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 組織とは化け物だ。組織を構成する個々人の利益よりも組織全体の利益、あるいは上層部の利益を追求して動く。最下層、最末端部の人間を使い続ける必要などなく、役に立たなくなれば捨てる。この場合の役に立つという言葉の意味は、個々人以外の役に立つ、という意味である。組織か、組織の中の特定の構成要素の役に立つという意味。個人が組織にとどまるためには、あるいは組織を維持するためには、自分以外の誰かの役に立たなければならない。自由を奪われ組織のパーツとして動くことを強要されるのだ。

 イブは、貴重な休憩時間をそのような思索に費やしていた。彼女も、組織のパーツとして長年動いてきた人間の一人だった。その年月の長さを、彼女の肌に刻まれた深い皺が物語っている。だがしかしそれももうすぐ終わりにしてもいいとイブは考えていた。彼女がアルヴェアーレの頂点に上り詰めてから30年以上経っていた。そろそろ引退しても許される筈だ。

 彼女は、引退の為に20年かけて準備を進めていた。その準備も現在では大詰め、最終段階に入っていた。

 息を吐いて気を引き締め、デスクの上にある電話の受話器を取ると、イブは愛する娘の電話番号をプッシュした。


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