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なろう小説とはストロングゼロ文学である

作者: 夢野ベル子

なろう小説=ランキング上位の作品

ここ、小説家になろうサイトにおいて、もっとも読まれる形式の小説群のこと。


ストロングゼロ文学=ストロングゼロというアルコール度数が9パーセントという超高濃度チューハイを飲むような、虚無的小説?



特に言うべきことはない。

最初からはっきりしているのだが、なろう小説とはストロングゼロ文学と近似の構造をとっている。


その主な成分としては、①安いこと、②酩酊感である。


転じて、①安いものを飲んで、底辺のわたしがツライ現実を忘れようというところに、一種のごまかしが生まれている。現実はツライ。現実は正しくない。

しかし、ストロングゼロを飲めば、ひとまずそんなツラさとおさらばできる。

現実に対するこの虚無的な態度が、一種の文学を生むと考えられているのだろう。


文学とは何かということを考えると、これは難しい。

しかし、なろう小説とストロングゼロ文学には共通しているところも多い。


まず、なろう小説は無料で読める。

無料ということは究極的に安いということであるから、


①安いという性質を満たす。


また、②酩酊感についてもストロングゼロと構造的に似ている。


ストロングゼロはチューハイである。

つまり、ジュースのような飲みやすい口当たりで、多量に素早く飲める。

その割に、アルコール度数が高く急速に酔っ払ってしまう。


500ml缶を二本ものんだら完璧だ。


なろう小説も同じ。


テンプレートを使う使わないはその人次第であるが、ともかく読みやすいということがまず読まれることの前提である。文学のような硬い文章ではない。わかりやすく、きわめてわかりやすく、一種のサイン化したお約束によって構成されている。


また、冗長性――


なろう小説は、長ったらしい。

おそらくはほとんどの小説は短編化が可能なものであるが、それをひどく長ったらしく冗長に書いている。

なんといえばいいか。なろう小説以外の小説は、ウィスキーやテキーラのようにアルコール濃度がきわめて高いものを少量だけ飲むのである。


しかし、なろう小説は違う。


なろう小説は、アルコール濃度はウィスキーやテキーラよりも少ないが、多量に摂取する結果、それらより多くアルコールを摂取することになり、ひどく酩酊する。


この冗長性が、特徴的なところである。

したがって、きわめて空虚に、空っぽに、出来る限り強烈な価値観を付与せず、だらだらと続くような、いつまでも続けられるような作品が好まれる。



ところで、わたしがここで述べているアルコールとは何かが案外重要かもしれない。

アルコールとは、言うまでもなく効用である。


小説を読むときに感じる効用。


ここちよさ。あるいはカンタンにいえば感動――おもしろいと感じるための成分である。


それらは、なろう小説もフツーの小説も同じく有している。


有しているのだが、なろう小説のほうがストロングゼロのように摂取のされるため効率的なのだ。


そこそこの濃さのやつを大量に長く安く急速に摂取する。

これが読書体験として、一種の酩酊感を覚えさせる。


したがって、なろう小説を真に味わうためには、完結済みのものをストロングゼロを飲みながら一気読みするのが最高だと思う。


アルコールとは何か。

今のところは、金、暴力、セックスかなと考えている。

いや、べつにこれ以外でもいいか。アルコールが何かというのは、いままでのエッセイでいろいろ考えてみたけれど結局わからなかった。わかれば苦労しない。それをガワだけで捉えた気分になるという投網的な漁法がテンプレなのだろう。


話が拡散しそう。


ともかく、なろう小説を考えると、摂取のされ方なんだろう。

濃度といったほうがいいのか?

口当たりもあるか。


つまり、ストロングゼロなんだ!


おいしいれす。ひゅふひ。

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― 新着の感想 ―
[一言] なろう麻薬の成分はこれでしょうか。 「しがらみをリセットして新天地で成功したい」 「周りの期待にも楽々応えつつ、自分の夢も追いたい」 Never give up!ですね。
[一言]  『なろう』というより、ラノベの作法だからなぁ。  もっといえば、週刊連載マンガの作法ですし……。  マンガのカウンターとしてのラノベがあって、ラノベの昇華としての”なろう文学”があるとは…
[一言] ストロングゼロは言い得て妙だと思いました。 ところで最近は中年のおっさんが主人公の異世界モノが流行っていますが、そのうちタブロイド紙を読みながら酒を飲むがごとくスマホでなろう小説を読みなが…
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