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ジイちゃんに歯が生えた

この物語は30童貞のおっさんが日本と異世界を行きつ戻りつする物語です。

不定期更新なので、暖かい目でご支援ください。基本的褒められて成長するタイプです。

 もともとジイちゃんは年の割に歯が丈夫で20本は残っていたんだって。

 で、入れ歯もブリッジタイプのを使っていたんだけど、そこから新しく、歯が生えてきたらしい。

 ジイちゃんの口を覗くと本当に新しい歯が生えてきている。うーむ。


 って、そうじゃ無い!


「ジイちゃん!そんな事より先に!ミワちゃんにスタジオ使わせてあげて無かったんだって!?」

「あぁ!あれはじゃな……」

「オレが居ない日も、向こうに行ってたんでしょ!」

「日を開けると草が伸びてじゃな……」

「言い訳しない!あ!そうだ!ジイちゃんが向こうに行ってた間は篤弘が一人で家にいたのか?」


 オレが大声で騒いでいたので、篤弘が隣の部屋に来ていたらしい。

 ジイちゃんをかばうように飛び出して来た。


「ジッちゃんを怒らないで!オレもジッちゃんと一緒にいたから!だいじょぶだから!」

「あ!あっくん……」

「ふーん。そっか。篤弘も土蔵の向こうに行ってたのか……」


 オレがゆっくりと視線を戻すと、ジイちゃんは、がっくりと肩を落した。


「だから、だいじょぶだったから!ジッちゃん怒っちゃダメだ!」

「わかった。ジイちゃんを怒るのは止めた」

「ホントに?」

「うん、オレは篤弘にウソついた事ないだろ?」

「うん」

「ジイちゃんとは後でゆっくりお話しをするよ」

「ホント?」

「ホントホント。そういえば、最近は忙しくて、篤弘とはあんまりお話し出来なかったな。あっちでおばちゃん達と一緒にお茶しよう」

「うん、お茶しよう。オレ、ジュースがいい!」

「もう、歯も磨いたんだろう。夜だし、ほうじ茶にしときな」

「えー、わかったよー」

「ジイちゃんは、後で(・・・)ね……」

「ヒイィ!孫から凄いプレッシャーをかけられている件……」


 その日の夜、篤弘が寝てからジイちゃんと話し合った。


「うぅ、すまんのう。すまんのう」


 床に正座したジイちゃんは、しょぼくれたフリをしている。あざとい。


「ふう、もういいよ。ジイちゃん。篤弘を一人で家に残すのが心配なのはわかるし」

「おお!さすがはたっくん、話がわかるのう!」


 正座からピョンと立ち上がるジイちゃん。本当に90歳か?


「だが、二度目はないから!」

「わかっとる。わかっとる」

「ネーちゃんに教えるかな……」

「わかりました!」


 おお、90歳のフライング土下座!


「もう連れて行ったんなら、しょうがない。篤弘もまた行きたがるだろうし」

「おお、喜んどったぞ!」

「だろうねぇ。まあ、勝手に向こうに行っちゃうかもしれないからそれよりはマシか」


 ジイちゃんにもゲートが開閉できたのだ。篤弘もできるかもしれない。

 一人で向こうに行かれるよりは、ジイちゃんと一緒にいてもらう方がいい。

 今のところ、ジイちゃんの言うことはちゃんと聞いているしな。


「さて、篤弘はジイちゃんが付いている時だけ向こうに行くってルールね」

「ワシからも、よーく言い聞かせておく」

「ジイちゃんは、向こうで篤弘から目を離さない事!」

「ア!ハイ!」


 さて、あつひろの話はこれ以上ここでやってもしょうがないね。

 次はミワちゃんの話だ。


「で、スタジオを勝手に閉めていたんだって?」

「そ、それはじゃのう」

「言い訳しない!」

「ア、ハイ。スイマセン」

「今度からは、スタジオの予定がない時だけ、ゲートを開く事!」

「わっかりました!」


 本当に分かっているのかなぁ?まあいい。これ以上ジイちゃんを追求しても無駄なのは長年の付き合いで分かっている。


「それで、ジイちゃんの歯の話なんだけど」

「おお、そうじゃな。実は歯だけじゃないんじゃ」


 ジイちゃんの話によると、向こうに行くようになって一週間ぐらいしてから

 かなり体調が良くなっている事に気がついたそうなのだ。


「腰や膝の痛みがなくなっての」

「そういえば、髪の毛も増えているような……」


 向こうに行っている影響なんだろうなぁ。

 オレも時間の余裕が出来てきた事だし、そろそろ向こうに行ってみるかな。


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