タッちゃんのマジカル教室!
「さあ!タッちゃんのマジックコーナーですよー!」
オレのテーマソングが流れ、呼び込まれる。
「タッちゃん、今日はどんなマジックを教えてくれるの?」
「今日はね、トランプを使ったテーブルマジック。選んだカードが一番上に来るってのをやるよ」
「あ、あれね。あれ、不思議なのよね!」
司会役の子「ミッタン」と話をしながら、セットの切り替えを待つ。
「こういうマジックって近くでみないと、わからないじゃない?」
「あー、分かるかもー」
「駅前のステージとかだと遠くから見ている人もいるからね」
「そうそう、道の向こう側から眺めている人もいるよね」
「あそこさ、斜め向いのビルからも見ている人いるよね」
セットの準備の進み具合を気にしながら、話を続ける。
「あー、いるいる。あの喫茶店ね」
「そう!歌やダンスだとあそこからでも楽しめるけどさ」
「あー、マジックだと分からないかもねー」
「いやー、それでも、一生懸命見ている人がいるんだよ」
「えー!」
準備ができた様だ。現場ADから合図が出た。
「アハハ。次回は是非ステージ前でご覧下さい」
「そーですねー。私達の時も是非ステージ前に来て見て欲しいですね!それじゃ、タッちゃん。お願いします!」
今日はテーブルマジックなので、テーブルを囲んでみんなに座ってもらう。
司会の女の子も端の椅子に座る。テーブルには、今日のアシスタント兼生徒役の子「エイチン」がスタンバイしている。
「ハイ!それじゃ、今日のマジカル教室は!トランプを使ったカードマジックでーす!」
このコーナーでマジックをやっている間は、なるべく喋らない様にしている。
アイドル達がメインの番組なので、彼女達に掛け合いをさせるためなんだ。
アシスタント役の子がトランプを取り出して渡してくれる。最近は女の子達も慣れてきたのでスマートだ。
「お、封の開け方、上手くなったんじゃない?」
「練習したもんね!」
ミッタンとエイチンが掛け合いをする。
その間に、オレがカードをシャッフルし、扇状に広げてみせる。
「ハイ!見てのとおり、バラバラになっていますね?この中から一枚を選んで貰います!」
女の子の声に合わせて一度、カードを揃えてから、伏せた形でギャラリー役の子にカードを選んでもらう。
「ハイ!ハートの8ですね!じゃあ、それ、タッちゃんに返して」
オレは返して貰ったカードをカメラに向けると揃えたカードに戻す。
「ハイ、カード元に戻りました。タッちゃん、一番下見せて」
カードの束をひっくり返す。
「スペードのクイーンですね。じゃあ、一番上は?」
ひっくり返す返したカードを戻して一番上のカードを見せる。
「えっと、ダイヤの6ね。じゃあ、戻して下さい」
オレはカードを戻すとちょっとカードを揃える。こういう胡散臭い動きが結構重要だったりする。余計な勘ぐりをしてくれるからだ。
「これで、私が指を鳴らすとカードが一番上に来るんですよ!」
「エエー!」「ありえなーい」
ギャラリー役の子達もお約束の反応を返してくれる。
「じゃあ、エイ!」
「………」
指、鳴ってないよね?
「アハハ!エイチン、鳴ってないよ!」
やっぱり!ミッタンが突っ込んでくれた。
「いいの!これでカードは上に来てるの!」
エイチンが言い張るので、そのまま進める事にした。オレはカメラマンに合図してズームしてもらう。
充分にカメラが寄ったところで、ADがOKの合図。オレはカードをひっくり返す。
出てきたカードはハートの8。
「すごーい!」
みんな、素で驚いているな。エイチンが何故か自慢げだ。
この後、ネタバラシをして、エイチンがチャレンジ。見事成功させる。
「やったー!」
やり遂げたエイチンは嬉しそうだ。でもオレはこれからが本番です。ココからはエイチンにも教えていない。
「じゃあ、タッちゃん、カードを出して!」
ギャラリーに選ばせてカードの束に戻すまでは同じ流れ。
「ここに、スペードの3が……あった!」
エイチンが選んだカードをまた抜き出して束を返してもらう。
「これの状態で、カードを一番上に戻してくれるっていうんだけど……」
エイチンが困惑しているな。手に持ったカードをみんなに見せている。
それじゃ行くよ?オレは指を鳴らしてカードをめくる。
スペードの3だ。
「えええ!すごい!ほら、コッチと同じ!」
エイチンに渡すとカードを両手にもってみんなに見せている。
オレは続けて指を鳴らす。スペードの3。
「あれ?、もしかして………」
オレはパチパチ指を鳴らしてから、カードを扇状ににしてひっくり返す。
「あー!全部、スペードの3だー!」
マジック、大・成・功!オレはカメラに向かってニッコリと笑ってやった。




