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あメイジんぐ☆ちるどれん(旧タイトル:魔法少女になりたい)  作者: @ハナミ
2話 人物画をかこう!
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悪魔バンブフール・グイソン

 学校に辿り着くと、既に空はオレンジ色に染まる夕暮れ。


 学校には、既に人は居ないみたい。教室には何か、もぞもぞと黒い影が動いている。私の手には、あらかじめ白兎君に召喚してもらった剣を片手に、音を立てずに教室に入る。私の後ろには、変身を終えた白兎君が居る。

 一応、戦闘準備は万端。


「……やっぱり、あれ悪魔だよね?」


 どうやら皆の絵に何かしているみたい。鞘から剣を抜いて黒い影に刀身を向ける。


「ちょっと! そこの悪魔! 人の絵を消すのを止めなさい!」


 私の声に、悪魔は振り向いた。それは豚が二足歩行で歩いている。偉そうにマントみたいなのを着ていて……あれ? この豚何処かで見たことあるような……!


「あ! オークだ! マジカル☆サナちゃんに出て来た、ドドンゴー四天王のオークだよね?」

「なんだお前ら?」


 オークは、のっそりと動いてこちらに近づいて来る。


「僕はバンプフール。オーク族と一緒にしてもらっては困る。偉大なるグイソンの末裔だよ? ……僕の食事を邪魔する気?」

「おい、バンプフール。辞めといた方がいいぞ」


 ぜるぽんが、オークに話しかける。


「ゼルノアル? ふーん、人間共に寝返ったんだね。別に邪魔さえしなければ、人間に危害を加える事はなかったんだけどぉ」


 すると、オークは私達の横で宙に浮くグニグニを見た。


「なんだ、グニグニ。こんな所に居たのか。探す手間が省けた」

「グイソンの末裔よ、君もバアルの末裔にそそのかされた口かい?」

「まあ、そんな所かなぁ。でもそれ以上に、僕は君の事が嫌いなのさ」


 オークは、近くにあった机を掴み、それを投げつけてきた。慌てて、私と白兎君は避ける。そして机は、グニグニとぜるぽんに直撃した。


「子供二人、どっちから食べられたい? んん?」

「く、ころせー!」

「……。」

「く、ころせーく、ころせー!」


 あれ? 演技がイマイチかしら? オークは、冷たい目で私を見てきた。


「そんなに死にたいなら殺してあげるよ。僕はね、インクの味とか、そういうのが好みなんだ。人間は好みじゃないけど、食べれない事は無い」


 オークは、口からインクを出して、床にぶちまけた。インクは、魔法陣に見える。


ドランクイーター……僕の魔法はどんなものでも飲み込める魔法なのさ」


 悪魔の魔法陣が光る。でも白兎君も既に、床に魔法陣を描き終えている。


バインドライン


 白兎君の魔法陣が光り、光の鞭がオークに絡みつく。


 オークは、大きく口を開くと、絡みついていた光の鞭が吸い込まれてしまった。


「嘘!?」


 物凄い勢いで引き寄せられる。周りにあった椅子や机、掴んでいた剣もオークの口に吸い込まれてしまった。私も踏み留まれず、足が宙を浮いてしまう。


「危ない、桜桃ちゃん!」


 白兎君が、手を掴んでくれた。身体が宙を浮いて、このままじゃ……そんな時、私のスカートが、激しい吸い込みによって脱げてしまった。

 

「きゃあ、私のスカートが!」


 やだ、恥ずかしい! 私パンツ丸見え! スカートは、オークの口の中に吸い込まれる。


「んん!? なんだこれ? ——ぎゃあああ!! こ、これは、緑色!?」


 吸い込みが収まって、オークの口から出て来たのは、山葵味の飴。


「なんなの?」


 私は、ブラウスを精一杯伸ばして、パンツを隠す。


「どうやら、緑色のものが弱点みたいだね。だから僕の絵だけ食べられなかったんだ」


 白兎君は、緑の絵具を握りしめていた。近付いて、悪魔目掛けて一気に握りしめると、緑のインクが悪魔の目に着いた。


「ぎゃあああ!!! 目が! 目がぁぁ!!」


 どうやら効いているみたい。だったら!


「これでもくらえ! マジカル☆グリーンライト!」


 ペンライトのスイッチを入れて、オークの目を照らす。


「ぎゃああ溶ける! 緑は辞めて!」


「とどめよ! マジカル☆グリーンリミックス!」


 私は、机に挟まっているグニグニを掴んで、オークの口に詰め込んでやった。


「「ぎゃあああああ!!!!」」断末魔が重なる。


 そして、オークは泡を吹いて、そのまま後ろへと倒れた。

 オーク将軍との闘いに勝つことができたのでした。白兎君とハイタッチを交わす。



 

「ごめんなさい ごめんなさい! 飲み込んだ絵は返します」


 目を覚ましたオークは平謝りで、見る見る小さな子豚になった。私もスカートを返してもらい、とりあえずスカートを穿く。


「もう、こんな事しない?」

「しません。大人しくレイティルフィアに帰ります。本当にごめんなさい」


 そう言って、オークは門を作り、そこから飛び込んで行った。なんとか勝つことが出来て良かったと、一息を吐く。


「一件落着かな?」白兎君は、言う。

「みたいだね!」私は、笑顔で答えた。


「幸せそうだね! ケッ!」


 グニグニは、全身泡だらけで拗ねていた。ちょっと臭い……。


 皆の書いた絵が元に戻る。明日は、少しの時間だけで仕上げる事ができそう。水奈ちゃんも、身投げする事もなさそうだし、加島君も疑いが晴れて、太井さんも、もう泣かなくて良いよね?




 後日、白兎君が書いた緑色(ピーマン)宇宙人わたしが、コンクールで金賞を受賞しました。解せぬ。 


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