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農作業のお手伝いさんが見つかった!

 九兵衛さんの家に付くと、どうやらコボルドが立ち寄ってくれたらしい。

 すでに会見の準備ができていた。


 どんな話なのか、九兵衛さんに聞いておきたかったんだけどな。


 ケンくんとリョウくんは縁側の手前に立って護衛の役目。

 今回は、部屋にスダレがかかっているね。


 庭にはゴザが敷かれ、九兵衛さんともう一人が平伏している。


 縁側に座った五十川くんがジンちゃんのマネをして声をかけた。


「直答を赦す。面を上げい!」

「へ、へい!」


 ゴザの上で平伏していた人が頭を上げた。


「豚の人?」

「イノシシだ!」


 お客さんって言うのは、九兵衛さんの古い知り合いで、オークって種族なんだって。頭が豚……じゃなかった。イノシシなのが特徴。コボルドと違って、農業が得意で早々飢餓に陥る事は無い。人間に農業指導するぐらい得意分野なんだってさ。


 俺のボケに対して鋭いツッコミを見せてくれたが、貴人に対する態度では無いのに気が付いたのだろう。慌てている。


「も、申し訳ありませぬ。とんだ物言いを!」

「いや、今のツッコミはなかなかのものだった。座布団を上げたいところだ」

「へ、へえ」

「で、そのオークさんが何の用?」

「へい、実は九兵衛さんの作物を拝見させて頂きまして………」


 そのオーク、権兵衛さんの言うことには、九兵衛さんの畑の野菜を見て、その品質にビックリしたんだって。まあ、九兵衛さんのトコは向井の蔵にあった種を分け、肥料や水遣りなどもジイちゃんやケンじーちゃんが指導したからね。


「これは、尋常な作物じゃあねえって事で、九兵衛さんに無理を言って詳しくお話しを聞かせて貰おうとお願いしたんで」


 九兵衛さんも、向井の話をどこまでしたら良いものか悩んだらしい。そこで、文を出したって事だった。


「成る程。そう言う話か……」


 オレはちょっと、考え込んだ。種を分けるのは簡単だが、肥料や水遣りのタイミングなどを伝えるのは難しい。何より、オレ達にメリットが無い。


「権兵衛さん。九兵衛さんの畑、ここまでにするには簡単な事じゃなかった」

「へえ、それは大変苦労された事でございましょう」


 深く頷く権兵衛さん。農作業の大変さを知っているからこその感慨が伝わって来る。


「実はね、九兵衛さんの畑はウチの長老が指導したんだ」

「しどう?」


 指導って言葉が伝わらなかったらしい。権兵衛さんが首を傾げてしまった。


「師匠になってもらったんだよ」

「ああ、そう言う事で……」


 ナイスフォロー、九兵衛さん!


「うん。教えるのはいいんだけど、権兵衛さん達に教えるならウチの長老が教える事になる」

「その長老様の教えを受けられるので?」

「権兵衛さん、その長老様ってのは、向井の大殿様なんだよ」

「ひえっ!」


 権兵衛さん、九兵衛さんに聞かされて驚いている。


「相談のし所がそこなんだ。ウチの大殿を遠くまで行かせる訳にも行かない」


 ここは治外法権、自分の身は自分で守らねばならないのが常識の世界だ。

 ウチのジイちゃんは身分だけ聞けば、城主の祖父だ。誘拐して身代金を稼ごうなんて輩が出て来るのは目に見えている。


「恥ずかしながら、護衛に付けられる者も限られていてね。ここ、柳谷ぐらいまでがせいぜいだ。かと言って柳谷の畑をひっくり返す訳にもいかない」

「まあ、それはそうですな……」


 権兵衛さん、肩を落としている。どうやら断られると思ってるみたいだ。

 ところが、ここで九兵衛さんが話し始めた。


「向井の若様、権兵衛さんにはここら一帯の村々全て一方ならぬお世話になっておりまして……」


 九兵衛さんの言うことには、権兵衛さんの村は農業が得意なので比較的農作物に余裕があるので、周りの村に度々支援をしているとの事。九兵衛さんは言わなかったけど、犬川一党も何度もお世話になっていたらしい。さすがに村一つを支えられる訳はなく、飢えた犬川一党は九兵衛さんの村を襲おうとしたのだろう。


「九兵衛さん、分かったよ。オレも断ろうとしているんじゃ無い」

「へ、そうでしたか、これはとんだ差しで口をしてしまいましたな」


 断られる話では無いと聞いて喜色を浮かべる二人。


「そこで、相談があるんだが、権兵衛さん」

「はい!ご指導頂けるなら何なりとお申し付け下さい!」

「権兵衛さんの村から向井の庄に何人か来て欲しい。教えを受けた後はそちらの村にもどってもいい。どうかな?」

「ええ!そちらの村で教えを請えるんで⁉︎」


 権兵衛さん、飛び上がって喜んでいる。九兵衛さんも自分の事の様に喜んでいるよ。それを見てこっちの要望も伝えてみた。


「九兵衛さん、権兵衛さん、こちらからも相談があるんだが」

「へい!出来る事なら何なりと」


オレに声を掛けられて、慌てて平伏する二人。


「うん。まずは権兵衛さん。先ほども言ったが、うちは人の手が足りないんだ。田畑が余っているぐらいでね」

「へい」

「どうだろう、他の村にも声を掛けてくれないだろうか?」

「へえ……」

「ウチの畑で出来た物は、半分は作った者が引き取って良い」

「それは!ご指導を受けておいて、作物の半分は頂けるなんて!」


その後もいろいろ話した結果、九兵衛さんと権兵衛さんでウチに送る農業研修生を取りまとめてくれる事になったよ。



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