富樫スタジオ
さて、今回からは3回連続でテレビ番組の話が続きます。
しばらくは現代日本の話になります。
向井の庄でバタバタしていたけど、今日は週一のテレビ。
今日のネタはトランプマジックなので荷物が少ないから、原チャリで行くよ!
テレビ局は駅から少し歩いた倉庫にある。いや、倉庫を改造したスタジオなんだよ。
原チャリで行けば、家から5分チョイで着いちゃう。
「チャーっス!」
「あ、タッちゃん、こんにちわ!」
富樫さんのお母さんが倉庫の前を掃除していたので、ご挨拶。オレは富樫のおばちゃんと呼んでいる。
ここは、富樫さんの畑の中にある倉庫なんだよ。富樫さん家も江戸時代から続く農家。
向井家とはお嫁さんをやり取りしていて親戚関係だ。確か、ジイちゃんの叔母さんが富樫さんの曾祖母さんだったはず。
「タッちゃん今日はバイクなんだ。っていう事は小さなマジックなのね」
「当たり!今日は現場より、テレビ見ていた方が分かりやすいんじゃないかなぁ」
「あら、そういうのをもっとやってよ!」
さすがプロデューサーの母、そこに反応するのか!
「いやー。オレ、そんなにネタ持ってないんで、毎週大変なんですよ。ネタバレするから使い回しも出来ないし」
「そうね〜。毎週新しい事やって大変だよね〜」
「最近は富樫さんとかみんなも新しいマジックを提案してくれるんで、助かっているんですけどね」
「あら、そうなんだ。私もなにか考えてみようかな」
「お願いしますよー。あ、富樫さんが番組でマジックネタの募集をするって言ってたから、応募してくださいよ!」
「あら?そうなの?じゃあ、なにか考えないといけないわねぇ」
視聴者も限られるローカルケーブルなので、投稿は少ない。スタッフ達の家族が投稿するのはよくある話らしい。自作自演です!まあ、ペンネーム「P母」の投稿は富樫さんの他の番組でもよくあるのだけど。
入り口で話しているとミワちゃんもやって来た。
「こんにちはー!」
「あらミワちゃん、こんにちは!」
ココ、畑の真ん中なので、誰か来るのはよく見えているんだが、富樫のおばちゃんはいつも挨拶すると今まで気が付いていなかった様に挨拶を返してくれるんだよね。
「ミワちゃんはマジックやらないの?」
「あ、ミワちゃんも出来ますよ。結構、アシスタントをお願いしてるんでいるの間にか覚えてて」
「ほら、タッちゃんのトコ、マジックの道具が結構あるじゃない?スタジオの受付とか、結構ヒマな時に遊んでいるのよ」
「あー。婦人部のおばちゃん達も遊んでいるしなぁ」
「あら、私もやってみたいわ〜」
「カンベンして下さいよ〜。オレのメシのタネなんですから〜」
「またまた、御曹司のクセに〜!」
「「「アハハハ!」」」
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いつも通り、お昼過ぎにメインスタッフが集まって番組の打ち合わせ、その後リハーサルになる。
「あー、今日はいつものマジックに、タッちゃんのトークコーナーがあるからよろしく!」
「オレ、トーク苦手なんで、よろしくお願いします!」
「ハイハイ。今日の司会はミッタンだから、上手くフォローしてくれるでしょう。じゃあ、オープニングから確認して行くよー」
アイドル達の番組だから、オレのコーナーの話になるまでは隅で話を聞いている。
ミワちゃんはアイドル側として参加しているんで、いろいろ台本に注文を入れている。
細かいトコなんだけど大切な事を指摘してくれるんで、アイドル番組として質が高い番組になっているんだって。
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「次はマジックだから、ここにテーブルを置いて……」
「そうすると、移動の動線が良くないな。コッチにこう置こう」
オレのコーナーはネタによって撮り方が変わるので、リハーサルが大事なのだ。
前もってどんな感じかは伝えておくんだけど、実際に現場でやってみないとわからない事も多いからね。
リハーサルに入る前にも一度打ち合わせでセットやカメラの位置を決めておくんだけど、大抵変更になる。
「うーん。コッチから狙っているとギャラリーの頭で隠れちゃうかもなぁ」
「じゃあ、ギャラリーの椅子は一段低くしましょうか」
カメラ位置などを調整する。マジックをやっている時は、カメラを切り替えるとそこでインチキしているとか言われるので、一台のカメラだけで撮るんだ。そのため、カメラの位置は毎回苦労して決めている。
「プチリップス、全員入りましたー!」
アイドルの子達が揃った様だ。
リハーサルが終わると、一回休憩してから本番です。
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「プチリップスのプチプチ!プチリップス!」
「はっじまっるよ〜!」
本番が始まるとオレは自分の出番が来るまで、スタジオの裏でスタンバイしてるんだ。




