娘がいる父親必見!正しい悪役令嬢の育て方
パパ「ほら、花子。ここできちんと挨拶するんだ」
花子「こうしゃくけれいじょう!たなかはなこですわ!」
パパ「よしよし、よくできました」
1.金髪にします。
「パパー、何これー」
まず、ブリーチをかけます。量は惜しまず、やりすぎないように。
綺麗な金髪になる時間を計算して実行してください。
「これはブリーチだよ」
2.選ばれた貴族だという事を教え込みます。
「わたくしはこうしゃくけ、れいじょうのたなかはなこです」
「うん、そうだよ。良くできたね、花子。でもです、じゃないよ。ですわ!だよ」
「わたくしはこうしゃくけ、れいじょうのたなかはなこですわ!」
「ヨーシヨシ、ヨーシヨシ!」
「キャッキャッ!」
褒める時はムツゴ○ウさんが動物に対して惜しみない愛を注ぐように、可愛がりましょう。
「パパー、こうしゃくけってなぁに?」
「公爵家はうちの事だよ、パパみたいなえらい人の事だよ」
「うん、わかったー。ブラックきぎょうエンジニアだね!」
「うん。そうそう」
貴族制度が無い国では、自分の仕事を周りとは違い偉い人だという事を娘に刷り込みます。
3.マナーを教え込みます。
「パパー、この紅茶おいしいですわー」
「違うよ、いいかい。人から紅茶が出たときは、フン、こんな貧乏くさい紅茶など飲めませんわ!と言って床に捨てるんだよ」
「でも、もったいないよー」
「いいんだよ。そのこぼしたものは妖精さんのごちそうなんだ。花子も妖精さんにおいしい紅茶をごちそうしてあげたいだろ?」
4.母親(嫁)にバレるとまずいので、きちんと対策をしておきましょう。
「いいかい、ママが来たらこのカツラ(黒色)を被って、普段通りにしゃべるんだよ?」
「うんー、わかりましたわー」
以上です。簡単でしょう……?
「ただいま……」
「お帰り、仕事大変だっただろう?」
「ええ、花子の子育て全部任せてごめんね」
「ああ。大丈夫だ、ブラック企業エンジニアだから、お前の方が稼ぎがいいし、これが正解だったんだ。時間はいっぱいある。お前は心配せず仕事をしてくれ。花子は立派に育てるよ」
「ありがとう、アナタ……」
「あ、ままーおかえりー」
「ただいま、花子……。いつもママが一緒に居られなくてごめんね」
「ううん、きにしなくていいよ。こうしゃくけのパパが遊んでくれるー」
「そう、良かったわね……こうしゃくけ?講釈家?」
「……はい、ママ。コーヒーだよ、花子にはミルクをあげるよ」
「ありがとう」
「フン、こんな貧乏くさいミルクなど飲めませんわー!」
「花子!?」
「花子、ちょ、ばか!?」
「……アナタ、花子のこれは一体何かしら?」
「い、いや。何だろうね、ハハハ。花子、いけないぞ?」
「えーー、でもようせいさんもミルク飲みたいと思いますわよー!」
駄々をこねるように頭を振り、カツラがズレ、下から綺麗な金髪が現れる。
「ハハハ、綺麗な髪になったなぁ!子供はちょっと目を離すとすぐ成長するもんだ……ねえ?」
「……ちょっ、ちょっと?アナタ、花子に何をしてるの!?これは虐待よ!?」
5.リアルでやるとまずいので、小説を書いて満足しましょう。
「よし、できた!」
「ぱぱー。これなぁに?」
「これはなろうの悪役令嬢小説だよ」
「ふーん、こうしゃくけのしょうせつはびみょうだねー」
「……そうだねー」
~Fin~
ママ「花子、挨拶しなさい」
花子「こうしゃくけれいじょう!たなかはなこですわ!」
ママ「……パパ?」
パパ「ハハハ……」