ジイちゃんズの出立 再び?
元々この世界のコボルドは識字率が高く、結構物知りではあるけど、ウメちゃんもチョット前まで食い詰め村の娘だった訳で、それ程この世界の情勢を詳しく知っている訳ではない。
そもそも、水野さんがゲートをくぐって来たのもこちらの世界の探索が目的なんだしね。メンバーが揃って来たので、本格的に探索を始める事にした。
メインはジイちゃんとケンじーちゃん。そのバックアップを山井くん杉原くんが行い、向井の庄との連絡を百川くん山瀬さんが請け負う。情報は水野さんが集約して整理する。取り敢えず動ける人でチームを組むとなるとこんな感じだね。
「では、諸国漫遊の旅と行こうかの」
「縮緬問屋のご隠居さんかい?」
「どっちかって云うと弥次さん喜多さんかのう」
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医療品の受け取りをする為に向井の庄に来ていた二カポさんにも聞いてみた。二カポさん曰く、金比羅さんなどはないが、熊野古道などの修験道に近い物はあるそうだ。
神官や巫女の修行として各地を巡っている者は少なからず居るそうで、行商人や修験者それに旅芸人が各地を巡り、色々な話を広めてくれるんだって。
「裕福な商家の隠居で巡礼する者も居なくはありませぬ」
二カポさんが言う限りではそうそう怪しまれなさそうだ。
「その、チリメン?て言うのは分かりませんが、カンズメはここらでも噂になっておりますしな」
柳谷の九兵衛さんの家で見つかった缶詰だが、ドサクサに紛れていくつも持って行かれてた。
その、持ち去られた分が彼方此方に出回って話題になっていた。
九兵衛さんも知り合いに分け与え、その保存力を確かめて貰ったのでますます噂が広まっているそうだ。
「ゴブリンを城下に呼んだのもカンズメを作り売り始める為ではと言われておりますぞ」
そんな噂になっているのか。まだ甲斐の親方っていう人と連絡が取れていないから商売はする気無いんだけどね。
「ふむ。そろそろ甲斐にも噂が届いておる事でしょう。そのうち、その親方も駆けつけて来るでしょうな」
二カポさんもニヤニヤ笑っている。神官の二カポさんと商人では相性が良く無いようで甲斐の親方にも良い印象が無いようだ。
「彼らは利を扱う者。我らとは違う価値で動いているのは知っておりますがね」
自分でもニヤニヤしていたのに気が付いたのか、二カポさんは顔を引き締めながら事情を話してくれた。
商品にも流行り廃りがあり、高値になる事もある。常時必要な薬などもあるが、その値段を急に上げられたりして他の薬を諦める事もあったそうだ。
「今では向井様からのご支援が御座いますからな。この奥多摩では、命を拾う者が頓に増えておるのですよ」
水野さんが巫女様と相談して、簡単な医療品から順に試してもらう事になっていた。二カポさんはその受け取りに来ていたんだけどね。
この世界は魔法がある為に科学技術は発達していない。でも魔法があるので結構不自由していないんだよね。もちろん、犬川のように困窮した人達もいるけど、普通の人達は困っていない。便利を知らないから不満を覚えていないってのもあるかも知れないけどね。裕福な人達は魔法使いを雇えるのでもっと困っていない。困っていないから科学や技術の進歩が少ないんじゃないかってジンちゃんが分析していたよ。
通常の生活はそれでも良いのだけど、その反動で薬など緊急時の物資についてはおろそかにされている面もあるんだってさ。
衛生観念も低く、破傷風で命を落とす人が結構居たんだって。二カポさんに言われてアルコール消毒液を各村に置いてもらい怪我した際に使ってもらう事にした。
今迄は夜中になって高熱が出てから呼び出され、手遅れになっていたけど、消毒液を配ってからは破傷風の患者が激減したそうです。
「大殿様達なら心配する方が失礼でしょうが。無事のお帰りをお祈りしておきましょう」
そう言って二カポさんは帰って行った。神官のお祈りだからね。ありがたくお礼を言っておいた。
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ジイちゃんの旅は、まず甲斐への往復になった。情報収集の練習として弥助さんの言う親方の情報を集めて来る事にしたんだ。
「それぐらいなら、今迄もビジネスでやってきとるからの。大丈夫じゃろう」
「簡単な魔法なら防げるようになったしな」
ジイちゃんもケンじーちゃんもどこで修行しているんだか。最近は小屋を飛び越して遊んでたりする。
いい歳してニンジャゴッコに目覚めたらしい。
「篤弘と黒丸がマネするから、ほどほどにして欲しいんだけどなぁ」
「大丈夫!あいつらも隠身の術を使えるようになったからの。そうそう捕まらんわ」
「いや、それ、大丈夫じゃないでしょ!何教えてくれちゃっているんだかな?どおりで最近篤弘が捕まらないと思ったわ!」




