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炭酸男と天才少女と田中と馬  作者: 八月
研究団第八研究所襲撃事件
1/3

プロローグ・開戦

プロローグですね。後の展開の一部分です。

「まず君から殺してあげるよ」

 蛍光灯が砕け、遠くの窓から差した光が照らす暗い通路。床と壁は煤け、ひび割れている。

 土煙の中、前方の少し離れた場所にいるクレアは血走った目で俺を睨みつけながら苛立たちげな声で言い放った。

 殺すなんて、十六そこらの子供が言うことかね…いや、日常会話には頻出してるか。俺も一日に三回は言われるし。今ので四回目だけど。

「それは困る、炭酸が飲めなくなるからな」

 殺害予告に対する素直な感想を口にすると、より一層クレアの眉間の皺が深くなる。

 間を置いて、クレアは呆れたのかため息を漏らす。

「この期に及んで冗談なんて、ずいぶん余裕なんだね。もういいよ」

 余裕のない様子のクレアは、熱を失い、鋭利さを増した口調で開戦の合図を告げる。

 右手に握られた薔薇の花びらのような…あるいは血の色のような、深々とした赤い刀身の刀が微かに揺れる。刀身の根元にある黒い瞳の目と目が合った。その刀に鍔は見られない。

 相手がこれ以上会話を続ける意志がないことを表明してきた今、俺も炭酸のために戦いの準備をしなければならない。

 クレアは構えをとり、動かず俺と綺麗な色の目を合わせる。準備の時間ぐらいはくれるらしかった。

 暇を持て余し、ズボンのポケットに入れていた右手を外に出す。左手は宙ぶらりんのままだったため、効きすぎた空調で指先が冷たくなっていた。

 両腕に意識を集中する。徐々に腕の中に熱いほどの熱が生まれる。そして皮膚は硬化を始め、白に染まっていく。筋肉と骨は量を増し、軋むような音を立てながら腕を巨大にしていく。

 出来上がった白く巨大な腕を一振りする。

 俺としっかり合わせていたクレアの目が細められる。俺は小さく息を吐く。

 どこかで響いた爆発音と共に、クレアと俺はリノリウムの床を蹴った。

読んで頂きありがとうございます。この話に追いつけるよう頑張ります。

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