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人人~ニンジン~

作者: りり

|人人<<にんじん>>を昨日捕まえた。

人人を金属製の猫用のカゴに入れて、鍵をかけた。

昨日から人人はボクのペットになった。


お母さんには人人が猫に見えるらしい。

ボクは人人は人人だと何度も主張したのに。

それで、お母さんに捕まえた人人を見せたら猫用のカゴを買ってもらった。


人人の散歩に行こう。

ボクは人人をカゴから出して人人にリード付きの首輪をつけた。

お父さんには人人が犬に見えるらしい。

それで、お父さんに犬の散歩用の首輪を買ってもらった。

「ニンニンニンニンニンニンニンニン」

人人は甲高い鳴き声を上げた。


川の堤防で人人を散歩させた。

人人はボクの歩くペースに合わせてくれているように歩いていた。

前から野生の人人が歩いてきた。

ボクの人人よりも2倍くらい大きかった。

ボクは自分の人人が襲われないように、野生の人人を睨みつけた。

わはは、ボクは野生の人人の顔が面白くて噴き出してしまった。

途端、野生の人人は体を震わせて一目散に逃げ行った。


前から女の子が歩いてきた。

女の子はペロペロキャンデーをなめていた。

「わあっ!かわいい人人!」

そう言うと、人人の前にしゃがみこんで、ペロペロキャンデーを人人に差し出した。

女の子が人人の頭をなでると、人人は女の子にすり寄った。

突然、女の子は人人のリードを引きちぎった。

おい、何をする!ボクのだぞ!

女の子には聞こえていないみたいだった。

女の子は人人を抱きかかえるとすごい勢いで走り去っていった。

ボクは追いかけようとしたけど、リードが足に絡まって転んでしまった。

リードをほどいて立ち上がったら女の子は見えなくなっていた。


何故か急に手足が震えだした。

何か忘れている気がしてポケットに入れてあった人人の飼い方説明書を見た。

それは通りすがりの占い師を名乗るおじさんから貰った。

そこにはこう書いてあった。

『人人を飼うときはまず最初に必ず名前をつけること』

ボクは見落としていた。


ボク走った。

とにかく走った。

走って走って走って走って走って走って走って走って走って走って、走った。


家の前にたどり着いた。

一面の土が見えた。

ボクの家は無くなっていた。

更地になっていた。

震えは止まっていた。

ボクの後ろから声がした。


「人人!みーつけたっ!」





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