怪鳥現れる
朝早くから鳥達の鳴き声がうるさい。
家を飛び出すと、何やら鳥達が南の方を警戒しながら飛び回り鳴いている。
見ると何かが飛んで向かっている。
まだ鑑定できる距離でない。
そんな事を考えていると、何時の間にか近くまで来ている。
ソイツは俺の頭上を通り過ぎ、ふわりと屋根にとまり俺を睨んでいる。
すかさず鑑定。
バードン
Lv5
HP20
MP50
STR4 VIT4
DEF3 INT5
DEX3 AGI4
風魔法
俺は飛び跳ねて土塀を乗越え、出入り口のツータンへ駆け寄った。
地面から適当な石を、土魔法の[操作]で取り出し空中で回転させる。
そんな俺の行動を見ながら、不思議そうに頭を傾けて見ている。
バードンはゆっくりと羽を広げた。それは5メートルにもなりフワリと空中に浮き出した。
そしてバサリと羽ばたくと、ゆっくりと睨みつけたまま俺の方に向かって来た。
俺はもう少し近づくのを待つ。
いい距離にきたので、
「ツータン!拘束しろ!」
4本のツタが伸びて一瞬でバードンを拘束。
驚いたバードンは暴れだすが、すでに遅かった。
地上から5メートルまで引き寄せられたバードンに、俺は狙いを定めて回転した石を発射。
胴体の中心を貫通。その瞬間、糸が切れたように地上に落下。
いつの間にか来ていたゴーレムにボコボコにされるバードン。
わずかに抵抗していたバードンもようやく動かなくなった。
俺は軽トラを、バードンの横に停車させて何枚か写真を撮った。
比較するとバードンのでかさに改めて驚いた。
そしてサバイバルナイフで胸を裂き、探すとお目当ての物を発見。
それは、紫色の魔石だった。
すぐに鑑定する。
紫魔石(魔力が溜まった石。魔力を吸収するとMPが回復する。初級の風魔法が使えるようになる)
なんと今度はMPを回復する魔石であった。
そしてそのMPを取り込む事で初級の風魔法も使える様になるらしい。
MPはわずかしか減ってないが、魔力を吸収する。
ジワジワと魔力が流れ込んでくる。そして風魔法の知識も入ってきた。
植物魔法と土魔法の魔法知識と比べると、知識量はやはり少なかった。
フッとため息を吐いた。
紫魔石を大切にウエストポーチに入れる。
早速、撮りたての写真を投稿する。
バードンのステータスも一緒に投稿。
そうだ、魔石の事も投稿する方が良いだろう。
しばらくバードンについて考えた。
あのバードンは、1体だけでは無いはず。
又屋根にとまられると厄介だ。そうだ屋根の上にもツータンを置こう。
屋根に梯子を掛け、レンガで土を置けるスペースを作る。
接着には屋外用コンクリート用接着剤を使用。
バケツで土を運んで、いい具合にできた中へ入れていく。
ポンプにホースをつなぎ、1つは雨水タンクにいれもう1つはツータンの水やり用に設置。
ボタン1つで水やりができるので、これで良いかなと思う。
そこへ先の討伐でLv3になったツータンを植える。
Lv3になった事で、どうやらツタを使ったツタ攻撃が出来るようになった。
ムチの様に振りながら叩き付ける。その攻撃は大きな木でもへし折る攻撃であった。
ツータンを見ながら、
「どうだ、狭苦しくないか」
フサフサと動き、大丈夫だと意思表示してくれた。
「そうか、頑張って守ってくれよ」
下から見上げると、気持ち良さそうにツタを屋根いっぱいに這わせている。
太陽も良く当たり、案外良い環境かも知れない。
これで屋根の仕事も終わった。
先のバードン討伐で貰ったSPは100で、それだけ強い魔物だったと分かる。
多分、油断していたから勝てたと思う。
合計SP170だが、SP100の選択からスキルを探す。
良さそうなのは防御強化で、皮膚の強度が増すようである。
ナイフ等で切り付けても、そうそう切れない強度になるらしい。
これに決めたので念じる。
あれ!余り変わった感じがしない。
サバイバルナイフで、指先を切ってみる。
お!切れない。今度は握ってサバイバルナイフを引き抜く。
おおお!切れてない。
スキルは凄いと感じてしまう。
そうだ畑を作ったままだった。気になるので畑の確認をしよう。
その前に、稲の苗も見ないといけない。
まず大き目のタッパ2つの中は、稲の苗が順調に育っている。
やはり[成長]が効果を表している。
後5日ぐらいで、10センチメートルの高さに育った苗になるだろう。
長いホースを伸ばしながら、畑に向かう。
ホースの先端から、水を出して水やりをする為だ。
地面に手を付き、畑の状態を確認する。
なになにあそこが水分不足か、分かった少し多めに水やりをするから待っててなー。
畑を見渡しても順調に10センチまで育っていた。
次は小川に行き、乾いた毛皮を確認。
まあまあの毛皮になっていて一安心だ。
やはり鑑定しながらやると、素人でも失敗しない様だった。
今は使い道が余り無いが、経験だと思いよしとする。
ロープで束ねて背負って、家へと向かうのだが時折冷たい風が吹き気持ち良い。
家に戻ったが、まだ昼前で早いと思いながら薪ストーブに火を付ける。
薪がぱちぱちと弾け、炎がゆらゆらと燃え盛る。
小鍋に水を入れ、薪ストーブの上に置く。
しばらくすると沸騰したので、味噌味の袋麺の麺を入れる。
ほぐして鑑定で見つけた草を千切りながら投入……粉スープを入れ完成。
「ズズズーうま、あの草がアクセントになって美味い」
まだ時間もあるし、下に行って肥料など取りに行くか。
軽トラに乗り込んで、狭い道を走る。
農村で見つけた肥料を担ぎ、軽トラへドンドン運ぶ。
農薬も有ったが、植物魔法があるからパスだ。
普通だと人が居なくなると、猪が出るのだが見かけない。
猪も魔物の餌になったのだろうか、静かな農村で俺が出す音だけが響き渡る。
隅々まで探す中で農具と猟銃が有った。
そして猟銃のロッカーの中には、刀が2本入っていた。
こじ開けるのに苦労したが、刀を抜くとズシリとして緊張が走る。
良い物を見つけた。それにしても猟銃と刀を手に取った事で、犯罪者になった気分になる。
そうかすでに銃刀法違反をしてるし窃盗もしている。
しかし俺の生命を守る為だから、正当防衛だと主張出来ないだろうか。
悩んだ末一緒に持って帰る事に……
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