはNOです。
選挙の際投票率という指標が発表されている通り、投票しない人がたくさんいます。
近年はおおむね50%台、悪いときは40%台にまで落ち込むこともありました。
これはどういうことかというと、40%以上の選挙に行かない人の意見を、議会や政治は反映しないということです。
これは例えば、税金を2倍にするべきという人が2割、税金が減ったらいいなあと思う人が6割、中立が2割いたとして。
2倍派が全員投票し、選挙に行かない人が全員減税派だったとした場合、2倍派の議員が誕生する可能性が高くなるということになるわけです。
先ほどのは極端かつ単純化した例でしたが、ここでひとつ別の情報を付け加えてみましょう。
近年投票率は50%前後であるということを先ほど述べましたが、これを年代別に分解すると、年配の方ほど投票率が高く、若者ほど投票率が低いという結果が出ています。
具体的には20代30代の投票率が低く、50代60代の投票率が高いのです。
先ほどの例を思い出してください。
二つの話を合わせると。
議員と政治には若者の意見があまりと反映されておらず、年配の方の意見が強く反映されている、ということになります。
高齢化社会が叫ばれるようになったのは前世紀のことです。
この問題への対応がこの投票率の偏りに起因しているのではないか、と考えざるを得ません。
実際のところはどうでしょうか。
現在の政治は高齢者へ手厚く、若者に手薄いように思われるでしょうか。その判断は各自に任せましょう。
理屈として、投票した者の意見が反映される。
投票しなかった者の意見は反映されない。
これが選挙を前提とする民主主義の前提であり仕組みなのです。
逆に考えてみましょう。
候補者の視点からすると、当選するにはどうすればいいでしょうか。
極端な例ですが、日本を滅ぼすという候補者と、日本を守るという候補者がいれば、日本国民であれば後者に投票するでしょう。当然です。
投票者は、基本的に自身に都合のいい候補者に投票する。みんな滅びたくないし国に守ってもらいたいですから、この例であれば後者になるのです。
では、ある問題への対処が論点だった場合、例えば少子高齢化が問題なので解決したいといった場合アプローチとしては高齢者への手当てを厚くする、若者の子育て支援を手厚くするといったものがあると思います。
予算には限りがありますので、どちらをより重視するか、10対0ではなくとも、8対2にするか2対8にするかという考え方が違ってきます。
両方に力を入れて10対10だ! という候補者もいるかもしれませんがこれはちょっとおかしいか別のものを犠牲にしているので注意です。全部できるなら誰でもみんな全部やるっていうので。取捨選択せざるを得ない中で何をより重視するかということであり、やったらいいこと全部やるよ、というだけの人はあんまり信用しないほうがいいかもしれません。やったらいいことは無数にありますがその中には相反することもあるのです。やったらいいことはいっぱいあるけど一度に全部はできないから何を重視して何から手を付けるか、という主張がいわゆるマニュフェストであり、これを見て自身と考えが近い人に投票するのです。
さて、現在の投票率の偏りから考えて、高齢者と若者、どちらを重視すれば、候補者は当選しやすくなるでしょうか?
つまり、若者の投票率が低いと考えられている限り、若者重視の候補者はなかなか増えないのです。
若者の投票率が低いと考えられないようにするには、若者が実際に投票した実績がなければいけません。
つまり、どうせ政治とかダメじゃん、とあきらめるのではなく、実際に何度も投票することで、初めて候補者は「あ、若者の投票率が高いんだな、彼らの票を狙えるかも」と考え始めるのです。
候補者にとって投票率が高い年代に向けの政策を考えるのは当たり前のことですから、政治に自分たちにとって都合のいい政策を求めるならば、自分たちの年代の投票率を上げる必要があります。
年代別投票率は公表されていますが、年代というくくりだけとは限りません。
同じ業種の仕事であるとか、同じ困った問題を抱えている人たちが集まった集団や組織であるとか、声を上げて集まることでこの問題を扱ってくれたら投票するよと候補者に見せることもできます。
これが極まったものが政治団体であったり政党になります。
こうしたい、こうしてほしい、という主義主張がある人が、同じ意見を持つ人と集まってまとまった票を確保するのです。
具体的な目標があるので、彼らの投票率は高くなります。意見を通してくれる候補者に投票するため。投票率が高くなる。彼らの票が投票率が低いほかの考えを持つ層と比較して多くなるということです。多い票を取り込めるなら、この意見を採用して票を得ようと考える候補者が現れる、あるいは代表を立てて立候補するわけです。
もっと緩い活動もあります。
例えば子育て中のパパさんママさんがママ友パパ友に選挙行こうと声をかけるといった程度のこともあるでしょう。
政治に意見を反映させるには選挙を介することが必要です。それが民主主義の原則です。
選挙に参加しなければ、政治に意見を通せません。
生活が苦しいならば選挙に行って投票しましょう。
困っていることがあるならば選挙に行って投票しましょう。
求めるものがあるなら選挙に行って投票しましょう。
友達や同じ境遇にいる仲間に声をかけてみましょう。
数は力というのは民主主義の原則です。
また、一度の選挙で何も変わらなかったからといってあきらめないでください。
投票したことで投票率が上がります。
選挙を分析している候補者たちは、どんな人が新たに投票しに動いたのかを分析しています。
そして当選するためにそんな投票者の意見を組み込もうとするでしょう。
何度も投票することで自分の、自分たちの一票の価値が大きくなるのです。
選挙というのはそういう仕組みなのです。
選挙に行っただけでは変わらないことも多いです。
選挙に行って投票し続けることが大事なのです。
ですからぜひ選挙に行きましょう。
選挙は国民にとって自分の生活をよくするための手段の一つです。
日々の筋トレや運動不足解消のための散歩などと同じように、すぐに結果は出ませんが続けることで徐々に効果が出てくるのです。
長い時間をかけて投票率の偏りが顕著になってきた歴史があります。
時間をかけてこうなったのです。
同じ時間ではなくとも、政治へ意見を反映させようとするならば相応の積み重ねが必要なのです。
年に一度もない程度の手間です。
自分のために、ぜひ選挙に行きましょう。