最終話ー真実
数々の人を「束縛」してきたゼマ・アール。
「…仕方ない、話そう。私の計画とはーー」
語り始めた計画とは?
「守りの力ーーそう、邪魔な守護者、セオ・リアスを排除し、ヴィーシの殺戮の力を呼び覚まし、無理やりにでも使わせ、それで世界征服をする事だぁッ!」
する事だぁッ!
する事だぁッ!
する事だぁッ!
……………………。
「……物凄くありがちな理由ね」
「悲しい位短絡的だね」
「わかってたけど、なんだかんだ言って今更叫ばれると…」
「五月蠅い! 能無し作者に言ってくれ!」
ごめんなさい(by作者)。
話を戻してーー
「…それで、セオを束縛して弱らせ、更に私にヴィーシへの束縛の解除を催促していたのね。全てわかったわ。」
「さあ、どう出る?」
ゼマが言った瞬間、黒い紐なようなものが表れ、ヴィーシを拘束した。
「しまっ…」
「ヴィーシ!」「ヴィーシ君!」
セオとほぼ同時に叫んだ。
ゼマが不敵な笑みを浮かべる。
「どうする? お嬢さん。
ヴィーシを助ける為には、”解放”するしかない。」
「くっ…。」
迷っているその瞬間、マイン攻撃が飛んできた。
「危ないっ!」
慌てて避けようとすると、目の前に防御壁が。
「セオ!」
「大丈夫…過呼吸とかスルーされてたけど、もう少しの間なら守れる。」
(((スルー!)))
「セオ、無理しないで!」
ゼマが大声で笑った。
「さあて…君はどうする?」
「…私が、あなたの計画を阻止してみせる。」
「ほう、大きく出たね。いいだろう。やってみなさい!」
バシュウウッ!
ゼマのマイン攻撃が飛んでくる。
すんでのところで避けーー
わかっている。勝機はある。
「げほっ…。」
「! セオ!」
「僕に…気を取られないで。 「束縛」に勝てるのは、「解放」しかないんだ。」
そうーー
「私には…失いたくない友達がいるッ!」
ゴウッ
私がそう叫ぶと、突然私の中から赤い力が溢れてくる。
「!? そうか、ようやく解放する気にーー」
その刹那。
私はゼマの目の前に飛び込んだ。
「そんな馬鹿な!?」
ゼマの声が聞こえた気がしたが、そんな事どうでもいい。
「あなたの束縛の力、セオ、ヴィーシの束縛もーー」
「や、やめろ! 私のマインまでー」
ゼマが叫んだ。しかしもう遅い。
「私が、あなたごと全て解放してみせるッ!」
パキィィーン……
…赤い光が消えた。
崩れ落ちたゼマ。
束縛で拘束されたヴィーシも、もう動けるようになってーー
「って何事!?」
ヴィーシから、恐ろしい量のマインが放出している。
「使った事ねーからな。束縛あったし、キャパオーバー。溢れてくる。そのうち収まるだろ。つーか父さんごと解放させるってのは考えもしなかった…ま、使わねーけど。」
「トラルちゃん」
振り向くと、涙を流しているセオが。
「…ありがとう。 感情って、こういうものだったんだね。」
「セオ…。」
「そーだ、俺も感謝しねーと。」
「ヴィーシまで?」
「…父さんの事、傷つけない方法で助けてくれてありがとな。……父さん、最後の肉親だったから。」
「…ヴィーシ…。…そうだわゼマ! 実の息子を何だと思っていたの! きつかったわね、ヴィーシ…。」
「きつくなかったって言ったら嘘になるけど…そういう父親だって小さい頃から知ってたし。とりあえず、昔は建物も普通だったんだけどな…。野望聞かされてからは真っ先に逃げたけど。あと、それからーー」
ヴィーシは私とセオに向き直り、いきなり頭を下げた。
「ごめん、すぐに話さなくて。
父さん、セオが邪魔で、セオが倒れる位弱ってこないと絶対に動かないんだ。普段どこにいるかもわからなくて。
もしくは、殺害までいくかもしれなかった。
ただの言い訳なんだけど…本当、ごめんな。
…お前もきつかったろ、セオ。」
「ううん…感情を取り戻せただけで充分だよ。今度からは、病院の方々の笑顔も感じ方が違うはず。」
「…よかった、セオ。」
「……ところで、そこで倒れてるゼマはどうするの?」
「…警察かな。」
「うわぁ一蹴」
*
そうして、ヴィーシのマインが落ち着いた所でーー
「解決してよかったわね。」
「そーだな、セオも体調改善したら業務戻るから早めに帰るって言ってたし。」
「楽しそうだったわね、セオ。」
「ああ」
「あ」
「トラル?」
私は、重大な事を忘れていた。
考えもしていなかった。
必死だったから。
でも、ようやく思い出した。
「私の…
私の買い物袋ーーーっ!」
そうして、私はまた賑やかな町並みへと駆けていくのだった。
「……なんか、悪ィ…トラル…。」
これにて『四つの光』終了となります。
もし読んで下さった方がいらっしゃいましたら、
本当にありがとうございましたm(__)m