第二話ートラル・フィジア
晴れ晴れとした天気。私は早速外へ出る。
今日がいい日になりますように、と願って。
今日は何だか気分がいい。
朝から買い物をして、ちょっと高級なレストランに寄ってみたり、映画を観に行ってみたり。
こんな晴れている日、外に出ないなんて、個人的にとても勿体ない。
新しい出逢いがあったら凄く嬉しい!
あ、勘違いしないでね、彼氏がほしいとかそういうんじゃないから。
あ、自己紹介がまだだったわね、ごめんなさい。
私はトラル・フィジア。ちょっと言いにくい名前だけど、私は気に入ってる。
…あら?
浮かれ過ぎたのかしら。無意識に閑静な道なりまで歩いて来ている。記憶にない。これは流石に自分が怖い。
そうだ、確か欲しかった服がーー
慌てて賑やかな町並みへと戻ろうとしたその時、
「…? あれはーー」
「! ヴィーシじゃない! どうしたの、こんな静かな所で!」
「トラル、それは俺が常に五月蠅い所にいるという意味か…?」
「あ、いや…」
思わず口ごもる。
ヴィーシは私の友人だ。
マイペースで単独行動好き。私とは真逆。でも、私はヴィーシの事を嫌に思った事は一度もない。話し掛けたりしたら応えてくれるし、頼み事があれば協力してくれる。
「俺はこん位がちょーどいーの。寧ろお前の方が賑やかな所似合わねー?」
「そうかしら? 確かにいろんな人に出会えるのは楽しいけれど。」
「そーかー? 俺は興味ねーけど。」
「ヴィーシは割と一匹狼だものね。」
マイペースさにくすり、と笑った。いつもの彼だ。
「それじゃあ私は買いたいものがあるから。また会えたら嬉しいわ。じゃあね。」
走りだそうとしたその時、
「あ…トラル、ちょっといーか?」
「? どうかした?」
「近いうちに、お前にはお世話になるかもしれないから。」
…? 今日にどうしたのだろう。
「…何の話?」
素直に問いかけた。
「そのうちわかるから。急いでいるとこ、混乱させちまって悪ィ。じゃな。」
何だったのかしら。
ヴィーシは偶に意味深な事を言う。
「そうだ、服買いに行かなきゃ!」
賑やかな町並へと駆けて行く。
そう、私はまだ何も知らなかったのだ。