第四話ーヴィーシ・アール
俺の出番? こんなに早く回ってくるもんか…。
悪い気はしねーけど、ちょっと最近嫌な予感してんだよね。
ま、とりあえず付き合ってくれれば。
「さて、どうすっかねー」
友人と離れると、ふいに寂しくなってしまうのは俺が幼いからだろうか。
何となく空を見上げる。雲一つない青空。
こんなご時世、よくあんなに晴れ晴れていやがるなー 何てテキトーに思っていたら、ふと目の前に空き缶が転がっていた。
カン、と空き缶を蹴ってみる。目の端に「ポイ捨て禁止」の看板がちらりと見え、缶を拾って近くのゴミ箱へ。
我ながらちょっとだけいい事したなーとか、こんな事で自画自賛してみたりして。まあ、ルールだしね。
そーいえば何か最近マイン戦闘がないなーと感じる。
かつては町中マイン戦闘で散々公共物とか破壊されてたりしたもんなー、それで法律変えられたんだっけ。少しは減って治安よくなったのかなー、まだ度々見かけるんだけど。
ま、今更そんな事考えたって、”俺には関係ない”。
さてと、どうしたものか。
油断ならないけど、”今”は、”時期”でもないみたいだし。
相変わらずテキトーに歩いていると、
「…あれ」
ふと見慣れた顔が。
「! ヴィーシじゃない! どうしたの、こんな静かな所で!」
「トラル、それは俺が常に五月蠅い所にいるという意味か…?」
「あ、いや…」
口ごもった少女は、トラルって奴。
友人というか何というか、好奇心旺盛な奴。
「俺はこん位がちょーどいーの。寧ろお前の方が賑やかな所似合わねー?」
「そうかしら? 確かにいろんな人に出会えるのは楽しいけれど。」
「そーかー? 俺は興味ねーけど。」
「ヴィーシは割と一匹狼だものね。」
クスクスと笑われて。
そうでもないけど。
「それじゃあ私は買いたいものがあるから。また会えたら嬉しいわ。じゃあね。」
「あ…トラル、ちょっといーか?」
「? どうかした?」
「近いうちに、お前にはお世話になるかもしれないから。」
「…何の話?」
「そのうちわかるから。急いでいるとこ、混乱させちまって悪ィ。じゃな。」
それだけ言って、その場を後にした。
「…………」
ふと、また少し寂しさが襲ってくる。
そうだーー
俺の秘密、教えとくよ。
興味がない?
そんな事言わないで、まあ聞いてみてよ。
忘れたっていいからさ。
あ、ちなみに口外禁止ね。
俺は、マインが使えない。
言っただろ? ”俺には関係ない”って。
カツン、と歩こうとして、ふと足を止める。
再び空を仰ぎ、
「……まだ、何も起こってない。」
セオーーーー
「……どうか、無事で。」
近いうちに、また会いに行くから。