ギルド指名依頼
ギルドの受付では、おっさんが鉄メダルを渡しながら話し出した。
「あれだけの魔物をソロで討伐するなんて、俺の人生でも初めてだ。ギルド指名依頼を受けないか?」
「内容を聞いても良いのか? 」
「分かった、こっちに来てくれ」
そう言って2階へ上がっていったのでついて行く。
部屋に入るとでかいデスクがあり、髭面のおっさんが座っていて、俺の顔を睨み付けていた。
「ギルドマスター、コイツが話していたハジメで、これが倒した魔石です」
「なるほど大したもんだな、内容は話したのか」
「いえ、まだです」
するとノックがして「入れ」。女性の受付嬢が袋を持って現れた。
「これが報酬の92000ドルカです。確認をお願いね」
「信用してますよ」
「そう、ありがと」と言って部屋から出て行った。
「ああ、そうだった、話の続きをしよう。内容は連絡係だ」
「連絡ですか、詳しい内容は? 」
「魔国に潜入している監視者から手紙を受取ってくるだけだ。ただし中身は絶対に見ないことを約束して欲しい」
「・・・分かりました。受けます」
「そうか、ただし危険で大変な依頼になるだろう。何故なら前任の連絡係が期日を3日過ぎても戻ってきていない」
「そうですか、それで場所は何処ですか」
「これを持って行く様に、その矢印の先に監視者が居る筈だ」
「今から行けばいいのですか? ・・・」
「なるべく急いで欲しい」
俺は正門を通って横道にそれると、自身に結界を展開して浮上。
そのまま矢印の示す方向に飛行をし続ける。
途中に解毒草の群生地を発見。少しの間、解毒草を505束程採取。
もちろん群生地を失くさないように多くの解毒草を残している。
また飛行していると、レッドアントの一団が列をなして移動中であった。
この魔物はたしか魔物討伐に書かれていた、後を追跡してレッドアントの巣も発見。
これは根絶やしにしないといけない魔物なので、ダイヤ弾丸で倒しつつ土魔法で巣穴を掘り返してゆく。
女王を最後に仕留めた。
魔石回収を行ない、レッドアントが溜め込んだ宝石や貴金属を回収。
レッドアントは、人間を襲いこのようなお宝を溜め込む習性は有名であった。
これをギルドに持って行けば、どれだけの報酬が貰えるだろうかと想像してしまう。
再度、矢印に向かって飛行を続ける。
余り速く依頼をこなせば、変に思われるのでこうやって時間をつぶしてゆく予定。
やがて、木の上でぐったりとした男を発見。
矢印はその男を示していた。
俺はかたわらで結界を解除。男は驚いた顔で俺を見ている。
俺は矢印を見せ、ギルドマスターの使いだと名乗った。
「そうか、アイツも死んだのか。俺も魔物の毒に犯され長くないようだ」
「この解毒草ではダメか? 」
「それなら俺も持っている。これは特別な毒だからダメなんだ」
俺はその男を鑑定すると、あの赤蛇の毒だと分かった。
「ジッとしていろ。魔法を試してみるから」
俺はそう言って、植物魔法で毒を作り、犯された部位にその毒を浸透させ中和させる。
鑑定で中和の度合いを見ながら浸透を中止。
「どうだ治った筈だが」
「確かに、痛みは消えている」
俺は赤魔石を取り出し、男を回復させる。
「お前! それは魔王の魔物の魔石だろう」
「そうだ、お前は虫の息だったから使った。黙っていればいい」
「そうだな、命の恩人を殺す訳にいかないからな」
「連絡の手紙を書いてくれ」
「分かった。それとその薬をわけてくれないか」
「これか、これも毒だから使い過ぎに注意しろよ。徐々に浸透させて様子を見ながら使え」
俺はそう言って、空のペットボトルを取り出しそこに毒を注ぎ込む。
そのペットボトルを渡すと、不思議そうにその容器を見ている。
「なんなんだ、これは。この薄い膜は・・・」
「これは特別な物だから黙っておけ」
しばらく待って居ると、手紙を書き終わりその手紙に何やら印を刻んでいた。
その手紙を受け取り、この木から飛び降りすぐさま駆け出した。
充分な距離まで来たが、あの男の話だと往復で3日は掛かるらしい。
このまま飛行すれば夕暮れ前には着いてしまう。
次いでなので、共和国でも行ってみるのも良いかも知れない。
そう思うと結界を展開して猛スピードで飛行し続ける。
そしてそれらしい城塞都市が見えてきた。
辺りは暗くなり、少ない街灯で大よその規模を把握する。
正門は閉まっており、幾つかのトカゲの荷馬車が外で列を作っていた。
見付からない所に下りた。
結界を解除して、焚き火をしているグループに近づき挨拶をする。
「すいません、焚き火に当たっても良いですか」
「なんだ兄ちゃん、何処の者だ」
「ダーレルの街からきた、冒険者です」
「そうか、見張りに付き合うならいいぜ」
「付き合います、ここは初めてなので面白い話でも聞かせて下さい」
「そうか、面白い話なら一杯あるぞ」
その話では帝国が怪しい動きをしているらしいとのこと。
なんでも共和国の第2位の地位にいるダークレイ公爵に、帝国の者が頻繁に出入りしていると目撃情報が流れている。
あくまでも噂だが、帝国の王子の妃にダークレイ公爵の娘が候補に上がっていると、巷の噂であった。
そんな他愛もない話に盛り上がり、何時しか朝日が昇りだした。
正門が音を響かせて開いたのと同時に、荷馬車があわただしく準備をしている。
おっさんは、手から水を出し焚き火を完全に消してしまった。
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