魔法使いの告白?
「コレはもしかしたら、大変まずい状況なんじゃないかな?」
「もしかしなくても、大変まずい状況だと思うよ。タッちゃん」
未成年の女の子達が六人も向井の庄に来てしまったのだ。親御さんになんて言ったらいいんだ?
「こりゃあ、お奉行を呼んだほうがいいな!今なら五十川君がそこら辺に居るはずだ。呼んで来てもらうぞ」
斎藤さんが、駆け出して行った。
「おー!見て見て!太陽が二つあるよ!」
「凄〜い!あ!ミワちゃん先生!その犬の子カワイイ!」
プチリップスの子達は状況を理解していないのだろう。のん気に騒いでいる。
「私たち、異世界に来ちゃいました!」
「「「異世界アイドル!!!」」」
「世界初かも!」
盛り上がっている彼女達を傍目で見ているんだが、
「タッちゃん、どうしよう?」
「いや、オレも分かんないよ……」
オレとミワちゃんは、どうしようもなく、その場に立ち尽くしていた。
…………………………
【橘六花:軽身】
オレが鑑定した結果、プチリップスの六人には【軽身】という能力が付いていた。ダンスをやっていたからかな?この能力を磨くとジイちゃん達みたいに小屋を飛び越したり出来るようになるね。
「これは、特別プロジェクトを組んで、経過を観察するか?だが、どこの部署で……」
「まずは彼女達を保護する方策を考えないと……」
水野さんとジンちゃんも予想外の事態に頭を抱えていた。
「何、情けない事言っているんだい。なるようにしかならないんだよ。どーんと構えてればなんとかなるもんさ」
元凶のフミエさんはすっかり開き直ってた。
「終戦後なんてお国がひっくり返ったんだよ。それでも何とかなったんだ。大丈夫、大丈夫!」
なんか、そう言われると何とかなりそうな気もするな。フミエさんの一声で何とか前向きな思考になったようで、水野さんとジンちゃんが話を進め出した。
「政府だとすぐには動けないから、しばらくは黒鎌の方で囲むしかないな。表向きはタレントのマネージメント業を行う部署を立ち上げるか。ミワちゃん、彼女達ってどこかの事務所に入っているんだっけ?」
「何人か別々の事務所に入ってますが、大したサポートはされていないので移籍は出来ると思います」
「ミワちゃんは、事務所どうしているの?」
「一応、所属先はありますけど、ほとんど個人でやってます」
「よし。じゃあ、フミエさんを社長にして芸能事務所を立ち上げよう」
「え?アタシが社長かい?」
ジンちゃんの話にフミエさんもビックリしている。
「そう。プチリップスと、タッちゃんミワちゃんの事務所。スケジュールがコントロール出来るだけでも違うからね」
………………………………
プチリップスの子達には、ここでの事はナイショにしてね!って約束をして帰って貰った。
異世界へ渡れる特権と引き換えだから、しばらくは大丈夫だろう。
「私たちだって、もう子供じゃ無いんだから守秘義務ぐらい守れますよ!ダイジョーブ!」
「タッちゃん、安心して!」「プチリップスとの「「オ・ヤ・ク・ソ・ク!」」」
う、うーん。余計不安になった様な……。
水野さんも各省庁とのすり合わせが必要だからしばらくは都内に張り付くと言って帰って行った。政府からの人員を何名か受け入れないといけなくなるかも知れないって言っていたけど、どうなるのかな?
ゲートを閉めてみんなを見送った後、ベランダでミワちゃんとお茶を飲みながら話をした。
「きょうは、ビックリしたなー」
「私もビックリしたわ」
「あ、ミワちゃん。異世界の事、黙っていてゴメンね」
「それはいいわよ。簡単に話せない事だって理解できたから」
オレは一つ決心してミワちゃんに打ち明ける。
「実は、異世界にもつながる話なんだけど、まだミワちゃんに秘密にしていた事があるんだ」
「え?」
「オレ、魔法使いなんだよ」
ミワちゃんは、オレの顔をマジマジと見つめると、笑い出した。
「え?そこ笑う所?」
「もー、タッちゃんたら、それ、気が付いていないと思ったの?」
「もしかして、知ってた?」
「まー、フミエさんに教えてもらったんだけどね。もしかしたらとは思ってた」
「そっか。やっぱり、ミワちゃんに隠し事は出来ないな」
オレは頭を掻くと、ミワちゃんに手を差し出した。
「じゃあ、魔法使いらしい所を見せてあげるよ」
「え?」
ミワちゃんの手を取ると、フライの魔法で浮き上がる。
「ちょ、ちょっと!」
レビテーションの力を借りてお嬢様抱きにして、少しずつ高度を上げると関東平野の灯りが見えてくる。
「この景色、ミワちゃんに見せてあげたかったんだ」
「あー、タッちゃん?確かにキレイなんだけどさ……」
アレ?何だか思っていたのと反応が違うな?
「現代は飛行機での移動が多いからね〜。それ程の感激じゃないかなぁ」
「あ、ああ。そうなんだ……」
「あ!タッちゃん、アソコ。あのコンビニに降ろしてくれる?食パン買わなくっちゃ」
「あ、はい……」
ミワちゃんとの初フライトは、コンビニの食パンのために終了となりました……。




