第三話ーセオ・リアス
僕の番か。最近は病院通いで少し忙しい。
病院通いとはいっても、『マイン』で回復するだけだけれど。
それじゃあいろいろ説明する事もあるし、始めようか。
綺麗な病院だった。
「ふう…もう大丈夫だと思います。」
「いつも治療ありがとうございます、セオさん。」
患者や看護師にそう言われ、僕は微笑んだ。
「大丈夫ですよ。また何かあったら携帯の方でよろしくお願いします。」
「ありがとうございます、ありがとうございます…。」
こんなにも彼らに丁寧にお礼をされるのは、僕がーー
”シーフェン”の一人、守護者だからだ。
シーフェンーーー
四つの特殊マインから成り立っており、十字のようにして対になっている。
僕はその内の「守護者」だから、マインが元々技巧型で、他者を守る事や、回復する事に長けているのだ。
逆に、対になるものとして攻撃力が高いシーフェンがいると推測出来るんだけどーー
今の所、僕にはこの位しかわからない。
自覚のないシーフェンだっているだろうし。
僕自身が自分がシーフェンだって気が付けたのは、ある知人のお陰だったから。
ただ、シーフェンの話はもはや都市伝説。
僕自身も、シーフェンの一人だと言う事は口外していない。
だから言ってしまうと、守護者だからじゃなくて、「偶々強い回復マイン持ちだから」看護師の方も称賛してくれるのだ。ちょっと訂正ね。
「では僕はこれで。」
「はい、またよろしくお願いします。」
看護師さんと軽く話し、お辞儀する。
少し歩いた所でー
「ッ…っぐっ」
そうだ、これも説明しないと。
僕は回復中や、いかなる場所でも、突然過呼吸に襲われる事がある。
回復中は流石に看護師が止めてくれるんだけど、原因不明。自分に対する回復マインも効かない。
はぁはぁと息をゆっくり静めて、…けほっ。
すると偶々近くにいた看護師さんが、
「セオさん、どうかされましたか!?」
慌てて僕の元に駆け付けてくる。
「大丈夫です、少し目眩がしただけで。」
「そうですか…いつも頼ってばかりですみません。今日もありがとうございました。ゆっくり休んで下さい。」
「ありがとうございます。」
一礼して、病院を後にする。
過呼吸は疲れが原因なのかな。
さて、本当の事を言うとー
あ、皆には内緒だよ。
僕は、感情というものがほぼ欠如している。